絶望的魔法少女 VOL.1
魔法少女たちが、ループしたりバトルしたりします。
各エピソードの世界線は、微妙に繋がっていたりいなかったり。──そんな物語です。
スズは、たった今倒した異形の残骸を見下ろしていた。爆発と閃光、断末魔の叫び。
全てが過ぎ去った後に胸に残るのは、いつもと同じこの空虚な感覚だった。
幼い頃にテレビで見た魔法少女は、いつも愛と勇気に満ちあふれていた。世界を救い、笑顔で物語を終える。彼女たちが持つステッキは希望の象徴で、身に纏うドレスは夢そのものだった。
だが、現実は違っていた。このステッキは、ただの殺戮兵器。コスチュームは身体能力を極限まで高めるための戦闘服だった。そして、魔法という名の物理現象は、ただの破壊を伴うエネルギー放出に過ぎなかった。
なぜ戦うのかもわからないまま、終わりが見えない戦いを続けている。敵は次から次へと際限なく現れるからだ。
もしかしたら、この敵も、そして魔法少女である自分自身も、全て脳が生み出すただの幻想なのではないか。そう考えると、スズはいつも震えてしまう。
「そんなはずない、わたしは確かにここにいる」
それでもスズは、自分が誰かの視点によって観測されているだけの『被観測者』なのではないかという疑念が強く頭から離れない。
おそらく、この世界は彼女の戦いを欲しているにちがいない。だから、次々と敵を送り込んでくる。彼女が戦うことをやめれば、世界は彼女を必要としなくなり、やがて消滅させるだろう。彼女の存在は、世界のシステムに組み込まれた歯車のひとつに過ぎないのかもしれない。
空を見上げると、星が瞬いている。あれも、誰かの観測によって存在を許された光点に過ぎないのだろうか。スズは、己の存在を構成する最小単位が、絶望という名の情報であることを知っていた。
絶望であるからこそ、彼女は戦う。絶望であるからこそ、敵は生まれる。そして、絶望は彼女を永遠にこの境界に縛り付ける。
「もう、うんざりだわ」
呟いた声は、誰にも届かなかった。いや、誰にも観測されていなかった。世界の誰も、スズの絶望に興味の欠片も持っていなかった。
彼女の視界に、新たな敵の出現を示す光点が揺らめく。無表情のままステッキを構える。絶望を力に変え、ただ自分に与えられた役割を果たすためだけに今日も戦っている。
スズの戦いは続く。世界がそれを望む限り、永遠に。
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