プロローグ
オリジナル小説です!
かつて最強と呼ばれた少年ユマが、ひょんなことから出会った少年アキと共にかつての仲間を探し求める。運命に導かれるままにそれぞれの過去と想いが交差する王道ファンタジーです‼︎
下手ですが見ていただけたら嬉しいです(*^^*)
「–––––リ…リ……?」
その手にユアの細剣を持ち、数多の敵人を相手に殺戮を繰り返す、目の前の少女は一体誰だ?
争い事や血の紅【あか】とは縁の無い、誰よりも戦いを嫌い、平和を望んでいた昔からよく知っている筈の心優しいその少女は、自ら手に取った剣を離すことなく、一瞬の躊躇いもなしに、次々と斬りかかり、どんどん返り血に塗れていく。穏やかな光が宿っていた筈のその瞳も、まるで何も映っていないかのように冷たい金色の光を帯びていた。
そんな異様な光景を、全身傷だらけで所々に血が滲んでいる、藍色の髪の少年は地面に這い蹲って只々呆然と見ていた。
おかしいのはそれだけではなかった。
残虐なまでに剣を振り続ける少女に脅える輩は1人も居らず、それどころか剣を掲げ、自ら少女の下へと向かっていく。勇猛果敢に、というよりも狂ったかのように向かって行き、斬られていく。国への忠誠心などというものは跡形も無く、理性などもなく、ただ獣のように憎しみ、恐怖といった負の感情が前面に押し出ている、この目の前にある光景が異様でないと言うのなら何なのだろうか。
「……ユア…ショウタ……」
後ろを振り返って少年はポツリとそう言った。その視線の先には、少年と同じ年くらいの女の子と男の子が血を流して倒れていてピクリとも動かない。
気が付けば数分前までここで一緒に戦っていたはずの味方は、誰1人いなくなっていた。
やがて、まるで別人になってしまったかのように殺戮を繰り返していた少女の目の前から数多いた敵人は1人残らず血を流して倒れ伏した。血塗れの剣を握り、自身も返り血で紅く染まった少女は顔色1つ変えず、孤高に立っていたが、直ぐにグラリと揺れたかと思うとその場に倒れた。
「–––––ッ…リリ……」
少年はその名を呟き、傷だらけの身体に鞭打って必死に立ち上がり、片足を引きずりながら少女の下へと向かう。
今この時この場所に確かに存在した、この世界の異変の片鱗を、少年はたった1人見て感じ取っていた。
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