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不信感と違和感

 私達が住む予定の新しい新居を見たのは一度きりだ。ヒスが基本見てくれたので全て任せてあると言った方が正しいのかもしれない。荷物は電話がかかってきていた事に気づかなかった私は、折り返し電話をかけた。すると、もうすぐ荷物が到着する予定みたいだ。それを聞くといいタイミングで蒼生が来たんだな。


 「私とレイカは車の中で待っているわ、早く終わらせて」

 「分かってる」

 「それならいいのよ」


 蒼生は昔と何も変わらない。性格もそのままお高いお嬢様って感じだ。いつも会う時、衝突して問題を起こしていたのを覚えている、昔の事が最近の出来事のように思えて、なんだか恥ずかしくなる。あの頃の自分は、意見も言えなかった。それを気に入らなかった蒼生はよく怒っていたのを思い出した。


 そんな事を考えながら、手続きをすますと、簡易的な荷物を中に入れ、出来るだけ早く済ませた。よかった、冷蔵庫と洗濯機くらいしか荷物がなかった事が幸いだ。ベッドやテレビなどは事前から備え付けであると聞いていたから持ってきてはいない。知り合いに頼んで持ち出してもらった。誰か使う人がいたら渡してくれと伝えて正解だった。


 こんな状況になるなど、誰が予想しただろうか。妙に出来すぎてて怖いくらいだ。誰かに仕組まれているんじゃないかと疑ってしまう。


 「終わったぞ」

 「蒼にしては早いほうじゃないの、昔はトロかったのに」

 「余計なお世話だ」

 「減らず口叩けるようになったのね、いい事」


 こんな会話をしたいんじゃない。こいつらの周りで何かが起こっている事は明白。そして私とヒスも巻き込まれそうになっている、いや、もう巻き込まれているようなものだ。レイカの様子を伺うとまだ眠っている。薬が聞いている証拠と言っていたが、何の薬を打ったのか不明。それはこれから聞くとして、蒼生はどうでもいいが、レイカをこのまま放置するのはどうかと思い、後部座席のドアを開け、お姫様抱っこをした。


 「大胆ね、本当男らしくなったわ」

 「喋る暇があるならレイカの杖を持って行ってくれ、後ドアも開けてくれ」

 「はいはい」


 見た目で分かってはいたものの、レイカの体は軽すぎる。痩せているとは思っていたが、ここまで軽いとは……ちゃんと食事、とっているのかと心配になる。


 「蒼生、レイカにちゃんと食わしているのか? 痩せすぎだろう」

 「ん~まぁ、あんな事されたら食べる気も失せるでしょうね」


 ん、と唇を指すと、納得した。忘れてはいけないのに忘れてしまっていた。レイカの唇は縫われている、食べようとしても食べれないって訳か。


 「まさか点滴で賄っているのか?」

 「ええ。まぁね」


 言葉を濁す蒼生に不信感を覚えながら、もしかしてこいつがレイカを痛めつけた張本人かとも思う自分がいる。真相はこれから分かる、ただ蒼生から発せられる言葉が全て真実とは限らないが……

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