第1話 –始まりの時–
オリジナルの王道ファンタジー小説です!
かつて最強と呼ばれた少年ユマが、ひょんなことから出会った少年アキと共にかつての仲間を探し求める。運命に導かれるままにそれぞれの過去と想いが交差する物語です‼︎
下手ですが見ていただけたら嬉しいです(*^^*)
「早く金を出せ!!」
「無理です!もうお金がありません‼︎これ以上渡してしまったら私たちの生活が…!」
「自分たちの生活のためにお国のための金がだせねーって言うのか!」
町中に喧騒が響く。女の背に隠された小さい男の子が女にしがみ付き、その女と子供を囲む兵士5人が女と言い争っている。町人はそちらをチラチラと見て伺うものの、皆が見て見ぬ振りをしていた。
「–––––おばちゃん!リンゴ1つちょーだい!」
「はいよー。」
シャク。藍色の髪の男は金を払い、受け取ったリンゴにかぶりついた。
「なら金の代わりにお前を連れて行くまでだな!」
「–––––ッ…お願いです!もう少し…もう少しだけお待ちを!」
「残念ながらもう待てねーよ!来い‼︎」
兵士はそう言うと、女の腕を掴み思い切り引っ張る。
「姉ちゃんを離せよ…‼︎」
「なんだコイツ!離せ‼︎」
「あぁ!お願いします!弟に乱暴はやめてください‼︎どうかどうか…」
女にしがみついていた男の子は女を連れて行こうとしている兵士に思い切り突進し、足にしがみついた。
それを兵士は振り解こうと足を振り回し、男の子は兵士から離され尻餅をついた。女はひたすら懇願する。
「うるさい!このガキ‼︎」
兵士は男の子に向かうと腰の鞘から剣を抜き、振り上げる。
キィィン
「このリンゴがなくなるまで待てよな。まだ食ったばっかなんだよ。」
シャクシャク。藍色の髪の男は右手に剣を持ち、兵士の剣を受け止め、左手にはリンゴを持ってそれに噛り付いていた。
「な、なんだお前!舐めた真似しやがって‼︎」
兵士はそう言うと、再び男に斬りかかってくる。
男は難なくそれを受け止める。
「無駄だよ、お前達じゃ束になっても俺には勝てない。」
「ほー、そんじゃお望み通り束になってみるか。」
今度は5人で束になって剣を男に向けるが、男は相変わらずリンゴを持ったまま、5つの剣を次々と軽やかに受け止め、弾き飛ばす。
(コイツ…戦い慣れしてやがる…それに凄まじい強さだ…)
兵士は男の剣捌きを見て思わず息を呑み、口を開く。
「…お前、何者だ…?」
「俺は、ユマ。通りすがりのただの剣士だよ。」
(…ユマって…まさかあの“ユマ”か…?だとしたら何故“今”こんなところに…?)
「…で、どうする?まだやる?」
兵士がユマを見て思考していると、ユマは兵士の方を真っ直ぐ見て口元に笑みを浮かべてそう言った。
「く…!撤退するぞ‼︎」
兵士のリーダーらしき男はそう叫ぶとバタバタとその場から去っていった。ユマはフーッと息を吐くと女と男の子の姉弟の方を振り返る。
「大丈夫?怪我ない?」
「は、はい…!助けてくださってありがとうございました!」
「そ、なら良かった。お前も大丈夫か?姉ちゃん助けようとして偉かったな。」
姉はユマに向かってお礼を言った。ユマはしゃがみ込み、姉にしがみついてる弟にそう言うと頭をポンと撫でる。
「へへ…兄ちゃんカッケーな!」
–––––ユマ、カッケー!!
ホントね、さすがユマ!
弟の声に重なる遠い昔の記憶がユマの脳裏を過る。
ほんの一瞬、哀愁漂う表情をしたユマだったが、それはすぐに消えニィッと笑った。
「カッケーだろ?」
***
「–––––ねぇ!さっきの見てたよ‼︎強いなお前。
俺見てて震えたよ!」
姉弟と別れ、この街を離れようと歩いていると赤髪の男が興奮した様子で声を掛けてきた。走ってきたのか息を切らしていた。
「そりゃどーも。で、俺に何か用?」
ユマは目をパチクリさせてその男を見ていると、赤髪の男はハッとしたように再び口を開く。
「俺はアキ!世界中を旅してるんだ。だけど特に目的地もないから、ユマ!お前に着いて行くことにした‼︎」
「……え?」
赤髪の男、アキはさらっとそう言って笑った。突然のその申し出にユマはポカンとするしかなかったのだった。
閲覧ありがとうございました!
次回も見ていただけたら幸せです(*^^*)