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十二話目

皆さんからの心暖かいコメントが、何よりも嬉しいです


数話前の伏せ字でたくさんの方から言われ、勉強し直しました。

そして、伏せ字の正しい使い方を知りました。

上手く使えてるわけではないので、そこは勘弁してください。


今話は結構ご都合主義展開が強いと思いますが、こういうの、嫌いじゃないだろ?

と思いながら書きました。

「俺は気がついてしまった。世界の真理に」

「いきなりどうしたお前」

「なぜ裸よりノーパンの方がエロいのかを」

「お前もう黙れ」


 嫌な予感しかしない。

 成人式でクラスメイトと再会し、どうせならとお昼ご飯を食べに来た。

 席に座り開口一番がこれである。


「いやだって考えてみてくれ。本来、裸というのは、恥ずかしいもので、更に好きな人にしか見せないものだ」

「…………」

「だが、裸になることに快感を覚える人も出てくるわけだ。露出狂とも言える」

「…………」

「しかし、露出をすれば犯罪扱いで、おまけに下手をすればやられる。そこで出てくるのがノーパンというわけだ」

「…………」

「スカートの下に隠れる恥丘(ちきゅう)と秘部。たくしあげたら現れてしまう秘境──いや、理想郷」

「…………」

「誰かに見られるかもしれない。見られたら人生が詰む。そんな背徳感が、快楽へと変える」

「…………」

「そして思い立った。ノーパンは比較的安全に行える露出だということを!」

「お前が捕まれよマジで」


 ファミレスで何を語ってるんだこいつは。

 あとそれは本当に真理なのか。


「まあ、この考えは仕事中に思いついたことなんだけどな」

「脳内お花畑かお前は」

下半身(おち○ん○ちん)に正直と言ってくれ」

「嫌に決まってるだろ」


 何を考えてるんだこいつ。

 いや何も考えてないのかもしれない。


「それより、注文は決まったか?」

「あぁ。俺はこの店の常連だからな。頼むものは決まってるし、メニューは覚えてる」


 ひどい話だ。

 メニューを見ないですむからあんな話をして、挙げ句の果には常連だからあんな話ができる。

 よく来る客だから、追い出すこともできないんだろう。

 ひどい話もここまで来ると天晴(あっぱれ)だ。

 俺は今の話を聞き流しながら見てたので、メニューは決まった。


「天川も、これでノーパンの良さが分かってくれたか?」

「いや分からねえよ」


 分かってたまるかそんなこと。


「駄目だったか」

「ご注文をお伺いします」


 店員さんが来たので、各自メニューを選ぶ。


「少々お待ちください」


 店員さんが移動したのを確認し終えると、また話し出した。


「天川ってメイド喫茶に行ったことある?」


 話が飛躍し過ぎじゃないだろうか。

 何をどうしたらノーパンからメイド喫茶になるんだ。

 メイドさんがノーパンだったのか?


「一度もないな」

「メイド喫茶やばいぞ。すっごい楽しい」

「ああ、うん、そう……」

「メイド喫茶と言えば、と考えれる定番やってもらったんだよ。美味しくなれのやつ」

「萌え萌えきゅんだっけ」

「少なからず今の天川には萌えないな」

「うるせえよ」


 はっ倒すぞ。


「まあそれはともかく。やっぱメイドさんは良いものだぞ。彼女にメイド衣装渡したらぶん殴られたし」

「彼女いたんかお前」

「ん? ああ、いるぞ。まあ、彼女に頼んだら怒られたから、黙ってメイド喫茶まで行ったんだけどな」


 少なからず黙って行ったことに、また怒られることになるぞ。


 心の中に留めて口には出さない。


「オムライス頼んでさ、ハートを描いてもらって、魔法の呪文を唱えてもらったんだ。しかも聞いてくれよ。メイド喫茶で働くには、あのハートを上手く描けるようにするらしいぞ」

「誰得だそんな情報」

「まあ、天川も縁があったらやってもらえって。アレもアレでなかなかに良いものだからさ。心を奪われるところだった」

「今のお前は心を奪われた奴にしか見えないんだが」

「小さいことは気にするな。あ、料理来たじゃん」

「お待たせしました。ご注文の──」


 ご飯を食べながら、なんだかんだ会話を楽しんだ。

 その後、カラオケやボウリングなどをして、休日を過ごした。


 ☆☆☆☆


「ただいま」

「お帰り、天川くん」


 笑顔で出迎えてくれる綾瀬に、思わずこちらも笑みが溢れる。


「先にお風呂入る? ご飯はあと少しでできるから」

「あー、じゃあそうするよ」


 洗面所に行き、服などを脱ぎ風呂場へ。


 ☆☆☆☆


「すぅー……」


 天川くんの匂いが染み付いた服だぁ。

 毎夜天川くんの胸板に顔を埋めて寝たりしてるけど、ソレはソレ。コレはコレだと思う。

 将来は天川くんと結婚して、天川くんの着たシャツを私が着て、一日過ごすのが夢だったり。

 というかあまり匂いも嗅いでられない。

 晩ごはんも作らないと。


「んー……!!」


 思いっきり、ぎゅぅぅ……! と強く抱きつく。

 匂いで満たされるのを感じる。

 好きな人の匂いも好きとか、これはもう運命だと思う。

 一刻も早く子供を作らないと!


 男女平等と言われてるけど、子供さえ作ればこっちのもの。

 既成事実ってすごく便利な言葉だと思う。

 未だに妊娠検査薬で反応ないけど。

 でも知り合いのお姉さんも言ってた。

『私が赤ちゃん出来るまで一年掛かったわよ。毎日シてよ?』

 うぅ、いつになったら出来るんだろう。


「んー!! 充電完了!」


 満足した私は、天川くんの洗濯物を洗濯機の中に入れ、スイッチを押してから台所に戻る。


「〜〜♪ 〜〜♪」


 いくら中学校のクラスメイトと会うからって、お昼からいなくなることはないと思う。

 しかもこんな時間まで帰ってこないし。

 まあ帰宅の時間をライムで教えてくれたから、そこは良いんだけど。

 でも、旦那が外に行くときに、何も言わずにお見送りするなんて、これはもう立派なお嫁さんじゃない?

 夫婦の予習だと思えばそこまで寂しくないし。


「お料理も、最初の頃と比べたら格段に出来るようになったし」


 家事能力を上げたのは全部天川くんのため。

 勉強も運動も頑張ったのは天川くんと釣り合うため。

 まあ、天川くんは結構偏差値の低い高校に行ったけど。

 それでも、今こうして就職して百合ちゃんやお義母さまのために働いてるんだから、すごく立派なことだと思う。

 私もママになるために、もっと天川くんに出してもらわないと。

 正直、高校に行ったのも大学に入ったのも、全部天川くんのためだから、子供さえ出来れば大学なんて辞めてもいい。

 まあ、それをしたら両親に迷惑をかけるから、卒業はするけど。


 とりあえず大学卒業まで残り、一年。

 その間に頑張って作らないと!


「あれ? そういえば百合は?」

「あ、出てきたんだ。湯加減どうだった?」

「いつも通り良かったよ。ありがとう」

「どういたしまして」


 パジャマ姿になって出てきた天川くん。

 今では、パジャマやグラス、お皿などは全部ペア物だ。

 流石に、外に出てペアルックは恥ずかしいから出来ないけど。


「いつもはいる百合はどこにいるの?」

「今日は友達と遊ぶから帰りは夜だって」

「そっか……」


 少し寂しそうにする天川くん。

 うぅ、変わりに私が妹になってあげたいけど、妹になったら結婚できないし……。

 あれでも、血は繋がってないし、義妹になるから結婚できるんじゃない?


「お、お兄ちゃん!」

「え?」

「ごめんなんでもない忘れて」

「え、あ、う、うん」


 何をしてるんだろう私。

 絶対変な子に見られてる。

 近年稀に見る暴走だよぉ。


「大学の課題しながら、家事してるし、もしかして疲れてる? 疲れてるなら、無理しなくてもいいんだよ?」


 優しく諭してくれる天川くん。

 こういう、さりげないところで体のことを気遣ってくれるのが、本当に好き。


「そ、それより、ご飯出来たから食べよ?」

「……ん、了解」


 今日は卵が安かったから念の為に買っておいて、まだ残ってた卵の処分のためにオムライス。

 こんなところは、料理を作る人の事情で合わせれる。


 ☆☆☆☆


「綺麗に出来たー」


 機嫌の良さそうな声とともに来たのは、きれいな形の取れたオムライス。

 卵でライスを包んでいる。


「そしてはい、ケチャップ」

「あぁ、ありが……」


 フラッシュバックが起きた。


『定番やってもらったんだよ。美味しくなれのやつ』

『彼女にメイド衣装渡したらぶん殴られたし』


 ほんの出来心だった。


「……天川くん?」

「綾瀬、さ」

「うん? なぁに?」


 首を傾げながら聞いてくる綾瀬かわいい。

 じゃなくて。


「もしよかったら、なんだけど。アレしてくれない?」

「アレ?」

「メイド喫茶のやつ」

「美味しくなれ?」

「そうそう」

「……してほしいの?」

「有り体に言えば」

「……うん、分かった。いいよ」


 ふぁ!?

 マジで!?

 キタコレ!!


 綾瀬はケチャップを使い、綺麗なハートを描く。


「そ、それじゃ、いくね?」

「お、おう」

「お、美味しくなぁれ、萌え萌えきゅんっ!」 







         ○○○○○

         ○   ○

         ○   ○

         ○   ○

         ○   ○    ○

         ○   ○   ○ ○

         ○   ○  ○   ○

         ○   ○ ○   ○

         ○   ○○   ○

         ○   ○   ○

         ○      ○

         ○○    ○

         ○○  ○

           ○○○


        ○○○○

        ○  ○

        ○  ○

        ○  ○   

        ○  ○  ○○

        ○  ○ ○  ○   ○○○

        ○   ○    ○○○   ○

        ○              ○

        ○    ○○○○      ○

        ○   ○    ○    ○

        ○  ○      ○  ○

         ○○○      ○○


        ○○○       ○ 

        ○ ○     ○○ ○

      ○○○ ○○○○ ○  ○ ○

      ○      ○  ○  ○

      ○○○ ○○○○   ○○

        ○ ○

        ○ ○   ○○○○

        ○ ○  ○    ○

        ○ ○   ○○○○

        ○ ○

        ○ ○   ○○○○

        ○ ○  ○    ○

        ○ ○   ○○○○

        ○○○


 しんだ。

 死ぬかと思った。

 むしろ死んだわ。

 ほんの好奇心で頼むものじゃなかった。

 これは頼むべきじゃない。


「…え、えっと、これでいい?」

「あ、う、うん! 大丈夫!」

「ただいまー」


 丁度タイミング良く、百合が帰ってきた。


 ☆☆☆☆


「お兄ちゃん」

「んー?」


 先ほど綾瀬お手製の晩ご飯を食べ、ソファでのんびりしていると、百合に話しかけられた。


「明日ホワイトデーだけど、用意したの?」

「あっ……」


 完全に忘れてた。

 用意というのは、おそらくバレンタインのお返しだろう。

 やっべ何も考えてない。

 いやでも『プレゼントはワタシ』みたいなことされて、なにを返せばいいのか。

 俺も同じことをしろと? いやいや男がやったらやばいわ。


「……百合、なにをあげればいい?」

「自分で考えようよ。そういうのが気持ちが大事だから」

「気持ちだけで分からない人もいるんだ」

「お姉ちゃんなら、お兄ちゃんからのプレゼントだったらなんでも嬉しいと思うよ」

「う〜む……」


 どうしようか。

 とりあえず手料理は無理だから、せめて市販のまあまあ高いやつにしよう。

 500円でいいかな?

 なにか帰りにコンビニで買おうかな。

 ホワイトデーなんだから、なんかイベント用のやつくらいあるでしょ。


「ちゃんと考えなきゃだめだよ、お兄ちゃん」

「ああ、分かってる」


 思うが吉日。

 明日の仕事帰りだな。


 ☆☆☆☆


「……まあ、いいよね」


 2000円超えたけど、まあ誤差の範囲だと思う。

 綾瀬が喜んでくれればそれでいい。

 よ、喜ぶかな……?


「ただいまー」

「おかえり、天川くん」


 エプロン姿で、笑顔の綾瀬が出迎えてくれる。

 それだけでもう幸せだ。


「先に百合ちゃんがご飯に食べてるけど、天川くんも食べる?」

「んー……、そうだな、俺も食べるよ」

「手洗ってね?」

「分かった」


 なんか母親みたいだ。

 だがそれもイイ。

 とりあえず手洗いをしてリビングに。


「あ、お兄ちゃんお帰り」

「おう、ただいま」

「そういえば聞いた? クラスの子が言ってたんだけど──」


 ☆☆☆☆


「ん〜っ! いいお湯だったねー」

「そうだな」


 綾瀬と一緒にお風呂に入って、俺の部屋に戻ってきた。

 基本、互いにお風呂がまだのときは、一緒に入るのが暗黙の了解みたいになってきている。


「それで、さ……」

「? どうしたの?」


 いきなり真面目になった俺を不思議そうに見てくる。

 なんていうか、こういうイベントで渡すのはなかなかに言いづらい。


 包装されたチョコを渡す。


「これ、ホワイトデー。バレンタインのお返し」

「え!? い、いいの?」

「あ、ああ。綾瀬は手料理だったけど、俺は無理だから、市販になっちゃうけど」

「ううん、気持ちだけでも嬉しいよ。ありがとう」

「っ!? ど、どういたしまして……」


 不意打ちの笑顔にやられた。

 顔が一瞬で赤くなる。


「しかもこんなに……。ねぇ、開けていい?」

「いいよ」


 ゆっくりとラッピングを剥がし、綺麗に取った。


「あ、ホワイトチョコだー」

「定番だと思ってさ」

「それでこっちがー……、キャンディだ」

「甘いから好きかと思って」

「嬉しい。まさかホワイトデーにお返ししてくれるとは思わなくて」

「え、そんなに薄情なやつに見えてたの?」


 まあ忘れてたから間違ってないが。

 百合のおかげだが。


「あ、ううん!! そういうのじゃなくて、ただバレンタインは渡したくて、食べてほしかったから……」

「そ、そうか……」


 どうしてこうも可愛いことを言うんだろうか。

 心臓に悪すぎる。

 寿命が縮まり過ぎて明日にでも死にそうだ。


「でもそっかぁ、ホワイトチョコかぁー」

「……ん?」


 布団の上に座ると、綾瀬が近付いてきた。

 シャンプーの香りと、綾瀬の匂いが鼻腔(びこう)をくすぐる。


「どうせホワイトデーなら」


 柔らかい手が、俺の胸に当たり、そのまま下に落ちていく。


「天川くんが作るホワイト(・ ・ ・ ・)チョコ(・ ・ ・)がほしいな?」


 妖艶で、甘美な響きを催すその言葉は、一瞬で俺を落とした。






 ちなみに、店で買ったホワイトチョコが好評だった。

活動報告にも書きましたが、イベントを基本とした物語にしますので、なにか抜けているイベント(夏祭りなど)がありましたら教えていただけると嬉しいです(他力本願)


感想をしてくださった方、ブクマをしてくださった方、お読みいただきありがとうございます

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