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魔王の娘ですが、継ぐ気は一切ありません!  作者: グレープヒヤシンス
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アルタイルにて

「1週間でまた変身出来るなら、一旦戻ろうか?」

シェリーの提案に、3人は直ぐに賛成したが、パトリックは、

「着替えが・・・。」

「大丈夫、自分の分はあるし、パットは私達のから選んだらいいよ!」

乗り気じゃ無かったが、ここでも4対1で変身する事になった。

 元の姿になると、元々変身出来た人族の姿には自由に変われる事が解った。4人は着替えもしっかり元に戻っていて、パトリシアは4人の着替えから見繕ったが、普段のスタイルとはかなり違う、華やかで露出が多い物ばかりで戸惑っていた。裸でいる訳にもいかないので、取り敢えず、シェリーのコーデでテントを出た。

「こんな事もあるかと思てな、用意しといたんや!」

パトリシア用の下着もあって不思議に思っていたらケヴィンが説明してくれた。

「変身した状態なら、パトリック(わたし)よりもケリーが調達する方が自然だよね!じゃあ、私にも洋服持って来いって言ってくれたら良かったのに!」

「パットが自分の服、自分で用意したら、滋味なのばっかやん!カワイイの似おおとるで!」

3人の頷きにウォーレンまで、

「くーん」

同意している様子だった。


 久しぶりに元の姿になったパトリシアは、下着の締め付けが不快に感じたが、まぁ今まで通りなので、それ程違和感は続かずに慣れていた。

 男性4人になった方が、手綱の当番が楽になった。女性が馭者席でも問題は無いが、盗賊のターゲットになったり、ナンパされたりするので、出来れば男性の方が良いので、変身している間は、パトリックが務める事が殆どだった。

「パットは今回、お姫様でいてね!」

手綱を握ったジョージが小窓から笑いかけた。


 順調に帰って、アルタイルの街に入ると見慣れた街並みに、毛色の違う商店や、屋台が目に付いた。アンタレスの系統や、中立地帯から流出した人族が流れ着いて商売を始めたらしい。

 実家の屋敷に帰ると、初めて見る少年が2人、出迎えの中に混ざっていた。

「おお、よく帰った。」

魔王に挨拶に行くと、さっきの少年達をパトリシア達に紹介した。

 1人はリゲルの孫で三段校の1年、もう1人はアルデバランの嫡男で二段校の3年だそうだ。

「行儀見習いってヤツだ。三段校を出たら国に帰す。元々の魔族が仕切るのが、人族も安心するものなんだ。」

それぞれ、元のエリアを継がせるつもりらしい。

「アルデバランはいいけど、リゲルはシドニーさんが居るでしょ?」

「ああ、彼には東の要所を任せるつもりだ。お前が継ぐ気が無いようだから、ここを任せても良いとも思っている。」

東部のアンタレス直系以外の地域が混沌状態から、アルタイルに傾いて来た状況なので、そこを示して居るのか、もしかしたら、アンタレスそのものを示してるのかもしれない。パトリシアはシドニーがきちんと評価されている事を安心して、2人の少年に挨拶した。

「「姐さん、お初にお目にかかります!」」

2人とも、人族と共存共栄を目指すアルタイル流に共感して、ファミリーの運営や、人族との関わりかたを学んでいるとの事。


「この子が帰るまで、アルデバランに居て5段校を卒業して置きなさい。」

 通える姿になれる事は、来る時に確認できたので、それも可能だけれど、

「デニスを探したいわ!」

「アイツはアンタレスに逃げ込んでいる筈だ。落ち着くまで手を出さないほうが良さそうだ。時が来るのを待ちなさい。」

 パトリシアは、闇雲に探すのは大変なので、魔王の推測を信じて、学生生活を謳歌するのも良いのではと、4人に相談すると皆んな賛成で、

「満月の夜以外はベッドの隣は開放やで!」

パトリシアは頷いたが、一緒のベッドでも、大抵は重なっていて、隣に居ることは殆ど無いなと、妙に可笑しくなり笑いを堪えていた。


 ペルセウス公爵邸にウォーレン復活の経過報告に行って、現在の手詰まり状況を伝えた。夫人は旅の土産話を聴き入り、想像以上に楽しんでいた。これまでの調査を労い、

「人族ではどうしようも無い事です。無理をせずにお願いしますね。」

長期戦に、なりそうな事を聞いても落ち着いていた。


 ギルドにも顔を出して、マスター、エマ、アーリンに挨拶。パトリシアの代わりに入った新人さん2人も元気に働いていた。アパートを引き払うので、ダブルベッドの処分を依頼。引越しするにしても、その先が魔王の屋敷では素性がバレてしまい、復帰に支障をきたすので、古道具屋に運んてもらう。アパートの大家さんのところに行って解約の手続きをして屋敷に帰った。


「あなたが、そんな可愛らしいお洋服着るなんて珍しいわね!」

母は嬉しそうにパトリシアを褒めた。三段校を出てから殆ど実家に寄り付いて居なかったので、娘に着せたいと買っていたドレス等を試着させたが、一部分の成長が想定の範囲を超えていた為、背中のジッパーが上がらなかったり、無理に収めた肉塊が溢れ出したりして、実用に耐える物は無かった。

「折角だから、変身した四天王達に着せてもいい?きっとサイズも大丈夫な筈よ。」

母は、変身した彼等のファッションショーを希望したが、妖精の魔法での変身の都合で、今変身してしまうと、アルデバランまでの道中に支障があることを伝え、またの機会と言う事にした。

 道中、このまま変身した四天王達の洋服では落ち着かないので、自分好みの物を調達するつもりでいたが、母は猛反対で、手持ちの洋服をチェック。着せ替え人形にされてしまっていた。子供の頃から母の選びたがるカワイイ服を好ま無かったので、積年の欲求不満を晴らした母は、

「着られるうちに着ておきなさい。若いうちじゃ無きゃ駄目なモノも有りますよ。小さな頃に着せ替えしたかったわ。」

パトリシアは、来年の夏休みなら、1ヶ月幼女の姿で母の望みを叶えても良いかと思っていた。


 アルデバランに戻る日、パトリシアは東部の状況を父に尋ねた。

「表立った抗争を回避しながら、アンタレスを干上がらせるつもりでいる。今は実質、直系だけが残っているだけで、それ以外はアルタイルに染まっている。街道や橋を整備して、宿や食堂が出来るようになったら、アンタレスは自滅する筈だ、無血開城には数年掛かるだろうが、腰を据えて成し遂げるぞ!」

 具体的な計画が既にスタートしていて、アンタレスが抗争に踏み切れば短時間で制圧出来るし、そうで無ければ、4、5年程で内部崩壊させる筋書きらしい。

 その条件の一つとして、アルデバランがアンタレスの傘下に居続ける事が挙げられ、現状はその心配は無さそうだが、太古の昔よりアンタレスに付いていた地域なので、その不安を払拭するために、パトリシア達が5段校に残る事を勧めていた。パトリシアは、父がまた色々な角度から安全にアンタレスを崩壊させる作戦を練っていた事に感動して、馬車に乗り込んだ。

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