表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/72

お仕事しますか、それともデートにしますか。

「明日の配置はどこですか。」

 電話越しの未佳の声は、いつも通りに明るかった。

「ちょっと待って、主任に代わるから。」

 一方で英治はというと、素気なく主任に電話を回した。

 回された主任は、訳が分からなかったが、とりあえず明日の配置を説明した。

 未佳からの電話が切れた途端に、英治の携帯電話が鳴った。

 未佳からである。

「もしもし、どうしたの。」

「どうしたのじゃないですよ。なんなんすかアレは。」

「ん、いや、今日は楽しかったですか。」

「楽しかったですよ。それがどうかしましたか。」

「いや、よかったね。」

 嫌な間が流れた。

 英治は切ってしまおうかとも思った。

 いやむしろ切ってしまいたかった。

 とはいえ切れないままに席を外し、事務所の外に出た。

「ハッキリ言ったらどうですか。『俺以外の男と遊びに行くなんて嫌だ』って。」

「うん、嫌だ。」

 あっさりと認めた英治に対し、未佳の方が面喰ってしまった。

 電話でよかった。

 今、とても見せられる顔をしていないだろう。

「そ、それじゃあ、あしたの配置をおしらせしますよ。」

 たどたどしく未佳は言う。

「明日の配置って、主任から聞かなかったんですか。」

「それは断りました。これから発表するのは明日の英治さんの配置です。」

「俺の・・・配置ですか。」

 未佳は二度ほど咳払いをした。

 この咳払いが、英治には雑音として届いた為、携帯電話を耳から離した。

「・・・・・・だ。私と・・・に・・・すよ。」

 未佳の言葉は、携帯電話を耳から離していた為に、ほとんど聞き取ることが出来なかった。

「ごめん、今何て言った、もう一度お願い。」

「うそ、絶対うそだ、辱しめだ、公開処刑だ。」

 未佳は騒ぎ立てたが、本当に聞こえなかった英治には何が何やら分からない。

「なんか雑音がうるさくて、ちょうど耳から離してたんだよ。」

「分かりました、もう一度だけですよ。明日の配置は海だ。私と遊びに行くぞ。」

 しばらく沈黙が流れた。

「それって俺の真似なの。」

「だから嫌だったんですよ。ワザとでしょう。絶対聞こえてたでしょう。」

「そんなことないって。」

 英治は一転して立場が上になったような気がした。

「明日の配置は海だね。了解、で、どこの海に行く。」

「どこでもいいんですけど、海というか、二人で出掛けることが目的だから。あ、ただし車はダメです。電車で行きますよ。」

「電車で海ってチャレンジャーだな。」

「そうなんですか。」

「そうだよ。しかもまだ寒いよ。」

「それがいいんですよ。」

 結局押し切られる形で海に行くことになってしまった。

 英治は事務所に戻ると、主任に明日休むことを告げた。

 明日は元より休みなのだが、言わないと休めない。

 言うと当たり前だと言われる。

 面倒なことである。

 とはいえ、明日は楽しみでもあり不安でもある。

 きっと未佳も最初はこんな気持ちだったんだろう。

 そう思いつつ、残務処理をする英治であった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ