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九条碧生《男視点》



 僕が好きなものは、操る事。全て欲しい、だから妹の『蓮』を騙し、全て横取りした。


 悪くない、何も悪い事はしていないからな、一番の悪は『無知』そのもの。


 遺産が一億くだらない、そして九条の『苗字』を捨てると言う事を聞かない、妹。


 本当に、消したい。僕の全ての計画が破綻してしまう。


 『私、一人暮らしする。居候なんて呼ばれるより、遥かにマシ』


 「お前は、本当に言う事を聞かない子だな。見てて、苛々する」


 溜息しか出ない、蓮よ、お前は、私の成功へと導く階段になればいいだけ、そう死の階段へと。


 僕達の親は、ある意味正常であり、狂っているだろうな。


 その背中を見てきた、僕達、二人も狂っているのだろうと考えるが、別にどうでもいい。


 興味ない、生きようが、消えようが、僕さえよければ、それでいい。


 その手始めとして、目を付けたのが、蓮の存在。


 僕は、知っている、お前の秘密を、そして汚れた血筋の宿命を。


 『何て言われようが構わない、あたしはもう言いなりになんかならない』


 「ふうん。それが許されると思っているのかい?」


 『私にも自由がある、囚われた鳥じゃないんだよ?』


 「無礼だな。僕が中心で回り始めた環境に馴染めず、裏切るのか。そして当主に対して、その口のききようは何なのだ」


 『裏切るとか、そういう話じゃないよ。おにいちゃん、優しいおにいちゃんに戻って』


 「僕はお前の『兄』ではない。九条碧生、天保時代から続く20代目当主。そしてお前は、(いしづえ)そのもの」


 『なんで……』


 泣く暇が、あるのならば言う事を聞け、そして早く、僕の駒へと成長してくれればいいんだ。お前を一生手放すつもりなんかないのだから。


 僕は嫌がる蓮の襟を掴み、首を絞めるように、力任せで引っ張る。嫌だ、嫌だ、と徐々に声を出すのも苦痛になっていく、妹の歪んだ表情を見る度に、ゾクゾクと悪寒が走る。


 ああ、なんて快楽なのだろうか、人の歪む姿を見て、喜びに塗れる僕は、愉快で仕方がない。


 「来い、お前をここから出す訳には行かないからな」


 『い……やだ』


 「お前に拒否権はない」


 『うぐう……』


 「もう声も出せないのか?哀れだな」


 暴言を蓮に向かい吐きまくる、そうすると心の苛立ちがスッキリするのは、何故だろうか。妹を見ているといつも、虐めたくなる、破壊したくなる、狂わしたくなる、もっと泣けよ、泣いてみろよ。


 「お前は僕のもの、永遠に。幸せになどさせてたまるか」


 ドスッと蓮の腹を蹴り上げると、いい悲鳴が鼓膜を刺激して、喜びに変えてゆく。


 ――もっと、聞かせろよ




 『痛い……痛いよぉ』


 

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