「仮面の男」
黒いスーツを着た男二人に連れて来られた場所は大きなお屋敷だった。古くて、とても不気味。
その屋敷の前で車から降ろされてしまった。
しばらくその屋敷を眺めた後、後ろを振り向くと、さっきまでいたはずの男達と車がない。
「嘘……。」
これじゃあ、家に帰れない!!
もしかしたら、この屋敷に入れってことかもしれない。
私はその屋敷の扉の前まで行き、一度深呼吸してから扉を開けた。
中は暗くて何も見えない。
ゆっくりと奥に入ると、扉が自動的に閉まった。
テレビでよくそういうシーンを見たことあるけど、実際にそうなるとは思わなかった。
「やあ、綾坂希さん。ようこそ、我が屋敷へ。」
その声と同時に私にスポットライトがあたる。
そしてすぐに光の中に仮面を付けた銀髪の男が現れる。
「貴方は誰ですか?どうして私をここに……?」
「僕には名前はないよ。でも君に招待状を送ったのは僕。君の願いを叶えてあげようと思ってここに呼んだのさ。」
呼んだと言うより連れて来られたんだけど……。
「私の、願い?」
「そう。まぁ、まずはこの仮面を付けて欲しい。それから説明するね。」
そう言うと、私にそんなに派手じゃない白い仮面を渡した。私はそれを恐る恐る付ける。
「よく似合ってるよ。…あの奥の扉には、君と同じようにこの世界がつまらないと思っている人間が集まっているんだ。」
え…?どうして私が世界がつまらないって思ってる
ことを知っているの!?
「あの部屋で、君達にあるゲームをしてもらうよ。」
ゲーム……?
「ゲームの説明はあの部屋に入ってからだよ。さぁ、いってらっしゃい。健闘を祈るよ。」