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幻想絵画

これはどこでもない 閑寂な大部屋に

一枚だけ掛けられた 巨大な絵画についての詩


絵の中心にいるのは

黄金の竜を模した魔剣の その切っ先を

絵の左側に向けている

悲哀を宿した紅紫の瞳と左目に眼帯をした黒衣の男


黒衣の男の視線の先

絵の左側で描かれたのは

憎悪に顔を歪め 白刃を携えた

老若男女入り混じった 数多の人間たち


絵の右側に描かれているのは

麗しきエルフの女性たちと 色彩数豊かな竜の群れ

さらには、心から穏やかな顔をしている魔族たち


そして、緑溢れる巨樹のその幹の中心には

水晶の棺に眠っている女神にも似た美女


巨樹の樹冠には この世のものとは思えない

見るものを惹きつける美しき花が描かれていた


気がつくと、巨大な絵画の隣に

黒いドレスを着た一人の少女がいた


これよりは少女が語った言葉を綴ったものとなる


「私はヘカテー

世界の傍観者として存在する者


この絵画について、あなた方に話しましょう


この絵画は

とある長大な物語を絵画という形で

一つにまとめられたものとして、描かれたものです


この絵画に描かれたのは、極論的に分けるなら


左半分が

傲慢に満ちた人々による

果たされることのない愚かしき復讐を


右半分が

黒衣の男によってもたらされている平安を


それぞれ表しています


黒衣の男の持つ剣が

数多の人間たちへと向けられているのは


黒衣の男と人間たちとの一つの戦争の物語を

表しています


絵画の右側に

描かれているエルフや竜や魔族は

黒衣の男という守護者による平安を

表しています


また、大樹と

水晶の棺の中にいる女性は物語全体の主要な役割を表しています


そして、

大樹の頂に咲いている美しき花は

黒衣の男の抱いた純愛から始まる願いを


物語の終結を表しています


ご理解いただけたかしら?


黒衣の男が誰なのか気になるのなら

仄めかす程度に教えましょう


新たに紡がれた追憶

人々の憎悪を退け竜 たちと共に

守るべき者たちを守った闇の王


神の狂気と戦い 勝利を得た初子


ここまで言えば

黒衣の男の正体が知恵を巡らすなら

自ずと分かりましょう


そう、ジクソーパズルを当てはめて完成させるように――」


《終》



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