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魔王の娘ですが、継ぐ気は一切ありません!  作者: グレープヒヤシンス
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治療

 パトリシアは、いつの間にか手を繋いでいたタバサと並んで食卓に着いた。ちょっと高過ぎるテーブルに苦戦しながら、カボチャのスープ、目玉焼き、カリっと焼いたベーコンとフワフワのパン。ゆったりと朝食を楽しんだ。


「じゃあ、おばちゃんの部屋に来てや。」

食後、大奥様と呼ばれる、ケヴィンの母に変身の状況を診て貰った。

「魔力の巡りが極端にアカンね、停滞ならしゃあないけど、逆流は、滅多に見いへんな。」

しばらく、パトリシアの額に手の平を当てて、

「どないしたら、こんななるんやろ?満月の夜は、ちゃんと満足してはる?」

「えっ?関係有るんですか?」

「そりゃそうや!」

満月の夜は、日頃のストレスで乱れがちな魔力の巡りを正常に戻す効果があり、パトリシアは、それを避けていたので、巡りが拗れてしまったらしい。

「じゃあ、そこに横になって。」

診察台の様なベッドに寝そべると、スカートの中のその中に手が滑り込み、自分の中に指が入ったのを感じた。

「じっとしててな。」

全身がほんのり暖かくなり、力が満ちて来るような感覚を味わった。数分後、

「なんぼか良うなったけど、長い間拗れたまんまやったから、急には良くならん、毎日今の治療すんのと、毎晩満月と同んなじになるようしといたから、夜もきばってや。」

 清々しい気分でロビーに行くと、ジョージがソファーでウォーレンをひざに寛いでいた。

「あれ、あとの3人は?」

「ケヴィンの懐かしい所巡りだって。」

「ジョージは行かなかったんだ?」

「うん、パットとお買い物!」

立ち上がってパトリシアの手を取ったが、

「明日、何歳か解らないんだから、買っても仕方が無いでしょ?」

なんとか説得して買い物は回避したが、今朝借りた服でファッションショーをする事が条件だった。

 タバサを誘うと夫人と大奥様も観客になった。5着ほど着替えて、ラストに夫人もイチオシだったピンクのドレスで登場した。予想通りの反応で、

「今日はもう、そのままで居てよ!皆んなが帰った時喜ぶと思うし!」

断る術も無くお人形さんの様になって1日を過ごした。帰って来た3人の反応も上々で、

「元に戻っても少しは女の子っぽいの着ると良いのにね。」

ジョージは更に面倒なリクエストをしたが、パトリシアは聞こえなかった事にしていた。


 パトリシアは部屋に4人を呼んで、大奥様に診て貰った報告をした。

「で、ケヴィンはウォーレンをお願いね!私はジョージのトコでお泊まりで良いかしら?」

今夜の計画を決めて、ジョージと手を繋いだ。


「やっぱり罪悪感が凄いよね。普通ならどう見たって思いっきり犯罪じゃん。」

ドレスを脱ぐのを手伝いながらジョージは微妙な表情だった。

「治療だからね、協力してくれてありがとね!」

飛び上がって抱き着いて、そのままベッドに移動した。

 頭の中は罪悪感に占拠されているジョージだが、パトリシアが放つ満月の影響で身体の方は、準備万端だった。パトリシアは器用に跨り、第1ラウンドを終えると。

「次はお任せね!」

ジョージは唇を重ねて答えにした。

 インターバルの間、ジョージの手は平坦な胸で空振り、二人で大笑いした。改めて寝落ちする迄揺れ続けた。

 目覚めて覗いた鏡には然程の変化は無かったが、ドレスを着ると、背が伸びている事が確かめられた。朝食を摂り、大奥様の診察を受けた。下着の中に手が入って来るのには治療と言えど抵抗があったので、穿かずにいたら、

「準備ええなぁ。昨日よりだいぶええで!」


 午前中は、タバサの部屋でファッションショー。タバサオススメの甘々のワンピースを借りた。

「昨日は、タバサより小っさかったのに一晩で一緒位ね!どないしたら大っきなれんの?」

「私、ホントは大人なの。病気で小さくなっていてね、おばあちゃんに診て貰って、ちょっと治って来たみたいなのよ。」

「じゃあ、明日はお姉ちゃんかな?タバサ、お姉ちゃんが欲しかったん!」

満面の笑みで、明日に合わせた洋服を買いに行こうと誘うタバサに、

「明日になってみないと、どの位戻るのか解らないの。明日の朝考えましょうね。」

取り敢えず、今日の衣類は確保、新しく買うなら、出来れば自分好みにしたいので、タバサとは買いに行きたく無かった。


 その晩は、ジョナサンの部屋で過ごして、翌朝には二段校生位で、先日買った服で過ごした。タバサは2つ位上のお姉ちゃんに大喜び。ケヴィンと3人で馬車に乗ってお出かけした。


 ショーンと過ごした朝、鏡の中のパトリシアは、三段校生位になり、身長は元の高さを回復した。元の洋服で過ごせるようになって一安心。タバサは元の洋服でのファッションショーをねだったが、ラインナップを見て、買い物に行こうと強く誘った。ジョージも目をハートにして誘い、2人に押し切られて馬車に乗った。

 2人は興奮気味に色々運んで来るが、パトリシアは、淡いブルーのワンピースを選んだ。何時もよりは甘めな物にして、なんとか2人との落とし所にして屋敷に戻った。


 屋敷に戻ると、夫人が青ざめ、

「カペラにアンタレスが攻めて来たみたいなの!」

カペラとは、夫人の実家、もちろんその弟であるジョージの実家でもある。

 娼館を潰して女性を逃した時、長く連ねた馬車をベヒーモスが引いていたという目撃情報で、アルタイルの四天王、ジョージ・フォレスト・カペラが絡んでいるとして、その実家に報復しているらしい。早速出発の支度をして、朝早く出る事になった。

 ウォーレンをタバサに預け、パトリシアは部屋に4人を招いた。

「一気に戻れるかも知れないし、1人だけ2晩だと不公平でしょ?」

順に絡み合い揺れあって朝を迎えた。

 4日分戻れは元通りかと期待していたが、昨晩までの成果とほぼ変わらなかった。パトリシア本人の感覚では十代後半、あと2歳位に感じた。みかけは殆ど元通り。下着に少しゆとりがある位の違いしか無かった。魔力も殆ど回復していたので、抗争の現場でも問題ないだろう。タバサは涙目でお見送り、大奥様はパトリシアに薬を渡した。スピカ魔王は、自領への侵入を阻止する配備を指揮、臨戦態勢に入った。

「申し訳有りません、身分を伏せていた積りでいたんですが。」

ジョナサンが謝ると、

「当家は問題ないでしょう。カペラが心配ですが、援軍を出せば、向こうの本家が動く口実になります。道案内だけ出しますから、助けてあげて下さい。」

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