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魔王の娘ですが、継ぐ気は一切ありません!  作者: グレープヒヤシンス
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漁村

 数日ゆっくりする事にして、街を出て少しの所に在るダンジョンを攻める。クリア報酬が魔力アップとの情報を貰っていたので、そこに立ち寄る。子供達はケイトと乳母達に預けて、ウェンディとセレス達の魔力をアップさせる。

 セレス達はより殺傷能力の高い、炎系や雷系を試し、ウェンディは魔力を剣に纏わせる術を練習した。浅い階層では、素の剣で薙ぎ倒してしまい、良い練習が出来なかったが、階層を重ね魔力のコントロールのコツを掴んでいった。保存食でランチを済ませ、更に潜る。20階層辺りで、腹時計が夜を示したので、宿泊場所を探しながら少し潜った。22階層に、テントを張れる洞窟を見つけ、結界の中、テントと夕食の支度をした。

 灯りを強くしてウェンディの眼を確かめると、濃い青に変わっていた。薬草の効果と、今日の訓練の成果だろう。


 翌日もどんどん攻める。魔物はあきらかに強くなっているが、ウェンディの剣がそれを上回った成長を遂げ、潜っても潜っても楽勝だった。アンタレスのダンジョンでもそうだったが、最深層1つ前の49階層で、急に強力な魔物が現れた。巨大なムカデが一行を睨み付けた。無駄なリスクを取る必要も無いので、四天王が結界で拘束、ウェンディの輝く剣があっさりと頭を落とした。


 階層を降りると、やはり最下層で、薄明るい中、ウェンディの眼を確かめると、明るいブルーに変わっていた。のっぺらぼうの石碑に触ると魔力アップする筈。代わる代わる触って、今回の目的を達成した。強化された実感は無いが、ウェンディの眼は深い緑に変わっていた。

 昇りの49階層、セレス達が結界を試した。さっきの四天王同様にあっさりと拘束していた。リプレイの様にウェンディの剣が輝き、あっさりと片付け、さっさと地上を目指した。


 真夜中、地上に到着。屋敷に戻っても迷惑な時間だったので、もう一泊キャンプ。テント5張りでそれぞれの夜を楽しんだ。

 早朝、屋敷に向かい、2晩お留守番の子供達を甘やかせた。ケイトは更なる滞在を勧めたが、旅を再開することにして西へ向かった。立ち寄った食堂等で耳に入る噂話を組み立てると、何処で聞いてもランディへの信頼は厚く、ベガがアルタイルと同盟から傘下になった事から、パトリシア達と接触があったランディがアルタイル化の先鋒に見られているらしい。ベガの幹部達にもその傾向があって、今度産まれて来るメグレズまで、許嫁が決まっているそうだ。


 釣りや狩り、山菜やキノコ、魔力アップに効く薬草を採りながら旅を続けた。いくら進んでも景色が変わらない海岸沿いをどんどん走る。

 前回ご世話になった漁師の集落は新しい民家が沢山建って、ちょっとした漁村に発展していた。取り敢えず舟が付けられる程度だったのが、しっかりとした港になっていた。

「アレ?お兄さん達、4、5年いや、もっと前かな?前にも来たよな?」

漁師のおじさんが、首から提げた御守の青い魔石を見せながら寄って来た。皆んなの顔を覗き込んで、

「お兄さん達は、なんも変わって無いな?嬢ちゃんは分身して縮んだのか?」

不思議そうにしていたが、開業準備中の宿に案内して、

「街道やら、港やら立派になって、スピカからお客が来るようになったんだ。取り敢えず寝泊まりは出来るから、今夜はうちで飯食って、ここに泊まると良い。」

 部屋に荷物を運んで、港を見に行った。手漕ぎボートから大出世、全長5メートル位の船が留まっていた。10隻程あって、近くの集落3つを集めて1つの港にしたそうだ。おじさんの解説を聞いていると、いきなり水飛沫が上がり、巨大な触手が迫って来た。ウェンディが剣を抜くと、吸盤の付いた触手が桟橋に転がっていた。更に数本の触手が現れるとそれらの中心にパトリックが雷の魔力弾を放った。迫っていた触手はグタッと動かなくなり、水面に巨大な蛸の魔物が浮かんでいた。

「おお、小さい舟で漁に出ていた頃、こいつに殺られた仲間がいるんだ!今の船なら安心かと思ってたけど、この大きさで、沖で襲われたら危なかったな!」

他の漁師達も出て魔物を引き揚げた。

 普通の蛸と同様に食べられる。硬いので主にステーキにするそうだ。解体も手伝って、思わぬ大漁に港が沸いていた。

「この魔石といい、さっきの魔力といい、並じゃ無い魔族が角を隠してるんだろ?」

お見通しのおじさんに、晩ごはんを食べながら変身の種明かし。

「ふうん、金色の眼で1番魔族っぽい君だけが人族なんだ?」

ウェンディの眼が、緑から黄色に変わっていた。

 ウェンディの、いやウォーレンの事情を聞いて漁師の奥さんが、魔力アップに効くとされている海藻の佃煮を追加してくれた。ホントに聞くのかは定かで無いが、心遣いに感謝、ご飯を真っ黒にして食べていた。


 翌朝もしっかり漁師メシを堪能して西へ向かった。そこからは街道がキッチリ整備され、少し上流の川幅の狭い所に迂回した橋も、河口付近の大きな橋で真っ直ぐ走ったりで、2泊3日だったのが、氷のドームで泊まった分が今回短縮出来た事になる。スピカから漁村迄を重点的に開発、漁村に宿が出来て、その先に手を付ける算段だろう。


 前回、パトリシアは子供の姿になっていて、熱々のお好み焼きにビールお預けで不完全燃焼だったが、今回リベンジが果たせた。スピカ迄一泊2日の行程を丸1日で移動する。大きく迂回する山道をトンネルでショートカット、早朝の出発で夜遅くには到着予定。キレイに整備された街道を軽やかに飛ばした。

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