グロテスク
醜い人間は罪悪。これはわたしの思想。
しかしながら、一切の穢れを内包しない人間など存在しないのではないでしょうか。皆、血液が巡り、五臓を抱え、時に他者に毒を吐き、それでも平然と生きているのです。ここで語る醜さとは、単なる容姿の美醜などではないのです。姿形、内面、行動など、総合的な観点から鑑みて、聖人君子などいないというお話です。
醜悪さは罪。詰まる所、わたしを含め此の世に生きるすべての者は、罪人。わたし自身も過去多くの過ちを犯し、恥を晒して生きてきました。穏やかな心持ちの人間でありたいと常日頃願いつつ、たった一瞬の衝動が抑えきれずに、傲慢な類の愛情を押し付けたことがあります。到底許されるべきではありません。あの人には、わたしを一生許さないでいて欲しいと心の底で願っています。
わたしには、愛情は贅沢品でした。やっと、言葉にすることができました。
かつて夢見た景色が、走馬灯のように視界を巡ります。麗らかな春風に吹かれ、ゆらり揺らめく淡い藤の花。わたしを呼ぶ小さな女の子の声。隣であの人が笑っていました。わたしの肩を抱き寄せては、朗らかに笑っていました。
わたしの願いが見せた、泡沫に消える幻。この夢が終わる頃、わたしはほんの少しきれいになれるでしょうか。それとも、何も変わらないのでしょうか。わたしはいつまでも、グロテスクなまま。




