調教
宿に着いたパトリシアは、とある実験を計画していた。
「ウォーレン、ちゃんとバスタオル巻いてるでしょ?大丈夫、裸じゃないよ。」
振り返ったウォーレンは、ソファーに座ったパトリシアに寄り添った。抱き上げて膝に乗せて毛並みを堪能していた。素肌の太腿に乗せられたウォーレンは、普通は見えない部分が、バスタオルでは隠しきれていないのは気にならない様で、うっとり撫でられていた。こういった所は仔犬の思考力の様だ。
元々、全裸で寝ていたパトリシアは、ウォーレンと一緒に寝たくて我慢して浴衣を着ていたが、今日の実験結果から、バスタオルでも大丈夫と判断。そのまま抱いてベッドに入った。掛け布団を被ってそっとバスタオルを外す。ウォーレンは気付かず、そのままベッドに留まっていた。
朝、パトリシアの膨らみに埋もれて目を覚ましたウォーレンは、慌ててソファーに逃げていたが、服を着るといつもと変わらない対応だったので、パトリシアは実験をステップアップ出来そうだと確信した。
日中はいつもの様に馬車に揺られ、宿では実験の第2ステップ。この夜は、バスタオルの代わりに、タオルを2枚、ビキニの様に上下に巻いた。下は収まり良く巻けたが、上は中々上手くいかず、脇に挟んで何とか隠していた。ウォーレンは昨夜と同じ反応でベッドに入ると、外そうと思わなくても布団の中に紛れてしまったが、ウォーレンはそれでも昨夜と変わらなった。目覚めの反応も同じで、更に確信を深めた。
第3ステップでは、タオルを下だけ巻いた。ウォーレンは、背中を向けてしまったが、上だけにして、
「タオル巻いたよ!」
ウォーレンはパトリシアの膝にいた。途中、タオルを首に掛け、なんとなく隠れる感じにしてみても、ウォーレンの反応は変わらなかった。この実験はここ迄で大成功として、ほぼ希望の姿でウォーレンと眠る術を見つける事が出来た。
「もう1つの実験もやっちゃおうかな?」
ウォーレンが人族に戻るのは、満月の夜。ただし、満月に反応しているのではなく、満月に反応したパトリシアに反応している筈。パトリシアは、他の夜でも、自分がそのような状態になったら、ウォーレンが反応するのではないかと考えていた。
敏感な部分を自ら刺激して悦びを模索したが、満月の夜以外でそのような感覚になった事が無く、どちらかと言うと、不快の部類に入る感触しか得られなかった。暫くトライしたが、良い結果は得られず、残念ながら実験は失敗に終わってしまった。
朝食の時、実験の結果が顔に出てしまった様で、
「なんや?微妙な顔して。ワンちゃんと喧嘩でもしたんか?」
パトリシアは、成功した方の実験結果だけを話した。
「成功の割に、浮かへん顔やなぁ。別に失敗もしたんとちゃう?あっ耳、赤こうなった!」
結局、失敗した方も報告するハメになり、正直に打ち明けると、
「それなら、良い物があるぞ、出発前に店を覗いて見よう。」
ジョナサンは、サッサと買い物に出掛けていった。
直ぐに戻ったジョナサンと、馬車を出した。途中、温泉の看板を見つけてパトリシアが誘った。
「寄れない距離じゃなさそうだけど、多分混浴だぜ。良くてこの前の所って感じだと思うんだけどな。」
ショーンは乗り気じゃ無かったが、パトリシアが押し切って寄り道する事になった。
この前の温泉に引けをとらない絶景だが、脱衣場は無いと言ったほうが正解だろう。屋根だけ有ってその下が荷物置き場になっていた。
パトリシアはサッと脱いで温泉に直行。4人も続くと、ウォーレンもそれに続いた。
「折角だから、うんとリラックスしようよ!」
ジョージが変身を解くと、3人も続いて、パトリシアも角を出した。ウォーレンは怯える事も驚く事もなく犬かきを楽しんでいた。
しっかりリフレッシュ、また人族に化けて山道を降りた。途中、ギルドの馬車が停まっていて、手を振って停止を求めていた。
「温泉に行こうとしていた人が、何か強い魔力を感じたって、ギルドに逃げ込んで来たんです、大丈夫でしたか?」
「なんや、ごっつうデカイ魔鳥が飛んでたけどな、暫く、温泉とこ旋回して、山の方に飛んでったでぇ。」
「ああ、それなら良かったです。ご無事で何よりです!」
ケヴィンは女性職員さんに見えない角度で、ペロリと舌を出して笑っていた。良く見ると、路面の雪には、数台の馬車がUターンした跡が残っていた。
今夜泊まる街の人なので、馬車を連ねて、ギルドに向かった。明日出来る依頼を見繕って手続きを済ませた。
宿についてから食事に出掛けた。ペット同伴可の食堂を見つけて、定食を頼んだ。犬用も提供してくれて大満足。ほろ酔いで宿に戻った。
「コレ、今朝言ったやつ。」
ジョナサンが紙袋を渡した。パトリシアは、中身を確かめずにウォーレンと部屋に入った。
紙袋の中身は潤滑剤で、枕元に置いてベッドに入った。肩に掛けたタオルが枕元に有ってもウォーレンは気付かず隣で眠っていた。パトリシアが実験を開始。
潤滑剤のお陰でかなりの高揚感を味わった、心拍数が上がり、呼吸も乱れて来た。ウォーレンは仔犬のままだった。鼓動を聞かせて、自分の状態を伝えようと、ウォーレンを胸に乗せたが、ここちの良い膨らみに埋もれて幸せそうに眠っていた。
翌朝、実験の報告をすると、
「パットがもっと上手くなったら状況が変わるかもしれんぞ!アレまだ何回分も有るだろ?」
ジョナサンは上達する迄頑張る様に勧めるが、パトリシアはすっかり無視していた。満月の夜では、人族に戻っても意識が無いので、別の日ならば、もしかして意識が有る状態になるのではとのパトリシアの予測、いや、希望だった。まあ、それ程都合の良い実験結果が出る訳じゃない事は想定済みだったので、次に何か思い付いたら、またその時って事で実験の話しは、パトリシアが強制終了させた。
一旦部屋に戻って、ウォーレンに話しかけた。
「ねぇウォーレン。私が魔族なの解ったでしょ?」
「くーん。」
「それでもお嫁さんにしてくれるの?」
「くーん!」
「国のお仕事続けるなら、正式な結婚じゃなくてもいいよ、、、、」
「ウー!」
「ふふふ、会話出来てるのかしら?『くーん』がイエス、『ウー』がノーなの?」
「くーん、くーん!」
「やっぱり、そうなのね!大切な事は、人族に戻ってからにしましょうね。取り敢えずいまは、フィアンセって事よね?」
「くーん!」
パトリシアは抱き上げてキスをしようとしたが、ペロリと舐められていた。その後、全裸で寝ても一緒に寝る事を交渉し、『くーん』を勝ち取っていた。