二十二話
前話を投稿してから、なんと4件の誤字報告をいただきました。
わざわざお手間を取らせて申し訳ありません。
小説書いてるとは思えないほどの誤字ですね。
そして、読者様からの感想、ブクマ、評価が私の執筆活動する上の糧です。
これからもよろしくお願いします
クリスマス。
それは、性なる夜の始まり。
プレゼントに、ケーキに、楽しい会話。
私こと沙雪も、その一例に過ぎない存在。
「ブレゼント、何がいいかな」
貴一くんのために、何か用意したいところなんだけど、何せ貴一くんは、あまりにも物欲がない。
なんていうか、なんのために生きてるのかが分からない程に。
趣味らしい趣味もないのが、逆にすごいところ。
「何かこう……、いい物があればいいのに」
ショッピングモールを歩きながら、店頭に並ぶものを見ていく。
あれじゃない、これじゃない。なんて思いながら歩を進めていくと、指輪を取り扱うお店に辿り着いた。
「指輪かぁ……」
貴一くん、いつになったら求婚してくれるのかな。
付き合って一年も経ってないけど、もうそろそろプロポーズしてくれてもいいのに。
というか、告白も嬉しいけど、告白超えて求婚でも私は受け入れたんだけどなぁ。
貴一くんなら、なんてプロポーズするのかな。
少し古いところがあるから『毎朝、味噌汁を作ってくれ』なんて言うのかな。
そんなこと言われたら、毎朝作るのに。
妄想もほどほどにして、あるものが目に入った。
「あっ、これ……」
貴一くんに似合いそうなものを見つけて、私は即決した。
喜ぶ顔を期待しながら。
☆☆☆☆
「ハッピーホリデイー!」
社長がスカートのあるサンタコスをしながら、事務所に入ってきた。
「…………」
先輩は呆れ、後輩は絶句している。
まあ、そうだよねぇ。
「社長、毎年やるつもりですか……?」
部長が話しかけた。
「クリスマスというイベントに、何もしないなんて、うちの会社じゃない!」
何か力説を始め、意気揚々と社員にプレゼントを渡していく。
俺も渡された。
「大切に使ってくれると、サンタは嬉しいよ!」
需要のない笑顔を向けながら、そんなことを言った。
☆☆☆☆
「ただいまー」
「あ、おかえり。私にする? えっちする? それとも……」
サンタコスした彼女がやってきた。
「中に出す?」
今日の沙雪は、随分と積極的だ。
何かあったんだろうか。
「とりあえず、ご飯食べたいかな」
「……今用意するね」
何か落ち込んでいるが、一つ勘違いしてそうなのでフォローをしておく。
「中に出すとしても、エネルギーを取っておかないとね」
途端、沙雪の顔が真っ赤になった。
「そんなに照れるなら言わなければいいのに」
なんて俺も言うが、顔は真っ赤になってると思う。
☆☆☆☆
「ねえ、貴一くん」
「ん? どうかした?」
お互いの肌に触れながら、毛布でくるまる俺たち。
一戦を終え、少しの休憩中。
「私、幸せだよ。世界中の誰よりも」
「俺も、幸せだよ」
「そしてね、そんな幸せな私から、貴一くんにプレゼントがあるんだ」
「プレゼント?」
「うん」
彼女はそう言って、毛布から出ていく。
お尻が丸出しになり、少しだけムラムラが溜まる。
そして、少ししてから、部屋から出た沙雪が帰ってきた。
「メリークリスマス」
手のひらにあるのは、小さな箱。
赤いリボンに包まれている。
「開けてもいい?」
「うん、いいよ」
箱を開けると、そこにはネックレスがあった。
「これ、高いんじゃないの?」
「もう、せっかくの雰囲気が台無しだよ。今は値段よりも気にすることあるでしょ?」
「あ、ごめん。プレゼントありがとう、すごく嬉しいよ」
「うんっ。気に入ってもらえてよかった」
ただ、俺は一つも用意してなかった。
「……ごめん沙雪。俺、何も用意してないんだ」
「ううん、気にしてないよ。渡したくて渡したんだから。お返しとか求めてないもん。少し悲しいだけで」
ぐはっ。
心にダメージが。
なんて思っていたら、沙雪がくっついてくる。
「でも、今欲しいのは貴一くんだよ」
妖艶に笑う彼女は、更に言葉を続ける。
「外は晴れてるけど、私の中をホワイトクリスマスにしてほしいな」
第二戦が始まった。
☆☆☆☆
んふふ〜。
昨晩のクリスマスは無事成功して笑みが溢れる。
貴一くんに用意したプレゼントも喜んでもらえたし、精のつくご飯に媚薬も入れていたので、なかなかに激しい夜を過ごせた。
普段は愛のあるえっちもいいけど、たまには道具のように扱われるのもいいかも。
また後日、似たようなことしてみよう。
あと突然『普段よりも濡れてるけど、無理矢理されるの好きなの?』とか聞くのは心臓に悪い。
余計興奮してしまった。
貴一くん、本当にかっこいいな。
働いてるし、家族サービスもしっかりしてる。
かなりの優良物件だと思う。
なんて思いながら、トイレに入る。
いつも通り、検査薬にかけた、規定の量をかけた後、残りはそのままトイレの中に。
「いつになったら妊娠してくれるのかな、この体」
なんてぼやきながら、妊娠検査薬を見ると、判定は陽性。
「っ!?」
驚きのあまり声が出ない。
何度も見直して見るけど、陽性の結果は変わらない。
「き、き、き、き……」
ついにこの日が来るなんて。
ずっと夢に見てきた光景が、今目の前にある。
「キタァァぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
既成事実、成功!
これで勝つる!
貴一くんのお義母様にも、これで家族として認めてもらえるはず。
ただ、あくまでこれは検査薬。
確定ではないから、そこまで舞い上がってはいけない。
あとは婦人科に連絡を入れないと……。
「あ、そういえば……」
私の両親に対する挨拶、貴一くんはどうするんだろう。
まあ別に、両親には申し訳ないけど、反対されても押し切るんだけどね。
中絶なんて、絶対にしない。
毎日毎日、中に出してやっとできた我が子。
2人の愛の結晶。
それを堕ろすだなんてとんでもない!
というわけで、貴一くんには秘密にして、数日間を過ごすことに。
☆☆☆☆
「おめでとうございます。無事、妊娠しております」
医師から告げられた現実は、あまりにも嬉しくて。
その現実は、何よりも幸福なもので。
「彼氏さんには、このことは?」
「まだ伝えていません。家族にも」
「そうでしたか。では、お早めに相談をしてください」
「はい、そうします」
貴一くん、喜んでくれるかな。
驚いてくれるかな。
ああでも、驚きはするよね。
早くこのことを伝えたい。
「では、お大事にどうそ」
「ありがとうございました」
一礼をして、婦人科から離れる。
そういえば──いつかの夜、私の指で何かしてたよね。
あれは何だったのかなー、なんて思いながら、帰路に着いた。
タイトルを思い返すと、やっと既成事実が成立してますよね。
どう考えたってタイトル詐欺。
このまま一気に完結までは走ります。




