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魔王の娘ですが、継ぐ気は一切ありません!  作者: グレープヒヤシンス
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ウェンディの変身

 今夜は満月。パトリシアはペルセウス邸を訪れていた。

『それは、ここを出てからにしましょう。』

あと少しで変身出来る時期になり、四段校生に化けるので、成長した姿を見せたらきっと喜んで貰えると言う、パトリシアへの返答だった。ウォークインクローゼットに手を引いて、

『コレが倍に増えるのは、好ましく無いからね!』

今の季節には絶対出番の無い、ウールのコートを手に取って微笑んだ。


 早目のディナーをご馳走になり、ウェンディの所作の美しさに驚いていた。

「奥様の特訓の成果ですね!」

「ええ、でもウェンディ本人の努力ですわよ。それから、『奥様』は勘弁して頂きたいわ。」

ウェンディの様子を覗いながら、

「伯母様?」

夫人は満面の笑み、真っ赤になったパトリシアに、

『赤くなったのは、私への好意と思って良いかしら?』

更に赤さを増したパトリシアを暖かな微笑みが包んでいた。


 月が低いうちに寝室に籠もった。1番奥の客間を借りて、朝まで近付かないよう手前の廊下に衝立と貼り紙。部屋には勿論鍵を掛けて、封印の呪符。更に入念な結界を張って人族から隔離空間を作り出した。

 ウェンディはガウンに着替え変身に備えた。月が南東に昇った頃、パトリシアに角が現れた。美少女が成人男性に変わると、

「パトリシア、何時も苦労を掛けて済まない。」

ウォーレンは意識を保ったまま、パトリシアを抱き上げ、ベットに運んだ。

 優しく重なり、キスをねだると、口の中でねっとりとした絡みを堪能、余韻に浸る間もなく、次の刺激がパトリシアを貫いた。ただ本能で揺れるだけの先月とは全く違う昂ぶりを味わって、声帯ではなく心から声が漏れ出て来るような気持ちになったパトリシアは、細かい事は考えない事にしてウォーレンに身を任せた。

 満月の影響を回避するだけの為に揺れていた時とは、明らかに違う幸福に満たされたパトリシアは、次に気付いたときは、美少女の平坦な胸に頬擦り、心臓の鼓動を聞いていた。

『途中から記憶がないけど困らせたりしなかった?』

「ううん、最高の夜だったよ!」

第3ラウンドから急に単調になっていたので、その頃かと思うパトリシアだったが、ウェンディの呼気を唇で塞いできついハグで満月の夜を締めくくった。


 朝食を頂いて、ウェンディと一緒に屋敷に帰る。夫人は夏休みギリギリ迄滞在するよう勧めるが、向こうでの暮らしにも慣れる必要があると説明し、なんとか納得。車寄せ迄、見送ってくれた。


 屋敷に帰り、旅の支度。先月ウェンディになったのが満月の翌々日なので、妖精の魔法の期限がキッカリ1ヶ月なら明後日に変身出来る事になる。

「キッカリなのか、だいたいなのか分からないから試して見たら?」

ケリーの勧めでウェンディがワンピースを脱いだ。目を閉じて軽く唸ると、スラリとした長身に成長した。

 ケリーは、手際よくメジャーで測り、新しく出来た膨らみを手の平で包んで

「Dだね。パットみたいに、買い物に困らなくても大丈夫ね!あっ、ゴメン!先に触っちゃった!」

グレンダも参戦して、

「取り敢えず、私のお洋服着て、お買い物に行きましょう!」

準備良く、サイズを気にしない洋服を持参していた。

『叔母上の攻撃を躱せたと思って安心していたけど、思わぬ伏兵に捕まった感じね。』

 当然同行する積もりでいたパトリシアを、

「地味なのしか選ばないから、パットはお留守番ね!」

ケリーとグレンダに両腕を取られ、ウェンディは街に繰り出して行った。


 残されたパトリシアは、パラスとジュノーと一緒に子守。

「おっぱいあげてみたら?」

ジュノーが抱いていた小さいケリーを差し出した。ブラウスのボタンを外して準備をすると、小さいケリーは勢い良く吸い付いた。幸せそうな表情を見ていると、かなりの割合で自分に似ている事に気付き初めて自分の子供だと言う実感が湧いてきた。もう片方を小さいグレンダに与えていると、セレスとベスタもやって来て、小さいシェリーとジェニーにも授乳させてのんびりお昼寝。この後開かれるであろう、ウェンディのファッションショーを待った。


 ある程度の予想通り、露出多めの華やかな物で占められていた。ミニスカNGがウェンディの条件だったそうだが、どう見てもマイクロミニにしか見えないキュロット、下着とあまり変わらない面積のショーパン、膝丈だけどスリットがどこまでもあって、歩くと太ももがセクシーなタイトスカートなどなど、2人に言い包められていた。トップスも肩、谷間、ヘソ、背中、何処かを出している。かなり攻めたコーデだが、意外とイヤラしく見えないのが不思議だった。取り敢えず、本人納得との事だし、旅行バッグには面積が小さい方が入り易いかな?真夏だしね。やっぱり呆れ顔のパトリシアは、ショーを終えて残りの荷造りを始める事にした。


 子供との別れを惜しむセレス達を見かねたデネブは、

「我が家で預かって、土日に会いに来るのはどうじゃ?」

4人の満面の笑みで大編成の旅になってしまった。

 馬車4台が連なって街道を進むと、盗賊退治の時とは打って変わって、近寄る馬車は皆無。計画通りの町や集落を辿り、順調にデネブに到着した。


 デュアに沢山の土産を買って来たので、勇んで寮に帰ると、

「デュアちゃんが大変なの!」

寮母さんが、堰を切った勢いで不在中の報告をしてくれた。

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