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魔王の娘ですが、継ぐ気は一切ありません!  作者: グレープヒヤシンス
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デニスの足取り

 ジョナサンとケヴィンの話し。


 殆どが人族で、若い男女がけたたましい音楽に合せて踊っていた。2人は、中でも少しは耳に優しいバーカウンターに避難して、呑んでいたら、女の子の4人グループが話し掛けて来た。デニスに繋がる情報は無く、さっさと引き上げるつもりが、女子の勢いに負けて、呑んで踊った。

「いい温泉があるの!一緒に行かない?」

「ツレがあと男2人女1人犬1匹やけど、一緒でええか?」

明日の12時にギルド前で待ち合わせて宿に帰った。


 ショーンとジョージの話し。


 酒場は賑わっていて、魔族も人族も楽しく呑んでいた。魔族の幹部クラスと思われるヤツの自慢話が耳障りだったが、その連れのオジサンに昔話を聞くことが出来た。

「15年位前かな?もっとかな?」

行き倒れの少年を助けた事があったそうだ。

「10歳は過ぎてたかなぁ?」

追放になった時期や年齢からは、デニスである可能性が残されている。瀕死の重体で、魔力を封印されていたため、回復魔法も効かず、夜通しの看病も叶わず亡くなったと思ったら、数時間後ムクっと起き上がり、回復魔法を受けると、どんどん良くなり、3日ですっかり元気になったそうだ。掛けてあった封印も解けて万事上手く行ったように思えたが、少年は記憶を失っていたらしい。数日はここで暮らしていたが、いつの間にか居なくなっていたそうだ。西の方の国で、見掛けた噂があるらしいが、それも最近の事では無いので、今、何処でどうして居るのかは解らない。

 もう1人のオジサンは、手当をしていた魔術師を知っていると言うので、棲家を教えて貰えた。伝え聞いた内容だと、デニスの可能性は大きく感じ、訪ねて見る事にして帰って来た。

 

「じゃあ、午前中に魔術師さんに会いに行って、その娘達と待ち合わせてランチかしら?」

パトリシアは、女性も一緒なら楽しいだろうと乗り気で計画を確かめた。


 翌日、魔術師に会いに行き話しを聞いた。デニスの事はハッキリ覚えていて、

「あんな封印は後にも先にも見た事有りませんな、この上なく強力だったのに、死ぬ寸前、スッと解けましてな、慌てて回復魔法を掛けたらウソの様に元気になって、いつの間にか居なくなっていました。」

 封印の強さと複雑さに驚いて、16年経っていても鮮明に覚えていた。デニスに間違い無く、その後、西に向かったと噂に聞いたそうだ。


 追放されたデニスが、ここ迄来て、死にかけて、封印が解けて、元気になった所迄は、間違い無いようだ。その先、西に向かったのもある程度信用出来るだろう。西の中立エリアを調べる事にして、ギルドに向かった。


 ギルド前で待っていたのは、セクシーなお姉さん達。厚手のコートを通して色気が滲んでいた。馬車の定員はオーバーするが無理矢理乗って、お姉さん達の視線を読み取って、パトリシアが手綱をとった。

 暫く馬車に揺られ、街道から離れ山道を登ると、真っ白い山、凍った滝、キラキラの樹氷、振り向くと海と言う絶景で、何とか馬車1台ギリギリ停められるスペースと、小屋が1つ。小屋の向こうから湯煙が立ち昇っていた。小屋は半分に仕切られ、男女別の脱衣場になっていて、パトリシアはセクシーなお姉さん達と服を脱いだ。お姉さん達は、パトリシアが脱ぐまでは自信満々だったが、少し大人しくなって、横目で牽制していた。

 さて、温泉に入ると、絶景はそのまま、男女の仕切りは無く池の様に温泉が湧いていた。一瞬驚いたけど、色々と見られた仲なので気にせずに一緒に浸かった。誘った方のお姉さん達は、脱衣場から中々出て来なかった。

「様子見て来ようか?」

脱衣場を見に行けるパトリシアが立とうとすると、

「いや、待ち合わせのメンバーが来ないんだろ?」

ショーンはお湯でジャブジャブ顔を洗いながら伸びをした。

 混浴を理解しているのか、ウォーレンも一緒に入っている。直視は避けているようだが、全裸のパトリシアがシャンプーしても大人しくしていた。

 温泉と絶景を堪能して、そろそろ上がろうって時までお姉さん達は脱衣場に籠もっていた。

 パトリシアが脱衣場に入ると、お姉さん達は既に服を着ていて、一人の手の甲にはバツ印のミミズ腫れ。パトリシアが自分の籠に掛けた結界のトラップで、籠を物色しようとすると、手の甲にマークが出来る様に仕込んで置いた。別に被害は無いので、咎めずに支度をする。

 魔法で熱風を起こし、髪を乾かし、ウォーレンも乾かした。帰る準備が整うと、

「俺達もう行くけど、どうする?」

ショーンがお姉さん達に聞いた。パトリシアが不思議そうにしていると、

「ツレのお兄さんが来たとき、誰も居なかったら可哀想だろ?」

お姉さん達の顔から血の気が引いた。皆んな気付いていたらしいが、美人局だったらしく、騙されたフリして怖いお兄さん達を捕まえて、噂ばなしとかをアテにしていた。怖いお兄さん達は、四天王の格を読み取り、温泉に踏み込むことも無く、退散した様だ。停めていた馬車にも結界が張ってあり、開けようとして弾き飛ばされた跡と、馬車が∪ターンした跡があった。

「じゃあ、ここでお別れだね!」

お姉さん達を放置して、馬車に乗って山を降りた。

 少し降りると、馬車が停まっていてピタリと横につけると、

「女を見捨てるなんて、美人局としても最低だな!脱衣場で震えているから迎えに行ってやんな。」

そう言ってショーンが指を鳴らすと、

「う、、動いた!」

魔族の男が6人、また∪ターンして温泉に向かった。

「この馬車にワルサをしたら、5分後にフリーズする様に仕掛けてあったんだ。デニスの事ならチンピラに聞くのが丁度良いと思ったんだけどな。何か、あそこ迄腐ってると、話しもしたくないな。」

「ねぇ、あいつ等が踏み込んで来たら私、入浴シーンサービスしてたの?」

「いや、温泉全体に結界張っておいたし、入れるのは脱衣場だけでそこがトラップで出て来れないから心配無かったよ。」

ジョージは手抜かり無しと胸を張った。

 街道迄降りると、泊まっていた街には戻らず、西に進路を取った。夕方には小さな集落に着く算段で少し速度を上げ、傾くお日様と競走。計算通り西の空が赤いうちに目的の集落に辿り着いた。

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