十一話目
Q.文字数少ないと思う
A.気 の せ い
「この服いいね」
「でもこの明るい方もいいと思うけどなー」
綾瀬と百合が服を選びながら話し合っている。
俺はとりあえず適当な椅子に座り、二人の買い物を待つことに。
「ふぁぁ……」
たこ焼きを食べて、店内をぶらついていたら、服屋に目が止まったため物色している。
俺はのんびりと欠伸をしながら、二人のことを待っている。
「あぁ……、今日も可愛いよなぁ」
いつも思うけど、なんで綾瀬ってあんなにも可愛いんだろうか。
いや本当に、一人だけオーラが違う気がする。
俺、あんな人と毎晩一緒に寝てるんだよな……。しかもご飯も作ってくれて。
嫁にしたい。付き合ってないどころか、向こうは俺になんの好意もないだろうけど。
まあご飯も作ってくれて、なおかつ同じ布団で寝るくらいだから、好意がないわけでは、とは思うが……。
「平和だ」
耳に聞こえる喧騒は、心を豊かにしていく。
子供の泣き声、
友達同士でのはしゃぎ合い、
カップルの会話、
親子の触れ合い。
どれもこれも、かけがえのないものだ。
「ていうか、なんで女の子はあんなにもオシャレに気を使うのかなぁ……」
百合は年頃だし、まあそんなものだと思うけど。
綾瀬は素材が最高に良いんだから、何着ても似合うと思う。
今も、スカートにストッキングを履いており、脚の暖は取りながらもオシャレに気を使い、上は上着を羽織り清純をアピールしている。
はーかわいい。なんだあの可愛い生き物。
ていうか素材がいいのに常にオシャレに気を使うって、もしかして好きな人できたのかな。
いやいや、たとえ好きな人が出来たとしても、他の男と一緒に寝る尻軽じゃないはずだ。
マイエンジェル綾瀬たんは、そんな人じゃない。
そうでもなきゃ二十歳のまま処女だなんてあり得ない。
「でもやっぱり、服のレパートリーは少ないね」
「だめだよ百合ちゃん。そういうことを店内で言うのは」
「あ、つい……」
テヘペロと舌を出す百合。
ああいう仕草が似合うから、クラスでも人気があるんだろう。
俺の本来持っている良いところは百合に吸われて、百合の悪いところは俺が吸ったんじゃないか説濃厚。
「外で天川くん待たせてるし、そろそろ行こう?」
「うんっ」
手を出した綾瀬に、なんの嫌がりもせずに握る百合。
互いに手を繋ぎながら店から出る姿は、姉妹のように思えた。
「ごめんね天川くん」
「ああ、大丈夫大丈夫。全然待ってないよ」
「それならいいんだけど……」
なにをそんなに引きずっているのだろうか。
綾瀬が視界に映るだけで、俺はもう十分である。
小学生のときなんて、恥ずかしさのあまり顔も見れなかったしな。
「それじゃ、他のところも回ろうか」
「あっ……、うんっ」
綾瀬と手を繋ぎ、駐車場のときに繋いだ並びになる。
「……なぜ普段からそういうさりげない事ができないのお兄ちゃん」
百合がなにか呟いた気がしたが、デパート内が騒がしくて聞こえなかった。
☆☆☆☆
「天川くん、あーん」
「あーん」
唐揚げを食べさせてもらいながら、パンフレットを眺める。
唐揚げ弁当を二人で食べ、百合は一人できつねうどんを食べている。
なお、百合は冷めた目で俺のことを見てくるが。
食べさせてるのは綾瀬であって、俺を見るのはやめてほしい。
「次は野菜だよー。まずはトマト。あーん」
「あーん……、ん?」
唐揚げみたく、箸の感触が口の中に広がるかと思ったら、綾瀬の味が広がった。
甘く優しい味だ。
「手づかみだったのか」
「トマトだから、滑りやすくて」
「いやだったらトマトいいじゃん。唐揚げにしよう」
「もー、お肉ばっかり食べてたら栄養が偏っちゃうんだよ? 野菜とかお魚も食べないと」
「じゃあ綾瀬ももっと食べようか。倒れるぞ」
「え!? わ、私は大丈夫だからっ」
「おう聞いたぞ、なんか体重がふえ……」
「なんで知ってるの!?」
「百合が笑いながら話してくれた」
「ゆ、百合ちゃん!!」
「文句あるなら公然とイチャつくのやめてからにしてね。さっきから視線が痛いから」
「え!? ……あっ」
綾瀬は周りを見て、自分たちがいかに目立っていたかを自覚した。
俺はパンフレットに集中していたため、視線を無視してたが。
「あ、あーん……」
「ああ、それは続けるのね」
それに従う俺もアレかもしれないが。
しかし『あーん』って、好きな人にやってもらうと格別だと思う。
全てのものが美味しく感じる。
「ん?」
と、そこで、気になるものに目が止まった。
「どうかした? 天川くん」
「いや、これってなんのかな、って」
「んー?」
止まったところを指差す。
「『スタンプラリー! 宝探しの旅へ』?」
「そうそう。最後までスタンプ押せた人には豪華賞品。気にならない?」
漢のロマンが詰まってる言葉だと思う。
宝探し。
「でも、豪華賞品ってなんだろうね」
「友達が言ってたよ。このデパート内ならどこでも使える二千円チケットだ、って」
俺たちの話に、答えを教えてくれる百合。
「二千円か。まあまあ大きいな」
「もしかして天川くん、やりたいの?」
「ん? あぁいや……、やりたいというか、漢のロマンというか」
「漢のロマン?」
「なんでもない」
心の声が漏れた。
とりあえず気になっただけなので、気にしないことを言っておいた。
「それじゃ、買い物の続きしようか?」
パンフレットを元の場所に戻し、二人に問いかける。
「「うん」」
二人共、可愛らしい声と共に席から立ち上がった。
ちなみに、ちゃんとお膳を返却口に返したのは言うまでもない。
☆☆☆☆
「おいおいおい、マジかよ」
「もうお兄ちゃん、なにをそんなに嫌がってるの」
「いやいや待ってくれ百合。ここから先は駄目だ。警報が鳴り響いている」
「私といるから大丈夫だって」
「むしろ実の妹と一緒にいる方が危ないと思うの」
百合は俺のことを無理やり押し入れようとするが、なんとか対抗する。
綾瀬は既に中に入って行ったから、ここにはいない。
でも問題はそこじゃない。
「流石に女性用下着の店に入るのはまずいって」
「えー? 大丈夫だよー」
「ばっかやめっ……」
踏ん張る力が力尽き、俺は店内に入ってしまった。
広がるのは、可愛らしいブラやショーツ。
色よりどりである。
店員さんに変な目で見られないか心配しかない。
「……あれ、素通りされる」
女性店員が悲鳴をあげ、通報されて直ぐに逮捕されるかと思ったが、そんなことはなかった。
「まあ、私も一緒にいるからね。ほらほら、それより行こうよ」
「ああもう……、分かった分かった」
入っちゃったものは仕方ない。
開き直って百合と一緒に店内を歩くことにした。
ちなみに、どうせならと思い個人的嗜好な下着があったら綾瀬に着てもらおうとか、そんな邪な考えが過ぎったとか、そんなことはない。
ないったらないのだ。
☆☆☆☆
「高すぎないかな」
「そう? こんなものだよ」
百合が欲しい下着を見つけたため『どうせ来たなら……』と思い買ってあげることにしたが、会計を見て驚き。
「なんで、たかが布切れ一枚に3000円もするんだ。おかしいだろ絶対」
「でもお兄ちゃん」
「ん?」
「その布切れ一枚で、見える見えないの興奮度が変わるんだから、数千円してもおかしくないんじゃない?」
た、確かに……っ!!
いや確かにじゃねえよ。
まるで俺が変態みたいじゃないか。
どちらかと言えば変態なのは綾瀬の方です。
痴女ですね。痴女な綾瀬、大変素晴らしいと思います。
まあ買うと決めた手前、お金を払う。
こんなことしてるから母親に怒られるとか、そんなことは気にしない。
「お兄ちゃん、ありがとう」
「どういたしまして」
百合の笑顔が見れたので良しとしよう。
店員からお釣りを貰う。
「さて、綾瀬はどこだ?」
「なにか見て悩んでるんじゃない?」
「でも綾瀬って、基本的にシンプルなやつしか履いてないんだけどな。色違いでシンプルなやつ」
「……なんで知ってるの?」
「えっ? あ、いや、まあ……、一緒に寝てるから、かな……?」
上手く誤魔化せただろうか。
まさか毎夜毎夜やってるとは思うまい。
「でもさ、今はまだ冬なのに、普通暖かい格好するよね? リビングにいるときとか、普通にパジャマとか着てたし」
「ま、まあいいじゃないかそこは」
「……」
ジト目で見られる。
勘弁してくれ……。
心の中で泣いてると、綾瀬がやって来た。
「あれ? 百合ちゃんがいるのはおかしくないけど、天川くんどうしたの?」
「え? いや、な、何でもないよ」
なぜ好きな人の履いてるパンツについて話してたと言わないとなんだ。
とんだ羞恥プレイだ。
ドン引きされるに決まってる。
「そ、それより! なにか買いたいものあった?」
「え? ううん。特になかったよ」
「そっか。じゃあ、行こうか」
「うん」
百合を連れて歩き出すと、右手にから感触が伝わってきた。
「ん?」
「えへへ」
顔を少しだけ赤らめながら、恥ずかしそうに笑った。
左に百合、右に綾瀬という、両手に華の状態となる。
少しだけ、右手を強く握ると、強く握られた。
それが嬉しくて、ついニヤけそうになる。
「な、なんだこの空間は……!? 右側が熱くて甘い……っ!!」
百合が突然に騒ぎ出した。
ただ適当に妄想を広げて書き始め、短編だとあまりにも文字数が多いと個人的に感じ、長編にしたはいいが、何一つ考えてないから、書いていくうちにボロが出る
お漏らしは得意です。
ついでにプロットとかもないから、物語を考えるのは不得意です。
感想をしてくださった方、ブクマをしてくださった方、お読みいただきありがとうございます