七話目
セーフだと思ってる
「痒いところはありますかー?」
「ないですよー」
なんとも可愛らしいんだろうか。
必死に俺の頭を洗ってくれる綾瀬。
お風呂に入ることになり、裸でくっついて来たことにより、我慢が出来なくなった。
お風呂ということで、全部を洗い流してから、綾瀬が洗いっこがしたいという申し出に、断わりきれず、流れる身に任せてしまった。
「えへへ。私ね、夢だったんだ」
「え? なにが?」
「こうやって、一緒にお風呂入るの」
「そうなの?」
突然のカミングアウトに、度肝を抜かれ。
つい聞いてしまった。
「一緒って、誰かと一緒に入らなかったんだ?」
「うん。天川くんが初めてだよ。それに、誰かと入りたいんじゃなくて、天川くんと入りたかったの」
「……そ、そっか」
好きな人に、そんなことを言われて照れないやつはいないだろう。
頭を洗っているので、顔を見られずに済んだのは不幸中の幸いだ。
「頭流すね」
「はいよ」
熱すぎず、冷たすぎないお湯が頭にかけられる。
「えへへー。……えいっ!」
「おっと」
お湯が頭から流れてるのにも関わらず、突然後ろから抱きしめられた。
柔らかいものが背中に当たる。
「い、いきなりどうしたんだ綾瀬っ」
「んー? なんでもな〜いっ」
随分とご機嫌が良さそうだ。
一体どうしたんだろう。
「ていうか早く頭流してくれ」
「はーい」
お湯がちゃんと頭にかけられ、泡などが落ちていく。
目を開けてるから分かるので、ずっと先のままだと目が痛くなるので助かった。
「綺麗だー」
なんて言いながら強く抱き着いてくる綾瀬。
正直可愛過ぎるから全力で辞めてほしい。
尊さが限界点を超えて、魂が抜けそうになる。
「それじゃ、お風呂に入ろうか?」
「ほぇ? 何言ってるの天川くん」
「……ん?」
嫌な予感がマッハ。
「洗いっこなんだよ? 私の体も洗ってほしいなー?」
予 感 的 中
いくらさっき、出したからって、もう一度触れたらまた同じことになってしまう。
いやでも……、
「はーやーくー」
この可愛い天使様を満足させるには、洗うしかないわけで。
「……分かった」
「垢すりは肌を痛めるから、手洗いがいいなー」
なん……だと……。
その柔らかくてもちもちでスラッとした、触れただけでもご利益がありそうな肌を、俺が洗う……だと……!?
緊張しかしない。
「えっと、その……」
「? どうかしたの?」
どうかしてる。
おそるおそる彼女のお腹に手を触れる。
「んっ……」
「あっ、ご、ごめんっ! い、痛かった?」
「あ、ううん。気にしないで。少しだけびっくりしただけだから」
「あ、そ、そうか」
もう一度触れ直す。
☆☆☆☆
ど、どうしよう。
いまさっき、触られただけで気持ち良かった。
ずっと触られたら、どうなっちゃうの。
「んんっ……!」
お風呂が熱いからなのか、熱の入った声が出ちゃう。
なんだが、体全体が熱くなってきたがする。
「ね、ねぇ天川くん……」
「な、なに……?」
ちゃんと喋れる余裕もない。
そんなときに、天川くんに両肩を強く握られ、そのまま強引にキスをされる。
「あっ……、んん……、あま、かわ……、く……っ」
「じゅる、れろ……!」
天川くんのザラザラとした舌が、私の口内を犯していく。
頬の裏、歯、舌。
ありとあらゆる部分が、私を犯していく。
ほとんどむりやりみたいな感じなのに、嬉しくて喜んでる自分が、なんだかチョロいんだなと実感する。
「あ、綾瀬……」
「天川くん……」
熱い眼差しが、私の鼓動を早くする。
これからすることは、互いに理解してるんだと思う。
「いっぱい、注いでほしいな」
かっこいい狼さんに襲われた。
☆☆☆☆
やっちまった。
またやっちまった。
まさかお風呂場でもう一度やらかすとは思わなかった。
「んふふ〜」
結局、もう一度各自で洗い、一緒に湯船に浸かる。
足を開き、その間に綾瀬が入って来ている。
腕を回し、強く抱き締めている状況で、綾瀬に頬ずりをされた。
「えへへ〜」
すごく可愛い。
笑顔がこんなにも似合ってる女の子は、綾瀬しかいないだろう。
いや贔屓目だけど。
「ご機嫌だね、綾瀬」
「そう〜? あ、天川くん」
「ん?」
「すごく、気持ち良かったよ」
「っ!?」
顔が一瞬で熱くなるのを感じた。
いやホテルのあとのときもそうだけど、そういうストレートな言葉は言われ慣れてないので、できれば辞めてほしい。
「俺も……、気持ち良かったよ」
「ふふふ。すごく幸せ。外からは天川くんに抱き締められて、中でも天川くんのことを感じれる」
「…………」
「あ、照れてるのー?」
「て、照れてないわっ」
「ふふっ」
のんびりとした空間が、お風呂場で続いた。
流石に二回もやったので、それ以降お風呂場ですることはなかった。
これにて日常シーンは終わりになります
次話から新たな章です
日常章からいちゃいちゃ章に切り替えですよ!
……いつもと変わらないね。
感想を送ってくださった方、ブクマをしてくださった方、お読みいただきありがとうございますっ
PS.これからも変わらずいちゃいちゃしていきます