表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/25

八話目

バカップルは、自分たちのことしか見えてない


この小説も同じ。リアルの四季が変わっても、ここはいつも通り平常運転です


つい先日、HR100になりました

 シャララ、素敵にきっす


 シャララ、素直にきっす


 明日が特別スペシャルデー♪


「バレンタインデーキッス」


 明日はなんとバレンタインデー。

 バレンタインと言えばチョコレート。

 チョコレートと言えばにょt(ry)


 天川くん、喜んでくれるかな?


「隠し味はなににしようかな。唾液とか血液とかおしっことかあるけど、うーん……」


 実際はこんなことしないで、そのまま私を食べてほしいけど……。

 というか、恋人でもないのに、一緒に寝たりお風呂入ったりするのって、友達なら普通なのかな?


 ……普通だよね! 天川くんも受け入れてくれてるし!


「……あのさ沙雪、チョコレート作るのはいいけど、見た目はどうするの?」


 そう話しかけてくるのは、友達の(りん)ちゃん。

 男気が強くて、結構ガサツなタイプだけど、友達思いのいい子。


「んー? もちろんハートだよー?」

「いやぁ、ハートにしなくてもいいと思うよ」


 恋愛相談として、よく凛ちゃんに天川くんとのことを話したりしてる。

 一番の親友だから、よく色々なことを話してる仲。


「アピールしなきゃなんだよ!?」

「いや別に、沙雪の話を聞く限り、要らないと思うんだけど」

「いるよ! 家庭的な女の子の方が、天川くんだって嬉しいって言ってたもん」

「あぁいや、そういうことじゃなくて……。まあいいや」

「うん。ところで、凛ちゃんは作らないの?」

「ウチは作らないよ。どうせ貰う側だし」


 凛ちゃんは女の子にモテる女の子なのだ。

 学校の男子よりも貰ってるのをよく見てた。

 私は天川くんしか見てないから、バレンタインに他の男の人に渡すことはしなかったけど。


 それはさておき。


「たまに作ったらー?」

「……はぁ。じゃあ天川にでも作るよ」

「…………」

「冗談だって。だからそんな怖い顔しないの。可愛い顔が台無しだよ」


 別に怖い顔なんてしてないもん。

 睨んでもないもん。

 嫉妬なんてしてないもん。

 独占しようとか思ってないもん。


 どこぞの馬の骨とかが天川くんと話すのが許せないからって、私がお世話するから両足切断して、ずっと部屋で養いたいとか、そんなこと思ってないもん!


「ほーら」


 凛ちゃんは私の頬に触り、グニグニと揺らす。

 さり気ないボディタッチで、何人ものの女の子をたらしてきた凛ちゃん。


「むぅ……」

「今度は膨れるのね……。ほら沙雪、それよりチョコ作るよ」

「え? あ、う、うん」

「見た目は無難なチョコでいいんじゃない? 沙雪からなら、天川も何でも喜ぶと思うよ」

「そ、そうかな……」

「そうそう」


 凛ちゃんがそこまで言うなら……。

 まずは市販のチョコを溶かしていく。


「見た目はまあ、丸とか四角とか適当な感じで」

「うん」

「味は沙雪が作るから心配ないとして。まずどうするの? チョコブラウニーとかチョコフォンデュとかチョコケーキとか色々あるけど」

「チョコフォンデュは道具がないと……」


 作れはするけど、バレンタインにわざわざそんな行為したら、好意がばれちゃう。

 バレないように接してるんだから。

 チョコを溶かしている間に、型を作っておく。


「私が作るのはチョコカップケーキだよ」

「ああ、それにしたの。でも道具は?」

「一応ある」


 無かったら作らないもん。

 たまたまあったから良かった。

 調理を進めながら、凛ちゃんに聞く。


「でもやっぱり、唾液とか血とか入れたほうがいいと思うの」

「なにわけのわからないこと言ってるの。そんなことしたらドン引きよ」

「で、でもでも、体液を入れると二人は永劫添い遂げられるとか、聞いたことあるよ!?」

「聞いたことないわねそんな話。普通に作らないと天川に幻滅されるわよ」

「げ、幻滅……」


 料理していた手が止まる。


『ごめん沙雪。沙雪がそんなことするなんて思わなかった。こんなことするなんて、恋人じゃいられない。結婚しよう』


「えへ、えへへへ」

「なんで幻滅って聞いて喜んでんの……」


 凛ちゃんが頭を抱えた。

 ごめんなさい。


「そういえば、高校のときにいた──」


 それから、昔話などを入れながら、二人だけの女子会が続いた。


 ☆☆☆☆


「なんで世間はバレンタインなのに、仕事してるんだ」


 上司にバレンタインください、って言ったら仕事を貰った。

 あの上司は絶対に許さない。

 家の鍵を開けて、中に入る。


「ただいまー」

「お兄ちゃんおかえりー」


 百合が出迎えてくれる。

 笑顔で来てくれるので、つい頭を撫でていると、


「天川くん」


 彼女の声が聞こえた。

 すぐそちらに目を向けると、エプロン姿でおたまを持っている姿が目に映る。

 控えめに言って可愛い。


「ただいま、綾瀬」

「おかえり、天川くん」


 なんだか、エプロン姿で夫の帰りを待ちながら料理をしている新妻みたいだ。

 ただいまマイハニー。

 互いに名字呼びなのを突っ込むのはNG.


「てかあれ? 母さんは?」


 綾瀬がおたまを持っているというとは、料理は綾瀬がしていることになる。

 基本は母さんが作ってるんだが。


「なんだか市の集まりがあるみたいでね? それに参加しないとだから、帰りはいつになるか分からない、って」

「ああ、なるほどね」


 ご近所付き合いだろう。

 俺はご近所さんとかいないので、そういったことに関しては関係ない。

 ビバぼっち(泣)。


「それで、綾瀬は何を作ってたんだ?」


 鼻孔をくすぐるスパイシーな匂いで、大方の検討はつくが、もし間違ってたら悲しいので聞いておく。


「カレーだよー」


 可愛らしい笑顔と共に答えを教えてくれた。

 この一ヶ月で大分(だいぶ)、綾瀬の耐性ができている。

 前までみたいに、笑顔一つでやられるほど弱くないのだ。


「美味しく作るから、待っててねっ」

「ぐは……」


 第二の笑顔が降りかかる。

 俺の防壁を簡単にぶち破ってきた。


 訂正。

 俺はまだまだ弱いようだ。


 ☆☆☆☆


「お姉ちゃんの料理美味しいね!」

「そうだなぁ」


 百合がはしゃぎながら、カレーを食べ続けている。

 感想に相槌を打ちながら、俺もカレーを食べ続けていく。


「お兄ちゃん」

「そうだなぁ」

「聞いてるー?」

「そうだなぁ」

「お兄ちゃんのカレー奪うよ」

「そうだ……、いやまて」


 さり気なく人の楽しみを奪うんじゃないよ。


「私の話を聞いてよ」

「ん? どうかした? ゲームのコントローラー壊れた?」

「壊れてないよっ! そうじゃなくて、私とお兄ちゃん、普通に食べてるけど、お姉ちゃんはまだ食べてないよ?」

「いいか百合。美味しいものを目の前に出されて、人間はそれを我慢できないんだ。俺たちは教育を受けた犬以下なんだ」

「……本音は?」

「謝って許してもらおう」

「怒ってないから、謝らなくてもいいよ〜」


 百合との会話を聞いてたのか、綾瀬が笑いながら入ってくる。

 自分の作ったカレーを持って。


「それに、自分の作った料理を、美味しいって言って食べてくれることが、何よりの幸せだから」


 天使かと思った。

 むしろ天使じゃなかったらなんだというのか。

 女神? 天女? 聖女?


「辛さも丁度いいし、お姉ちゃんはアレだね。典型的な『お嫁さん』だよね。胃袋掴まれちゃった」

「もう、百合ちゃんは口が上手いんだから〜」


 照れくさそうに笑う彼女。

 満更でも無さそうだ。


「でも綾瀬、最近は家に来ること多いけど、大学は大丈夫なのか?」

「もう進学が目前だから、長い時間は暇なんだ。だから、大丈夫だよ」

「マジか……。大学生ってやっぱり暇が多いのか」

「いやお兄ちゃん、お姉ちゃんが特異だと思う」


 まあ、可愛さだとかそういう意味では特異だが。

 そういう意味ではないことは俺でも分かる。


「天川くんは、特にやりたい仕事が無かったから、高卒で働き始めたんだもんね」

「そうだよ。まあ、それ以外にもあるけど」


 百合のことをちらっと見る。

 俺の目線に気付いた綾瀬は、何も言わずに話題を変えた。


「百合ちゃんは、なにかやりたいこととかあるの?」

「ん〜? 今はまだ決めてないよ。とりあえずまあまあの偏差値がある普通科の高校に入って、そこから探そうかなーって」


 しっかりしてるのかしてないのか分からないな。

 まあ百合の人生だから、百合の好きにすればいい。

 母と兄の、妹に対する純粋な気持ちだ。


「んー……。でも少し、辛さが足りないかなぁ」


 綾瀬は自分の料理を辛口評価で見ている。

 辛さが足りないから甘口評価かもしれないが。


「そう? 俺はこのくらいでもいいと思うよ」

「盛り付けで少しだけ変わっちゃったかな。天川くん、こっちも食べてみて」


 そう言って、カレーを少しと、具材を取ったスプーンをこちらに差し出す。

 それを一口。


「あむ。いや、別に変わらないと思うよ。ほら」


 綾瀬と同じようにする。


「あーん。あ、本当だ。天川くんがこれでいいならいいんだけど」

「……むしろ私が辛さが足りなくなってきたんだけど。甘いんだけど」

「え!? 百合ちゃん、大丈夫!?」

「このバカップル!!」


 百合の叫びが家中に響いた。







 カップルじゃねえよ。

バレンタイン前編です。


感想を送ってくださった方、ブクマをしてくださった方、お読みいただきありがとうございますっ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ