カタログは見てる時が一番楽しい
すみません、コピペをミスっておりました!
修正済みです。
当分先と母上は仰せだったと記憶しているものの、魔女馬車作りはやりたいのでやる!
一般的な(?)馬車の大きさをした巨大かぼちゃ。深緋色のドアを開けるとそこは、何にもない! 当然だね!
魔力を流し込んで空間を広げてみる。それから外に出てみる。……本当だ、外観変わってない。内側かなり広々してるのに。
かぼちゃの中に戻り、キッチンやダイニングテーブル、パントリーが置けそうなぐらいに空間を拡張する。念の為もう一度外から見てみる。変化なし。実は見えない何かがあったりして? と思ってかぼちゃの周りをぐるりと一周したけど、見えない阻害物はなかった。どうなってんのかな?? 分からんが助かる!
続けて洗面所、洗濯機、乾燥機、トイレとお風呂が置けるスペース分を拡張する。広げといてなんだけど、普通にコンパクトハウスぐらいの大きさになりそう。
それから二階に続く階段を作りながら空間を広げていく。
私のイメージとしては、イギリスのロンドンを走ってる二階建てバスみたいな感じなので、二階は一階と同じ広さにする。
二階に上がってすぐは居間。カーペットとか敷いてごろ寝したい。広めの居間の先は二つの部屋と大きなベッドルーム。二つのうち一つはシルルが大好きな洋服作りとか刺繍ができる部屋。もう片方はウォークインクローゼット。
ベッドルームは大きくなるだろう天狼四匹と私達が眠っても平気な大きさ!
「とりあえず空間の拡張したけど、家具が全くない!」
「野宿に近いね」
初めは簡易なものだとしても、全くないというわけにもいかないから、どこかしらで調達せねばなのではー?
「お母さんに相談しないと!」
「どこかに依頼して作ってもらうなら早めに言わないとね!」
かぼちゃの馬車から飛び出し、家に戻る。お母さんは居間でまた鹿の角を使って編み物してる。だからそれどうなってるんだね!?
「お母さん家具欲しい!」
「馬車の中で寝袋が楽しいのは最初だけだと思う!」
エレンの言葉の説得力よ……。
「魔女通販のカタログがあるから、とりあえずそれで一式揃えるといいわ」
魔 女 通 販。
なんぞそれー!?
本棚からそこそこの厚みの本を持って来ると、テーブルの上に広げた。本当にカタログだ……!
「外観がかぼちゃだから、可愛いめにするのかしら?」
「あ、そうだ、お母さんに聞きたかったの!」
「私達、何歳で旅に出るの?」
そこさ!
「十二歳ぐらいでいいんじゃないかしら?」
十二歳。前世でいうなら小学六年生。早くないかな、この世界厳しいな。でもあれかな、丁稚奉公とか子供の頃から行くから、そんな感じなのかも?
「言い忘れていたかもしれないけれど、魔女は死なないでしょう? つまりね、自分の肉体的な年齢を自在に操れるのよ」
我らが今生の母君は四十路にも達していないように見える。
「……お母さんって、何歳なの?」
女性に年齢聞いちゃ駄目っていうけど、この流れで聞くなというのも難しい。
「そうねぇ、八百歳は超えてるはずよ」
ガチ八百比丘尼きたー!!
「わかった!」
自分で言いながら何がわかったんだ、って感じだけども。
「じゃあ早く大きくなって」
大きくなって子供と侮られないようにすると言おうとしたら、シルルが勢いよく首を横に振る。
「えっと、大きくならないほうがいい?」
そう尋ねると笑顔で頷く。どうやら成長しないほうがいいらしい。
「うーん、でもさすがに五歳のままではいられないから、もうちょっと大きくなるからね?」
そこは頷かれた。
「十六歳ぐらいは?」
シルルが首を振る。駄目なようだ。
「じゃあ年相応に十二歳」
また首を振られる。あ、駄目ですか。続けて十歳と言ったけどそれも駄目だった。十~十二歳は個人差もあって、発育の良い子は身長も高かった記憶。
「八歳ぐらい?」
大丈夫だと頷かれた。
我らの四天王の一角を担うシルルの機嫌を損ねるわけにはいかぬ!
八歳だと小学二年生ぐらい?
魔女っぽいとんがり帽子とかも似合うかもー? お母さんかぶってないけど。
「家具も大事だけど、狩りで仕留めた動物の血抜きとか寄生虫とか毒素とか、そういうのってどうしてるの?」
お母さんがそうだったわ、という顔をする。しっかり者だけどたまーにこういうところもある、ほんわかお母さんである。
「カタログの中にね、血抜きナイフっていうのがあるのよ」
物騒な名前だけど大変助かる奴っぽい!
「そのナイフを使えば捌く時に自動で血抜きをしてくれるから楽よ。あとは捌いた肉の寄生虫やら毒素はシルルが魔法で何とかしてくれるから安心なさい」
妖精と魔女では魔法体系が違うらしいとは聞いていた。妖精の魔法ではそういうことが可能なんだね。生活力高めだ!
カタログ見るの楽しみだなーなんてのほほんと思っていたら、エレンが「予算はいくらぐらいまで許されるの?」と尋ねた。
確かに親子といえどなんでもかんでも好きなものを買ってもらえるはずもなかった。
「うーん、全て最高級品でなければ大丈夫だと思うわよ」
なんだと、お母さまブルジョワなのか!?
「キッチンと洗濯関連はシルルと相談するとして、寝具とか衛生関連はキリエが耐えられる水準を吟味するね」
……私、一体どんな風に認識されてるのかなぁ? そんなにわがまま言ってる?
顔に出ていたのか、エレンが言う。
「キリエは文句を言わず我慢して体調とかメンタル崩すから、わがままなぐらい言ってちょうど良いの」
あ、えっと、ディスられてもいないけど褒めでもないな。心配されているのは分かったので頷いた。
「了解です」
まさかの魔女通販の存在に、なんだそれと思ったりもしたけど、前世日本人としてはありがたいし、それをビジネスとするのはありだと思う。絶対需要がある。
「とりあえず八歳で外見を止めるとしても、あんまり子供っぽいのは嫌なんですよ」
「そんなこと言って、ブランコ好きなくせに」
「大人だってブランコ乗りたいの!」
そうだよ、ブランコ馬車に付けてやれー(やらないけど)
「二階の階段上がってすぐ右側に、温室みたいなの作れないかな」
温室?
「育ちやすい野菜とかハーブを水耕栽培するの」
「温室ならシルルが屋敷から出た判定にならないってこと?」
確認するように尋ねると、エレンは頷いた。
「食材は地の物を買うにしても、場所によっては思うように買えないこともあるわけでしょ? 食べられないものもあるかもしれない。そんな時そういうのがあったら助かるし、緑は目に優しい」
なるほどー、一理あるなー。エレンも私も食べられないものあるし。
念の為カタログに水耕栽培キットがないかを確認する。……あるのか、凄いな……。
カタログの水耕栽培キットを見てエレンが手をぐっとした。良かったね。私も嬉しいです。
同ページに専用の種とか苗まで載ってる。水耕栽培なら虫もつきにくいかなぁ? この様子だとそのへんも説明書に書いてありそうだけど。
「レタス、ミニトマト、ハーブ、インゲンやきゅうりまであるよ? 本気度を感じる」
うんうん、とエレンとシルルが頷く。
「シルル、いつの間に!?」
「ちょうどよかった。シルル、馬車内の温室ならシルキーとしては屋敷内になるの?」
エレンの問いにシルルが笑顔で頷く。いけるらしい。良かった。
三人でカタログを見る。
とはいってもキッチン、パントリー、洗濯機、乾燥機、アイロンなどの決定権はシルルさんです。目をキラキラさせながらカタログを見ている。なおシルルとしては外見よりも機能重視のようで、食洗機かガスオーブンのどちらかを入れるかについては、ガスオーブン即決だった。
薪ストーブは白にするか黒にするかで私とシルルで意見が分かれ、エレンの一言で黒に決定。
洗濯機や乾燥機はその機能上、白のほうが好ましい。シルルもそれは同意見のようで白いのを選んでいた。トイレやお風呂も同様に満場一致で白を選んだ。
リネン類はシルルに決めておいてね、と頼んでおく。付き合っていたら夜が明けそうだから。裁縫道具類は既にお母さんに買ってもらったものがあるから、それを運び入れるんだって。なるほどね。
二階の居間に置く本棚はエレンさんが絶対にこれがいいといって聞かなかったものに決定。高すぎてお母さんに断られても出世払いすると息巻いていた。何を選んだかというと、本を無限に収納できるという、本好きにはたまらない一品であり、お値段の桁が違った。出世払いの前にお母さんの懐事情が心配になってきた……。
二つの部屋のうち片方はシルル用。もう片方は我らのウォークインクローゼット。今も結構衣裳持ちだから、今後も増えるんでしょうな。シルル、双子コーデたまらなく楽しいみたいだし。
最後は寝室に置く巨大ベッド。これは特注になるかもですな。やむなし。……っていうか、今使ってるベッドをもらっていっちゃ駄目かな。
お母さんがまた新たな魔女を産むとしても、双子かは分からないし、もし双子だったとしてもその使い魔がどちらも二匹っていうのはレアなのでは?
「今のベッドもらっていきたい」
「あ、そのテがあったか」
「うん」
元々の二段ベッドも残ってるみたいだし。ここはお母さんに要交渉ですね!




