表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/301

第46話 顧問のお仕事③

「おい、ふーみん。いくらさゆりんの巨乳が気になるからってそんなにチラチラ見るなよ」

 愛音(あいね)が指摘すると、紗百合(さゆり)はサッと胸を隠すように腕を差し出した。

「み、見てないですよ! え、みんなもなにその目……そんなことしないよ、ほんとだよ、疑わないでよ……」

 しかし、詞幸(ふみゆき)の目が泳ぐのを織歌(おるか)は見逃さなかった。

「誤魔化すのが下手だな。必死に否定すると怪しさが増すぞ」

「詞幸のエロ(ゆき)ぃ」

「うぅっ……」

「まぁまぁ、そんなに責めてやるなよ。本能には逆らえないんだから仕方ないだろう? アタシも見るな、とは言ってない。『チラチラ(・・・・)見るな』と言ったんだよ」

 詞幸に労わりの目を向け、愛音は肩を竦める。

「さゆりんだって男どもの無遠慮な視線には慣れたもんだろ?」

「まぁいい気分ではないけど……中3くらいからもう視線は感じてたから、慣れっていうのはあるわね」

「男子って基本馬鹿だからねぇ。太ももなんかもそうだけどさ、ガン見もチラ見も変わんないから。こっちはどっちもバッチリわかってるっつの」

 小馬鹿にしたように詩乃(しの)は鼻で笑う。その視線は詞幸に向いていた。

「あっ、わかるー。むしろチラチラ見られる方が目の動きでわかりやすいのよねー」

 すると、我が意を得たり、とばかりに愛音がほくそ笑んだ。

「ふーみん、いまの聞いたかっ? チラチラ見ようがガッツリ見ようが関係ないんだとさ。アタシたちの動きは完全に筒抜けなんだ。だったらガッツリ堂々と鑑賞した方が目の保養になると思わないか?」

「え、でもそれって失礼なんじゃ……」

「馬鹿野郎ッ、失礼なワケあるか! こんだけ大層な代物をお持ちなんだ! むしろじっくりねっとり見てやらない方が失礼ってもんだろーが!」

「……ッ!」

 それは衝撃的な一言だった。まさに天地がひっくり返るような、これまで考えたこともない発想に詞幸は一瞬放心した。

「――た、確かに愛音さんの言うとおりかも……! 先生、俺、さっきからチラチラ盗み見てすみませんでした! これからはじっくり鑑賞します!」

「ちょ、えっ? なんでそういう流れになるのよ!?」

 一礼の後、物凄い眼力で胸部を凝視してくる詞幸に、紗百合は狼狽することしかできない。

「困るわ、こんなことっ……小鳥遊(たかなし)さん、あなたが元凶でしょう!? なんとかして!」

「うるさい! そんなアブナイもん持ってる方が悪いんだ、このHランクめ! これは危険物取扱責任者の義務だ!」

「わたしだって好きでこんなカラダになったわけじゃ」

「こちとら安全性能最高評価のAAA(トリプルエー)ランクだぞッ! アタシにさゆりんの気持ちはわからない、さゆりんにアタシの気持ちがわからないようにな!」

 巨乳には憧れるが、妬まずにはいられない。

 それは、愛憎が複雑に乱れる慟哭だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ