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魔王の娘ですが、継ぐ気は一切ありません!  作者: グレープヒヤシンス
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豆撒きと混浴

 街に着いて宿を確保。大部屋で雑魚寝だが、寝袋よりは快適だろう。こんな事も有ろうかと、卒業したまま変身して居ないので女子旅の姿になっていた。荷物を降ろして、もう一つの変身して居ない理由の用を足しに行く。

 商店街の外れ、馬車を扱う店に行って、オンボロ小型車5台を売って、少し質の良い大き目の馬車に買い替える。格安のオンボロだけど、しっかり手入れをして貰っていたので、購入価格の倍以上になり、中古だけどピカピカの8人乗りを2台、追い金無しで手に入れられた。鼻の下を伸ばした店主に食事に誘われたが、

「子供が待ってますので!」

サラリと断わると、

「えっ、子供居るの?う、産んだの?」

「ええ、勿論!」

ガッカリの店主を置き去りに宿に帰った。


 大聖堂が近いので、聖歌隊の『神の歌』を聴きに行った。子供達は随分気に入った様で、それっぽい歌を熱唱していた。魔族には縁が無い神様の歌なので、皆んな歌えなかったが、ウェンディは初段校で習うので一緒に歌うと、更にノリノリだった。遮音結界を張って好きなだけ歌うとコトリコトリと寝落ちしていった。


 翌朝、新しくなった馬車で西へ向かう。中心部の公園に、角のある銅像が5体。どう見ても魔族で、真ん中の女性は犬を抱いていて、他の4人は四天王の様にも見えた。道行く人に聞いてみると、

「魔物の退治する『豆神様』です!」

数年前、魔物の大群が押し寄せたとき、騎士や、冒険者も出払っていて、絶滅寸前迄追い込まれたが、豆撒きの準備で広場に飾っていた鬼の衣装を見た魔物達が逃げ出したそうだ。戻った冒険者が追討ち、なんとか平和を取り戻したらしい。

「7、8年位でしょうかね?急に『豆撒き』と言うお祭りが出来たんです。その頃は鬼を追い出す様な行事だったんですけど、4年前に魔物を追い払ってからは、『豆神様』に扮した子供達が家々を回って、豆やお菓子を貰って歩くんです。

 落ち着いて見ると、銅像は元の姿に結構近いので、変身を解いていたら面倒な事になっていただろう。ここでメンズ服を調達して元の姿に戻る予定だったが、つぎの街まで戻らずにいる事にした。

「ねぇ、何か仕掛けしたの?」

パトリシアの問いにジェニーは、

「街の人達が見た悪夢を、魔物も見てたのかも知れないね。狙った訳じゃ無いから結果オーライってか事ね!」

騒ぎにならないうちに次の街を目指した。


 ベガのエリアに入り、四天王は元に戻る為の買い物で商店街に直行した。試着室で変身する訳にもいかないので、全身コーデを買い込んで馬車に戻った。馬車で元に戻り、自分の魔力で人族に化けゴソゴソ着替えていた。夕食の候補が、酒場か宿の食堂しか無く、子連れで行く訳にもいかないので、必然的に宿の食堂に決定。特別なご馳走では無いが、とても美味しく、子供にも配慮した落ち着いた食事が楽しめた。

 宿はダブルの部屋が5つ取れたので、パパ、ママ、幼児のセットが4組と、パトリシアとウェンディで一部屋。前回はデニスの情報を求め、夜の街に繰り出したが、その必要も無いのでのんびり。宿の浴場は男女別でそれなりの大きさだったが、女湯は除き放題のセキュリティなので、部屋のシャワーで済ませてベッドに入った。極々普通の部屋割だと気にもしていなかったパトリシアだったが、寮はずっと皆んなと一緒だったし、旅に出てからは、テントか大部屋だったので、満月でもない日に2人きりになるのは初めてだったのを今更ながら気付いて急に緊張してしまった。緊張は、ウェンディの方が強いらしく、ぎこち無い夜を過ごした。


 翌日、朝食の時、

「ジュノーがな、温泉行きたい、言うとんのやけどどやろ?前来た時ぃ行ったやろ、美人局のネェちゃん達と。」

「良いけど、混浴よ?ここのお風呂だと覗かれるって入らないって言いだしたのジュノーよね?」

「ソレとコレとはちゃうんやて!」

 街道を走る馬車は、途中の山道に入った。季節が違うので景色は違うが、秘湯感は健在で整備とか開発とかの香りは皆無だった。

 脱衣場の小屋もそれなりの経年変化だけ、ジュノーはサッサと脱いで、フローラを脱がせていた。

「ねぇ、改めて確かめるけど、混浴よ?ケヴィンだけじゃ無く、他の3人もいるのよ。」

ジュノーは何か問題でも?って質問の意図を考えていた。

「混浴はそういうモノだし、この前迄女子四段校の同級生じゃない!意識する方がおかしいわ!」

まぁそれもそうかと納得したパトリシアだったが、男性の視線を気にしているのがウェンディだけだったので、妙におかしくなって笑いを堪えていた。

 他のお客さんは居なく、入ってしまえば、ウェンディも緊急は解けた様だった。子供と戯れ合う4組をうっとり見つめるウェンディに、

「ウェンディが変身出来けへんのやったら、パットがパトリックになったらいいやん!」

ウェンディは、真っ赤になった。自分でも気付いたようで、

「ちょっと湯あたりかな?」

先にあがってしまった。

 パトリシアは前回来た時、被害は無かったが美人局にあっているので、念の為に後を追った。

 脱衣場に行くと、コソドロらしい男が倒れていた。籠に仕掛けたトラップで気を失っている。しっかり拘束するとウェンディはコソドロの頭から袋を被せ、

「目を覚ましたとき、誰か着替え中かも知れないでしょ?」

女子力の高さに驚いて、パトリックになるのも良いかと着替えを済ませ馬車で皆んなを待った。

 

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