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魔王の娘ですが、継ぐ気は一切ありません!  作者: グレープヒヤシンス
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盗賊狩り 後編

 焚き火でランチの支度をしながら盗賊達の帰りを待つ。夜働いて、夜中から朝に掛けての帰還かと思って長期戦を覚悟していたが、昼前にはポツポツと戻り始め、3台ずつ5組、計15台の馬車が罠に掛かった。最初に会った組と同様に5・4・4人の13人構成。さっきのひと組と留守番を含め全部で81人を拘束完了。ギルドから借りてきている魔力封印機能を付加した高性能の手錠を掛けて、一安心といきたい所だが、手錠は20個しかないので、魔力の強い者に使い、雑魚はロープで縛って、馬車に詰め込んで行った。魔力の強い者から処理し、残り数人になり、ほとんど魔力を感じない1人を、縛っていると、いきなり爆発する程の強力な魔力を感じた。

 雑魚になりきっていたのは、ここの大ボスらしく、逆転のチャンスを諜っていたようだ。強い順に拘束していくセオリーや、あと少しの気の緩みを考慮したのは最善の策だろう。しかし、パトリシアの魔力を上廻らない為、自らが放った魔法を浴びてしまった。

「何なりと、お申し付け下さい。」

彼の魔法は隷属の術だったようで、残りの拘束を指示して、仲間が他に居ないか、他の組織は無いかを確かめた。

 無事に拘束を終え、追い付いたギルドの人達に引き渡して、大ボスの証言をアテに更に西に進んだ。


 情報の地域に近付くと既に日は傾いていた。キャンプ場を見付けそこを宿にした。盗賊の影響だろうか、殆ど利用されていない様子だったが、飲水は確保出来て、テントを張るスペースにも困らなかった。

 キャンプを楽しんでいれば、盗賊の方から寄って来るかと、都合の良い想像をしていると、複数と思われる馬車の音がした。視界に入った盗賊達は、昼間捕まえたヤツの情報通り、旧アンタレスの幹部。キャンプ場全体に迷路結界を張っていたので、子分達と共に広場を彷徨っている。結界と気付き、脱出方法を考えている様なので、魔力弾で眠ってもらった。高性能の手錠は1個しかないので、元幹部に使って、他は攫った人を閉じ込めるのに使っている檻に詰め込んだ。


 翌朝、元幹部だけヒールして尋問。自白や隷属の魔法は、魔力レベルが術者より低い場合にしか効かないので、小娘の魔法が自分に通用するはずが無いと薄ら笑いだったが、パトリシアが、額に人差し指を当てて軽く唸ると、元幹部は意識を失った。手錠を外し少し待った。目を覚ました元幹部に、

「火の始末とゴミお願いね!」

パトリシアが笑いかけると、黙々と働き出した。テントをたたんで出発の準備が整うと、

「あなたのお住いに連れて行って貰えるかしら?」

 手綱を任せ西に進む。子分達はギルドの人達が回収するよう使い烏を飛ばしていたので、書き置きしてギルドの人達に任せる。


 馬車は街道を離れ、ドンドン道は細くなり、洞窟にたどり着いた。馬車でそのまま入って行くと、洞窟ではなくトンネルで、すぐに視界が拡がった。

 ちょっとした集落になっていて、大きな建物が1軒、長屋が20棟程。今朝捕まえた人数では足りないので、まだ別に居るのかと元幹部に尋ねると、昨日捕まえた分が最近まで住んでいて、勢力拡大の為にアジトを分けたとの事。他に連携のある魔族は居ないそうなので、処理をしてアルタイルに帰る事にした。

 留守番の魔族達は、幹部を出迎えた所をサクッと捕獲したので、人攫いに使う檻付きの馬車に放り込んだ。隷属魔法で働かさせれていた人族や獣人達を解放し、お宝を取り上げる。建物は魔物の巣になったり、他のアウトロー達のアジトになる恐れがあるので、グレンダが猫達を呼んで、猫じゃらし代わりに長屋を潰して遊ばせていた。集落が瓦礫になった事を確認して帰路に付いた。


 出没情報を併せて考えると、今回の目的はコンプリート。満月の夜には帰っている必要があったので、最大3泊の予定が1泊で済み、余裕の復路だった。

 元幹部の話を聞くと、アクラブと言う名で、旧魔王の孫娘で現魔王・シドニーの名目上の正妻ジュバの元婚約者だそうだ。アンタレスの足元がグラついて、政略結婚の駒を確保する為、婚約解消されたそうだ。アクラブは、ジュバを取り戻し、御家復興の為に資金集めで盗みを働いていたらしい。

「お気の毒ですか、彼女はアルタイルに来て直ぐに、持病を悪くされまして、治療も拒み、半年程前にお亡くなりになりました。」

 パトリシアの言葉にアクラブは沈黙。ランチの時も馬車を降りようとしなかった。魔法が掛かっているので、食事をするように命令すれば従うしかないが、心中を察して放置を選んだ。

 食事を終え馬車に戻ると、ジュバの小さな肖像画に道端の花を供え、その前でアクラブは自決していた。通常の奴隷であれば、主の許可無く自決なんて許されないが、魔力で簡易的に支配していたため、このような結果になってしまったようだ。


 アクラブに手綱を任せていると、面倒なナンパは寄って来なかったが、元に戻ると、すれ違った馬車を女性が御していたら、ナンパをしなければならないルールでも有るかと思う位に洩れなく声が掛かった。すれ違う馬車は無視、たまに折り返して追ってくる馬車は、グレンダが、馬を動かないようにして置き去りにした。

 遅い時間になってようやく街に着いた。もう1泊と言う選択肢も有ったが、変身した今の姿なら授乳させられるので、デネブに戻る前に少しでも会いたいと4人の母性本能が、強行日程を選択した。

 赤ちゃんが活動する時間帯では無かったが、いそいそと子供達の元へ散って行った。パトリシアは父の誘いで呑みながら討伐の報告をした。

 大陸全体で、規模は今回程では無いが、同じ様な事象が発生しているらしい。人族の騎士やギルドと連携する調整が付いたそうだ。今回、最強、最大部隊と言えるアクラブが惨敗したことは、大陸中に伝わった筈なので、効率よく制圧出来るだろう。

 

 捕まえた盗賊達は、アルタイルが身元を引き受け、船乗りや港湾作業員として働いて貰うとの事。衣食住は確保出来るようにしてあるらしく、毎日が現地調達のキャンプの様な暮らしからはかなりの高待遇だろう。生活に困らなければ悪さもしない筈なので、社会に貢献させようとの配慮だった。

 アクラブの遺体は、ジュバの墓に並べて埋葬、()盗賊達に、アンタレス式の葬儀を任せてから、港に送り込んだ。

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