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愚者①

 


 何も起きはしない。全てはリピート。同じ事の繰り返し。


 こういう関係は好きでもあるが、よく分からなくなる。


 『ごめんなさい、急に電話をかけて…』


 オドオドしながら、私の反応と言葉を待つ君の名前は理委。


 本名はお互い教えていないので、その呼び名しか知らないのです。


 女性か男性かはご想像にお任せするのが一番の得策。


 だからこの呼び名を使っているのでしょうね。


 中世的な声はどちらの性別とも捉えれる事が出来ますし、会うまでは分からない。


 私だけが知る『秘密』と言っても過言ではない。


 だからこれは君と私の秘密にしときましょうか。


 その方が楽しくもあり、美しくもありますからね。


 ふふふ、そう考えてしまう私は『いじわる』なのかもしれないね。


 24時間営業しているファミレスで、君と話す。


 たわいもない話から…残酷な話まで。


 そこまで私に『心』を開いても良いのかな?


 外面の微笑みと内面…いや『中心核』と言ったほうが正しいかな。


 二つの思考と、思惑、そして『策』を脳内で映像化しながら、君の話を聞く私。


 そういう所は『器用』なんですよ?

 

 『あの碧生さん?』


 私の名前は本名です。男でも女でも通用する『あおい』と言うのが私の呼び名であり、本名。


 君には偽りよりも、こちらの方がいいと自ら判断しての、対応を取りました。


 表上では『呼び名』と言う事にしていますが、真実を知れば驚くかもね。


 その時の驚いた君の表情を思い浮かべるだけでゾクリと全身が快感に支配されていく。


 君は何も知らないけどね。


 「どうしました?理委さん?」


 心と思考の裏で別の自分を作り出し『カモフラージュ』を演出する。


 少し私の『異変』に気づいたのかもしれない…。


 これは私の『ミス』でしょうか?それとも……。


 『何だか、いつもと雰囲気が違う気がして…なんでだろう』


 君は『感受性』が豊かだから、この空気の変化に気づいたのだろうね。


 だけど、その感受性を壊す方法を知っているからこそ『本当』の私を捕まえるのは不可能。


 「理委さん……先ほどの話でだいぶ心を乱していると思いますよ?自分の心が乱れたら、視野も考えも感覚も全て変化してしまうのが、人間というものですからね…」


 『そうなんですか?』


 ここではまだ疑問符。だからこそあえて次の言葉を吐くのです。


 「そうですよ、気のせいですね。疲れもあるのかな?大丈夫?」


 『やはり碧生さんはスゴイです。どうして疲れているの分かったんですか?』


 「ん?理委さんを見ているからですよ?君は特別ですからね」


 『え?』


 「どうしました?」


 やはりまだ『幼い』な。


 私のこの会話についてこれないのは『経験不足』と言った所だろう。


 動揺を隠せないといった感じだろう。


 脳内で見えるのは美しい音の旋律。


 耳で聞くより、映像として視た方が幻想的で美しい。


 まるで『ドラッグ』


 何て快楽なのでしょう。狂ってしまいそうになる。


 狂う事も一つの『遊び』そして『刺激』なのかもしれません。


 『……なんでもないです』


 私の瞳を見つめていたはずなのに、急に俯き加減になり、顔を隠す。


 そこが長所でもあり、欠点でもある。


 「……話を戻しましょう。お金の事ですよね?次の額は?」


 そして突き放す、冷たく、冷酷に『現実』を見せつけ、君の心を砕いていく。


 『え……』


 「どうしました?」


 『…なんでもないです』


 期待通りの言葉など、渡すものか。


 ビジネスはビジネス。


 『特別』にも色々な意味合いがあるから。


 この会話をする事によって、お互いの距離感も把握出来る。


 それに気づくも気づかないも『君』次第と言う事だ。



 私の『謎解き』に応えれるのかな?





 

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