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出る事が出来ない牢獄

 

 彼は一つの道を歩いている。そこは光に照らされているように見えるが中心には闇が広がっている。何かから逃げ出すように出てきたはいいが、自分が何をしたいか、どうしたいか分からず、ただただ歩いていた。闇の中心に近づく度にもう後戻りは出来ないんだな、と彼は思う。レイカと言う女と出会い、何故か気になった。彼女の鞄をあさって、何か情報を得ようとしたが、何もなかった。しかし4つの番号が鞄に刺繍されており、もしかして、と彼女のスマホを取り暗唱番号を押してみると、ビンゴ。不用心だな、と思いながら中身を確認すると、怪しい地図の画像が出てきた。そしてKJと書かれている。どういう意味かは分からないが、何かのヒントに辿り着けたのは間違いないだろう。僕は冷静な表情で彼女のスマホと共にこの場所にいる。


 地図は複数枚あって、元は一枚の地図のようだ。しかし何当分にも分かれていて、見にくい。それでも加工アプリを使って少しずつではあったが合わせてみたら、御園コーポレーションの下に地下室があるように書かれていた。御園コーポレーションは表向きは薬などの開発に携わっている。しかし昔ある事があり、調べた時に裏で人体実験をしていると言う噂を聞いた事があった。あの時はそれが事実かどうか判別がつけれなかったが、この地下の道を歩いていると、情報は確実なんじゃないか、と思ってしまったりもする。自分で確認していないので、どうにも言えないのが現状だが、そんな気がするんだ。


 彼はそんな事を思いながら、スマホの裏側に隠されていたカードキーを翳し、中に入っていく。地下の道の奥には鉄格子の扉があり、どうやらカードキーがないと入れない仕様になっているようだ。指紋認証や顔認証もつけとけよな、と思いながら、大胆に入っていく彼を止める者はいない。


 初めて入る場所。それも他人の私物を勝手に持ち出して、潜入に近い事をしている。彼自身はただ自分達の周りで何かが起きている事を察知し、別の組織が動いているのではないかと疑問し、行動に出た。それが吉と出るか凶と出るかは、誰も知る由がない。


 一度入れば、出る事が出来ない牢獄のような場所、それが彼が足を踏み入れた場所だ。レイカはベッドの中で微笑みながら、荒らされた鞄を見つめている。彼の行方を見透かすように。


 「レイカのスマホが持ち出されたようだね」

 「GPSをつけていてよかった」

 「本来ならレイカ様の指紋で認証されるはずなのに、何故こんな事になっているのですか?」

 「ん? レイカが彼を欲したのではないかね。二人の蒼生より幼い彼を」


 にったりと笑う男は、監視カメラの様子を見ながら、愉快そうに言った。

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