第1話 LRO
皆さんお久しぶりです。リムス改めルルカナートです。全アカウントで統合の活動報告を書いてから随分と時間がたってしまいましたことお詫び申し上げます。本日からLROの投稿を再開致します。至らぬ点もございますが何卒よろしくお願いします。
以前投稿していた内容をリメイクして投稿しているのでよろしければ読んでください。
作者名は暫くこのままにしておきますが、1月末頃にルルカナートにする予定ですのでご理解のほど宜しくお願い致します。
それでは前置きが長くなりましたが『Legend Race Online『(リメイク版)』をお楽しみください。
暑い日が続いている今日この頃Legend Race Onlineは多くのプレイヤーで賑わっていた。現在多くの人が活動拠点にしている王都には約5000人の人が集まり宴会やらトークなどをしながら楽しんでいた。そんな王都から少し離れた森の中、そこには白をベースとした鎧を着て片手剣を持っている人と水色をベースとした服を着て杖を持っている人がいた、その2人は美少女でありその2人のほうから奇妙な声が鳴り響いている。
『キシァァァァァァァァァァァァァァア』
「サナ、右からさらにリザードマンが2匹接近してきてるよ。」
「了解、お姉ちゃん」
妹はそう言って目の前にいたゴブリンを片手剣で倒すとすぐさまリザードマンの方へと走って行った。
視界に表示された自分のHPゲージを確認すると残り7割を指していた。ふとサナのHPをみてみると残り3割しかなかった。これまでの連戦でダメージを負っていたのだろう。
「ちょっと、サナ回復するの忘れてるよ。」
わたしはそう言ってすぐさま詠唱を始める。
「『ハイヒール!』」
詠唱が成功し魔方陣が出現しサナのHPを回復させていく。
「ありがとう、お姉ちゃん。よ~しいっくぞ〜」
向かってくる2体のリザードマンを裁きながら少しずつダメージを入れていく。わたしも後方から魔法で援護する。モンスターのヘイトを意識しつつ攻撃しているのであまり大きな攻撃が出来ていない。
「む〜う、ちょっと手強いなあ」
妹がそう口を開くのも仕方ない、リザードマンは防御力が高くHPも多いため、今のレベルではちょっと手に負えないのだ。
(う〜んやっぱり今のレベルだと厳しいかな?もう少しレベルあげてから挑戦するかパーティーをしっかり組むべきだったかな)
そう心の中で反省していると森の奥からワードウルフの鳴き声が聞こえてくる。
(ま、まずい、リザードマンを相手にするだけでやっとなのにここにワードウルフが加わると2人では勝てなくなる。)
「お姉ちゃんどうする?」
「わたしが支援魔法かけるから目の前の敵だけ倒して王都に戻ろう」
「了解!じゃあよろしくね」
サナは再びリザードマンに向けて走って行き交戦を繰り広げている。
(たしかリザードマンの弱点は雷と火だったよな)
『武装属性宿し(ウェポンエンチャント)! 雷!』」
サナに強化を施し、自分も詠唱を開始する。
「ありがとうお姉ちゃん。いっくよ〜」
「『ムーンブレイカー』」
サナはスキルを発動させリザードマンに斬りかかった。
その威力は大きく1体のリザードマンのHPを残すことなく減らしたが、もう1体のリザードマンのHPはまだ3割残っていた。
「ごめんお姉ちゃん、1体倒しきれなかった。」
妹がそう謝罪するとわたしは笑顔で答えた。
「大丈夫よ!後は任せて!」
わたしは詠唱を終え魔法を発動した。
「『雷鳴』」
杖から凄まじい雷が飛び出しリザードマンに向けて一直線に飛んでいくと残りのHPを全て削った。
「もうお姉ちゃんてばやりすぎだよ、どう考えても今の攻撃はオーバーキルだよ。」
「あはは、ごめん、ごめん、次からは気をつけまーす。」
サナに痛いところを突かれ苦笑いしながら答えた。
「とりあえず一旦補給のために王都に戻ろうか。」
「うん!」
元気よく返事したサナと一緒にわたしは王都に向かって歩き始めた。
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長い1学期が終わり明日から夏休みを迎えようとしていた今日この頃。わたし、水無月 瑠理香は学校の終業式に参加しHRが終わり本を読んでいた。
「る〜り〜か!」
突然名前を呼ばれ本から顔を上げると前の席に座り後ろを向いて話しかけられていた。
「美穂どうしたの?」
話しかけてきたのはクラスメートの美穂であった。鳴陽高校は中学校からのエスカレーター式なので美穂とは中学からの友達だ。
「今日の美智留先輩可愛かったねー!」
「美穂ってば毎日同じこといってない?」
「だって、美智留先輩かわいんだも〜ん。」
「はい、はい、わかったから。」
美穂は美智留姉の大ファンであり美智留姉を見るたびおんなじことを言っている。
「瑠理香いいなー先輩と同じ家で暮らしてるんだもんね。」
「まあ姉妹だしふつうじゃない?」
「そっか・・・そうだよね。ところでさあ瑠理香はLROって知ってる?」
「知ってるよ。明日サービス開始する新作ゲームだよね?」
LROは大人気のゲームであり初回販売20000本は僅か2時間で完売したゲームである。
「瑠理香はやらないの?」
「わたし?やらないよ。ソフト持ってないし、ゲームそこまで得意じゃないから、美穂はやるの?」
「うん、お父さんが徹夜でお店に並んでくれてさちょっと早い誕生日プレゼントだって言ってくれたんだ」
(美穂の誕生日はたしか10月だったはずだから、ちょっとはやすぎじゃないかな?)
「そっか、よかったね、お父さんに感謝しないとだね。」
「そうだね、でもこれで夏休みは思いっきりゲームが出来るよ。」
「ゲームばっかりじゃなくてちゃんと宿題もしなよ。」
「はーい、頑張りまーす。」
「よろしい、じゃあまた2学期に会おうね。」
「うん!じゃあまたね。」
美穂はそういいのこして速足で帰っていった。美穂は夏休みになると実家に帰省するため県外に行ってしまうので、夏休みに遊ぶことができないのだ。
「そろそろわたしも帰ろうかな」
わたしは荷物をまとめて教室を出た。今日は終業式のみなので荷物は少なく鞄はとても軽かった。学校から歩くことおよそ20分のところに自宅はあった。
「ただいまー!」
玄関の扉を開けると二階から速足で降りてくる足音が聞こえた。
「あーお姉ちゃんやっと帰ってきた。遅いよ。」
わたしは遅いといわれ時計を見た、時刻は12時少し前だった。終業式が終わったのは11時少し過ぎたぐらいの時間だったので、そこまで遅いといった時間ではないはずだ。
「ごめんね、ちょっと友達と話してて遅くなっちゃった。」
「も〜う、しっかりしてよね。」
「ごめん、ごめん」
「もうすぐ美智留お姉ちゃんも帰ってくるってさっき連絡あったから早くお昼ご飯作ってよ」
「たまには自分で作ろうと思わないの?」
「私が作るよりお姉ちゃん達が作ったほうがおいしくできるんだもん。」
妹は家事が得意でなく、料理を作っても食べられないことはないのだが味がしなかったり切り方が変だったりするのだ。
「じゃあ今度料理教えてあげようか?」
「ゲームする時間が減るから遠慮します。」
断る理由が妹らしいといえば妹らしいのだが、家族としてそれはどうなのかと思っている。そんなやり取りをしたあとわたしはキッチンへ行き料理を始めた。今日のお昼はペペロンチーノとサラダである。料理が終わり盛り付けをしていると玄関の扉が開き声が聞こえてきた。
「ただいまー!」
声が聞こえてくると妹が玄関に行き姉を迎えている。
「おかえりなさい、美智留お姉ちゃん。」
「ただいま紗奈恵!」
そういったお姉ちゃんは紗奈恵の頭を優しくなでた。
「・・・っん!」
妹は嬉しそうにしている、姉は妹の頭を嬉しそうに撫でた後リビングにやってきた。
「いいにお〜い。」
美智留姉は食卓に並べられたお昼ご飯を満足気に眺めている。
「簡単なものでごめんね」
私がそう謝ると美智留姉は嬉しそうにしこういった。
「瑠理香が作った料理はとってもおいしいからどんなのでも大丈夫だよ。」
お姉ちゃんはシスコンであり私たち二人には甘々でありあまり怒られた記憶がない。
「またそんなこと言って、冷めないうちに早く食べようよ。」
「「はーい!」」
二人がそう返事すると食事が始まった。
「お父さんとお母さんは?」
妹がそう聞いてきたのでわたしはこう返した。
「お父さんは昨日から会社に泊まり込みでお母さんは小説家さんと打ち合わせがあるからって出版社に行ってるよ。」
「ふ〜ん、そうなんだ・・・」
せっかく質問に答えてあげたのに興味ないみたいな反応したよ、私がそう考えながらご飯を食べていると今度は姉が口を開いた。
「そうだ、瑠理香に渡すものがあるから食べ終わったら部屋に戻らないでここに来てくれる?」
「え?うん、わかった。」
「美智留お姉ちゃんアレ渡すの?」
「うん、そうだよ、さっき取りに行ってたアレを渡すんだよ」
「そっか」
美智留姉がそう言うと紗奈恵は嬉しそうにご飯を食べ始めた。紗奈恵が貰うわけじゃないのなんでそんなに嬉しそうなのか疑問に思いつつもわたしはお昼ご飯を食べていた。
食器洗いは料理を作らなかった2人のうちのどちらかがやることになっているのだが2人は食べ終わってすぐに何やら袋の中を「ガサゴソ」と漁っておりニヤニヤとしていた。
そんな二人に代わって私は皿洗いをすることにした。
皿洗いはそれ程時間がかかるわけではないと調理器具は食べる前に洗い終わっているので後はフォークとお皿を洗い片付けるだけで後片付けは終了するのだ。
洗い物が終わってから私はリビングに戻った。
「それで、わたしに渡したい物って何?」
「瑠理香に渡したいのはこのソフトVRギア専用『Legend Race Online』だよ、明日から正式サービス開始だから一緒にやろうね、」
「ええ〜、ちょ、ちょっと待ってよ。わたしやるなんていってないし、第一わたしがゲーム得意じゃないの姉さんは知ってるでしょ?」
そう、わたしはゲームが得意ではなくあまり乗り気ではないのだ。ゲームするよりは本を読んでいたいタイプの人種である。しかもVRゲームは従来のゲームと違い自分の体を動かさなければいけないためインドアなわたしはどうも苦手なのだ。
「でもお姉ちゃんVRギアを持ってるじゃん、それに運動神経もいいんだし一緒にやろうよ。」
「確かに持ってるけど、あれは父さんからのプレゼントでわたし達全員持ってるじゃん。」
そう、VRギアというものはVRゲームをするために必要なもので、値段もそれなりにし高校生が買えるほどのものではないのだ。わたしたちがなぜVRギアを持っているのかというと、ゲーム好きの姉さんと妹が父さんに頼み込んで買ってもらったのだ、父さんは娘に甘く遊ぶなら三人で遊んだほうが楽しいだろということで三人分購入していたのだ。
「確かに持ってるけど、VRゲームってあんまりやったことないんだよね、というかそのソフトどうしたの?ニュースで限定2万本って言ってたソフトだよね、そんな簡単に手に入るものじゃないよね?」
「ああ、これ?お母さんに頼んで買ってきてもらったんだ、これで全員でプレイできるよ。」
「お母さんに頼んだの?あの忙しい人に?あまり迷惑かけちゃだめだよ。」
「は〜い、」「わかってるわよ」
「でも、ソフト一本だけじゃ三人でのプレイは無理じゃないかな?」
「あら、わたしと紗奈恵はβテスターだからソフトを持ってるから心配しなくても大丈夫よ。」
姉は嬉しそうに笑みを浮かべている。紗奈恵もどこかウキウキしているようだった。
というかβテスターは1500人限定のはずなのに我が家から2人も当選していたことに驚きを隠せていなかった。
「お姉ちゃ〜ん、一緒にやろうよ。」
妹は上目遣いで言ってくる。わたしは妹のこの顔に弱く勝てたためしがないのだ。
(こうなったら一緒にゲームをするしかないか、でもゲームはあんまり得意じゃないから適当なところでやめようかな・・・)
「いいけど、LROってどんなゲームなの?わたしよくわからなくて・・・」
「えっとLROっていうのは、プレイヤーがそれぞれ種族を選び、それぞれの種族の特徴を生かしながら戦うVRMMOだよ。レベル制でプレイヤーはステータスを自分好みに割り振ったり、スキルを修得したりできるよ。」
「ふ〜んそうなんだ、ちょっと面白そうだね。」
「でしょ、でしょ!」
「ところでその種族ってどんなのがあるの?」
「え、え〜っと・・・」
わたしがそう聞いた途端妹の言葉が少し詰まった。
(さては覚えてないな、ゲームをやってるわりに種族については詳しくないようだ。)
「お姉ちゃんはどんな種族があるかしってる?」
「ええ、一通り知ってるわよ。」
「どんな種族があるのか教えて!」
わたしが目をキラキラさせながら聞くと、姉は嬉しそうに答えてくれた。
「えっと、まず一般的なのが人族、あとドワーフ、エルフ、獣人、この4種族がだれでも選べるオーソドックスな種族ね。次に上位種族なんだけど、竜族やハイエルフ、ウンディーネ、イフリート、シルフ、ノームが代表的ね、これ以外の種族も存在してるみたいなんだけど、超レアケースみたいでβテスターの中でなれた人は誰もいないわ。」
「結構多いなぁ」
わたしが種族の多さにびっくりしていると妹が補足で説明をしてくれた。
「ちなみに、人族は能力が平均的で癖がないのが特徴だね。ドワーフはHPが多くVITが高いけどMPとINTが低く魔法を使いたい人には向かない種族だね。エルフはMPとINTに大きなアドバンテージがあるよ。上位種族にも特徴がいっぱいあるけど、ウンディーネは水、イフリートが火、シルフが風、ノームが土属性が得意って覚えとけばとりあえず大丈夫だよ。」
上位種族であるハイエルフはエルフの上位互換であり魔法で攻撃もさながらSTRもエルフより上がりやすいのでやろうと思えば可能である。また初期でもらえるアイテムを身に着けていれば自分の種族の苦手とする分野にレベルアップで獲得できる得な分野ポイントを振り分けることも可能である。
ウンディーネ、イフリート、シルフ、ノームの4種族は精霊と呼ばれているハイエルフとステータスは変わらないがスキルがすこし違う。
例えばウンディーネを例に挙げると最初から水属性のスキルが付いておりレベルも上がりやすくなっている。正し苦手な属性というものも存在するウンディーネは風、シルフは土、ノームは火、イフリートは水である。この
苦手な属性の攻撃は通常よりも多くのダメージが入る。さらにこの苦手な属性は覚えることが出来ないのだ。どうしても使いたい場合は仲間に一時的に付加術をかけてもらうか属性武器を使用するしかない。
苦手な属性は耐性防具を着ることでカバーすることもできる。
なるほどそれぞれの種族にはメリットとデメリットがあるのか、魔法職に就きたいならエルフやウンディーネなどになったり近接職なら獣人やドワーフ、まんべんなく戦いたいなら人族って感じかな?あれでもさっき姉さんは基本種族と上位種族の二つがあるって言ってたな、基本種族は誰でもなれるって言ったけど上位種族にはどうやったらなれるんだろう?ふと不思議に思いわたしは聞いてみた。
「ねえ、上位種族ってどうやったらなれるの?」
「上位種族はね、種族を選ぶ段階でランダムで決めるっていう選択肢を選択することでなれるよ、まあデメリットもあるんだけどね。」
「そのデメリットって?」
「まずランダムで選んだ場合一回きりで変更することができないし、どんな種族になってもその種族を変えることができず自分のやりたかった種族と異なる場合があるし、そのほかに上位種族になれずに基本種族になる人や混合種族になる人がいるってことかな。」
「混合種って何?」
「混合種族っていうのは、別々の種族がマジっちゃうことだよお姉ちゃん、例えば人族とエルフでハーフエルフとかな、ステータスが特殊なんだよね、エルフはまだバランスが取れてるんだけどハーフエルフはINT・MIND特化でほかの能力が低いんだよね。半獣人のはAGIとSTRが極端に高くて他がすごく低いからソロでやる分にはいいけどパーティー向きじゃないんだよね。」
「詳しい解説ありがとう。」
わたしは2人にお礼を言ってソフトを受け取り部屋に向かって歩いて行った。
「正式サービスは明日の正午だから、アバター制作はそれまでにやっておきなさい。」
「はーい!」
姉さんにそう言われわたしは部屋に入って静かに本を読み始めた。
日が明けた翌日、瑠理香は6時に起き朝食を食べ、アバター制作をするべく久しぶりにVRギアをかぶり、仮想世界へと意識を手放したのであった。
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