第2話 見知らぬ土地と魔法と
「うわぁあああ!」
抵抗も無く急に落とされた俺は一瞬思い出が浮かんだ、これが走馬灯ってやつか...
などと更けていると湖にドボンした、幸いにも怪我は無く服が濡れただけだったので陸に上がり干すことにした。
「あの邪神クソ女神...今度会ったらあの水着脱がして売ってやる...」
などと独り言をほざいていると湖から音が聞こえた。
「今度は何だよ...」
見てみるTHE半魚人がこちらを物珍しそうに見ている
「....」
「....」
しばらく沈黙が続いたがただ俺はビビって声も出ないだけだ、可愛くもない半魚人だぞ!しかもまじまじとこっちを見るとか怖いよ!....待てよ、これは(キモカワ)と言うやつなのだろうか...?と考えていると半魚人から声をかけてきた
「アノ...ドチラサマデショウカ?」
半魚人は以外と礼儀正しいやつだった事がわかった、この際聞き出せるだけ聞くのもアリか。
「あっ....あぁ、すみません、おr...僕は美代 明石と言います、色々あってここに飛ばされてきました。」
ボッチの別世界での最初の挨拶は半魚人か....バイトの面接とかでコミュ能力を少しでも上げてて正解だったな。
「ソウカ、ワタシハ「アジ」トイウモノダ、ソレトココラヘンハキケンダカラハヤクトオクニイッタホウガイイゾ」
アジって名前何だよ...まんま魚じゃねぇか....それに今何て言った?危険?どゆこと?
「危険って、何が危険なn」
聞こうとしたがアジはもう居なかった、釣りの道具があれば釣れそうだな...とふと思ってしまったが後ろの茂みから音が聞こえた瞬間そんな考えが吹き飛んだ
「またかよ....今度はな....」
死を覚悟した、一回死んだがまた死ぬのかと思ってしまった。
「何だよ...これが危険の正体かよ....」
振り向くと体長3メートル程はあるだろう狼の頭、熊の腕、ワニの尻尾みたいなのがついた生物が目の前に!
「この場合は最後の手段だ...」
キメ顔で言ったがこれしか手段が無いし追いつかれたら即死以外とありえないだろう、と思い即座に
「逃げる!」
逃げた、服も取り込んでいないし今ある物はパンツと靴と邪神女神から貰った腕輪だけだ、しかし物が減った分速く走れるだろうと思ったし現状後ろから何か来る様子はないし勝ったな。
「えっ..?」
まさかの俺の隣で物音一つも無しにこっちを見てる化け物
こりゃ死んだなと確信したその時
「サモン!」
と声が聞こえた瞬間化け物の後ろから鈍い何か硬い物音が砕ける音が聞こえ、そのまま化け物は倒れたままピクピク動いている。
「助かった....てかさむっ!」
助かった安心感からか急に寒さを感じた、半裸で走ってれば寒くなる訳だ、そして化け物の後ろからパイルバンカーを逆に持ったような中世紀頃の全長1メートル90センチ程の鎧が立っていた。
「嘘やろ...もう懲り懲りなんだけど」
そのまま鎧は化け物にトドメをさしてこちらに視線を送るが
「リターン」
と声が聞こえると鎧はガラガラと音を立てて崩れ落ち何も無かったかのように消えて行った。
「君、死ななくてよかったね」
全くだ、死ぬかと思って何回絶望したんだよ。
一応姿は見えないがお礼くらいはしておくか
「あっはい、助けてもらってありがとうございます」
「そうかそうか、ちなみに今君の後ろにいるよ」
何を言っているんだ、声は化け物の死体の方から聞こえるぞ、と内心呟きながら後ろを見ると角が生えて露出が激しい服を着たスリムな体型な女の人がいた。
「うわわっ!」
「ねっ、言ったでしょ?」
顔をぐいっと近づけてきて彼女は言うが、DTボッチ勢の俺には刺激が強すぎる...みえ...
「少し待っててね」
もう少しだったのに彼女は化け物の死体の方へ行き腰に差していたダガーらしき物で化け物を解体し始めた。
「グロい...」
率直な感想だがこれが一番だと思う
そして彼女は化け物の内臓や骨などを重ねて置き何か唱え始めた。
「....」
何を言っているのかさっぱりわからないし何をしているのかもわからない
唱え終わったと思った直後
「はぁ!」
と言いながら化け物の肉塊の山に手を突っ込み
「汝の魂を生贄に捧げ、我が魔力の糧となれ!」
と叫ぶや否や肉塊の山がまるで溶けたようにドロドロになり彼女の右手に吸い込まれていく。
やはりこちらも結構グロいものだ、そして液体を吸い終わった彼女がこちらを向き
「いやー助かったよ、君のお陰でバレなくて済んだよ、ありがとう!」
「いえ..それより今のは?」
「今の?生贄の儀式だよ?魔術師なら習うはずだけど君、見ない顔だね、どこから来たの?」
「僕ですか?えーと、東京って所から来たんですけど知りませんか?」
「トウキョウ?うーん、ごめんね、知らない!」
満面の笑みで彼女は答えた。
デスヨネー、まあRPGの基本みたいな事ですし大体予想はついていましたけどぉ!
「ところでトウキョウってどんな所なの?アヴァロンとは違うの?」
まずアヴァロンってのがどんな所かも知らないんだが...
「東京って言うのは都会で国の代表みたいな街だ、大きい建物や乗り物なんかが沢山走っている」
「へぇ!すごい所なんだね!」
彼女は目を輝かせながら聞いているがこの世界にはそう言う場所は無いのか!?迷っても仕方ないから聞いてみると
「うーん、乗り物がそもそも珍しいからどこに行ってもそうそう見つからないね、アヴァロンでも多くて50個程しか無いらしいし」
ここで疑問に思った事を聞いてみよう
「なあ、アヴァロンってどんな所なんだ?」
「えっ?アヴァロンを知らないの?」
知らないよ!まずこの世界の事すら知らないよ!
「えっとね、アヴァロンって言うのは」
彼女の答えとして、露店や人が多くて城がありそこの従業員は給料がいいらしい。
「そう言えばまだ名前聞いてなかったね、私はミル!ミルフォード・タスク!君は」
「えっ...あぁ、僕は美代 明石っていいます」
ダメだガチガチの棒読みロボットだ、理解できたかな?
「へぇ〜、ミシロ アカシって言うんだ、じゃあこれからアカシね!よろしく、アカシ!」
そのDTボッチ勢に強過ぎる満面の笑みは倒れそうになるんだよ!
「あっはい...よろしくお願いします、ミルフォードさん」
いきなり軽く叩かれた
「ノンノン!ミルフォードじゃなくて、ミルって読んで、いい?」
「....わかった、よろしく、ミルさん」
「.....まあいいわ、その内「ミル」って呼ばせてあげるから!」
こうして天然ドスケベボディのミルと出会った