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魔王の娘ですが、継ぐ気は一切ありません!  作者: グレープヒヤシンス
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春休み

 合格発表迄はまたデネブの屋敷で過ごし、ここで暮らす準備をした。制服の下見をしたり、学校で必要な物の調達などで、商店街を梯子して時間を潰した。店員さんのオススメのスカートが異様に短くて不安なパトリシアだったが、下校時間を過ぎて、商店街を闊歩する先輩達を見ると、それが正解だと理解していた。


 合格発表は、学校の玄関に貼り出される。当日、時間を合わせて校門に並んで待った。デュアだけがハラハラだったが、無事合格。そもそも、デュアの面倒をと、一緒に受験したので、本人が合格しなければ、パトリシア達が四段校に入る意味も無い。安心して、制服を買いに商店街に繰り出した。 

 午後、寮の手続きをしに学校に行くと、受験前から仮予約が出来たそうで、殆どの部屋が埋まっていた。空いていたのは、細長い6人部屋。5階建てで4階迄は真ん中に廊下が有って、その両側に部屋が有るが、5階はその廊下が片側に有って、二部屋分繋がった長い部屋になっている。2階は個室で、3、4階が二人部屋。下から埋まって行く様だ。

 満月の夜をどうするかは問題だが、知らない子と同室よりは不都合は少ないだろう。ちょっと気になるのは、ウォーレンがデュアを嫌っていて一緒に居ると、常に威嚇のポーズを崩さない。しつこく絡んでくる酔っぱらいや、ナンパに対する鋭い眼光と成犬になって板について来た低音の唸りで距離を保っていた。取り敢えず、1番遠くなる様にベッドを割り振った。荷物をロッカーに詰め込んで寮の晩ごはんを待った。

 準備が整って、春休みを満喫。と言っても特にする事は無かったので、ギルドで依頼を熟す。ただ、Fランクルーキーのガールズパーティーには請け負える仕事が制限され、パッとした依頼は無かった。お使い程度の仕事から始めて実績を積むと、上位ランクのパーティーに同行出来るようになって、稼げる様になっていくらしい。今回は、名実共にルーキーのデュアがいるので、デュアのペースに合わせてのんびり働く事にしている。

 初日は、薬草採取。険しい山に登るが、魔物の心配がほぼ無いので、ルーキーでも大丈夫。

 サクサクとクリアしての帰り、ランチに狩って食べた鳥の匂いが呼んだのか、鋼熊(はがねぐま)、熊の魔物が襲って来た。攻撃力は大した事はないが、毛皮が以上に強く、魔力攻撃まで跳ね返すので、開いた口か、肛門を狙う。素早くは無い攻撃を躱しつつ、結界で自由を奪って行く。動けなくなって、ストレスが溜まって、雄叫びを上げる所を狙うが中々チャンスが巡って来ない。シェリーが足元を抉る魔力弾で、体勢を崩し、四つん這いになった所をケリーの矢が、弱点を捉えた。苦しんで吠えた所で開いた口からジェニーの遣りが脳天を貫いてトドメを刺した。少し時間は掛かったが、高価な毛皮をほぼ無傷で回収出来た。何とか荷車に載せてギルドに帰った

「駆け出しの小娘達が、鋼熊なんてムリに決まってるだろう?誰かが倒した獲物を色目を使って貰って来たに違い無い!」

ギルドの職員が、不正を疑った。鋼熊討伐のポイントは、Eランク昇格に値する。新人の半分は数ヶ月でFランクのまま辞めて、残った者達も、ランクアップは1、2年は掛かるのが普通なので、見掛けと、登録上て判断すると、彼の言い分も間違っている訳では無い。

「別に昇格なんてどうでもいいから、買取お願いしても良いかしら?」

パトリシアは面倒を避けようとして提案したが、

「昇格しなくていいなんて、やっぱり不正だろ?本当に自分達で倒したんならそんな事は言わない筈だ!全員、会議室に来なさい!」

シェリーはキレる寸前、何とかなだめながら、会議室に移動した。

「さあ、君達!このままではライセンス剥奪だ。良かったら私が上手く処理してあげよう。先ずは飲みに行きましょう。」

ニヤつきながら話を続けた。

「実力を証明出来ますか?無理ですよね?奥のダンジョンでオークでも狩って見ます?私がガイドに付いてあげましょうか?」

「では、明日でお願いします。8時に参りますので、ガイドお願いします。疑惑の件はダンジョンのあとで良いですよね!買取もその時で結構です。」

ジェニーが絶対零度のトークで席を立つと、ギルドの職員は反論も出来ずに、

「あ、あ、ああ。」

さっさと寮に帰った。

 翌日、しっかり装備を整えてギルドに乗り込んだ。言い掛かりを付けてきた職員はチェンと言って、女性パーティーにチョッカイを掛けて、無理矢理仲良くしたがるそうだ。今回は、不利な状況に追い込んでから、救いの手を差し伸べる作戦の様だ。

 ダンジョンをドンドン潜る。雑魚魔物を蹴散らして更に加速する。30階層迄のダンジョンで下の5階層辺りにオークが出没する。他の魔物も潜るに連れて強くなるので、ホントにFランクのルーキーなら浅い階層で引き返すのが当たり前。お昼には25階層に到達した。更に瞬殺を続けるだけじゃ無く、強力な魔力攻撃を受けても跳ね返した。チェンは、返せずに、逃げ回っていた。

 28階層でやっとオークに遭遇。やっぱり圧倒して、

「折角ここまで降りたから、最下層(した)まで行きましょ!」

ニッコリ笑うパトリシアを、チェンは青い顔で、

「君達の実力は解ったから、もう地上に戻ろう!」

声も震えていた。

「怖かったら、先に帰ってても良いのよ。」

ケリーは涼しい顔で微笑んだ。チェンは単独で動けるレベルじゃないと実感していたので、おとなしく付いて降りて行った。

 最下層でも特にボーナス的なモノは無く、巨大なオークを仕留めて、地上を目指した。15階層迄駆け上がって晩ごはん。日帰りならせいぜいこの辺で引き返すのが一般的らしい。食休みも早々に切り上げ、またまた魔物を蹴散らして深夜、3階層迄登った。もう少しの所で邪魔が入った。パーティー狩りだった。戦闘力か低いデュアをカバーしつつ、8人組をサクサク倒す。チェンは放置していると、直ぐに捕まっていた。

「武器を捨てろ!コイツがどうなってもいいのか?」

思い掛けない劣勢を逆転するつもりの切り札のつもりだろうが、

「良いですよ、どうなっても!」

グレンダは、あっさり答えて残ったパーティー狩りを眠らせて行った。チェンを羽交い締めしていた男は、安全地帯のつもりでいたらしいが、盾の筈のチェンを掠めて飛んた魔力弾の餌食になっていた。

 総勢11人、しっかり拘束してから、歩ける位に回復、ギルドに連行した。オークのポイントをこの前の鋼熊と合わせて登録し、Eランクに昇格した。

「チェンが、良いカモを用意しているって言うから・・・。」

 パーティー狩りのボスらしい男を回復させ、自白魔法で尋問。チェンの仕組んだ罠だった事が判った。他の職員の同意を得て、チェンにも自白魔法を掛けると、ルーキーや、戦闘力の低い女性パーティーを実力以上のダンジョンに送り込んで、助けて恩を売ったり、パーティー狩りに売ったりしていた事が発覚した。早速チェンはライセンス剥奪、パーティー狩りのメンバーとして、牢に、送られた。

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