表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

絶望的魔法少女 VOL.1

魔法少女たちが、ループしたりバトルしたりします。

各エピソードの世界線は、微妙に繋がっていたりいなかったり。──そんな物語です。

 スズは、たった今倒した異形の残骸を見下ろしていた。爆発と閃光、断末魔の叫び。

 全てが過ぎ去った後に胸に残るのは、いつもと同じこの空虚な感覚だった。

 幼い頃にテレビで見た魔法少女は、いつも愛と勇気に満ちあふれていた。世界を救い、笑顔で物語を終える。彼女たちが持つステッキは希望の象徴で、身に纏うドレスは夢そのものだった。

 だが、現実は違っていた。このステッキは、ただの殺戮兵器。コスチュームは身体能力を極限まで高めるための戦闘服だった。そして、魔法という名の物理現象は、ただの破壊を伴うエネルギー放出に過ぎなかった。

 なぜ戦うのかもわからないまま、終わりが見えない戦いを続けている。敵は次から次へと際限なく現れるからだ。

 もしかしたら、この敵も、そして魔法少女である自分自身も、全て脳が生み出すただの幻想なのではないか。そう考えると、スズはいつも震えてしまう。


「そんなはずない、わたしは確かにここにいる」


 それでもスズは、自分が誰かの視点によって観測されているだけの『被観測者』なのではないかという疑念が強く頭から離れない。

 おそらく、この世界は彼女の戦いを欲しているにちがいない。だから、次々と敵を送り込んでくる。彼女が戦うことをやめれば、世界は彼女を必要としなくなり、やがて消滅させるだろう。彼女の存在は、世界のシステムに組み込まれた歯車のひとつに過ぎないのかもしれない。


 空を見上げると、星が瞬いている。あれも、誰かの観測によって存在を許された光点に過ぎないのだろうか。スズは、己の存在を構成する最小単位が、絶望という名の情報であることを知っていた。 

 絶望であるからこそ、彼女は戦う。絶望であるからこそ、敵は生まれる。そして、絶望は彼女を永遠にこの境界に縛り付ける。


「もう、うんざりだわ」


 呟いた声は、誰にも届かなかった。いや、誰にも観測されていなかった。世界の誰も、スズの絶望に興味の欠片も持っていなかった。

 彼女の視界に、新たな敵の出現を示す光点が揺らめく。無表情のままステッキを構える。絶望を力に変え、ただ自分に与えられた役割を果たすためだけに今日も戦っている。



 スズの戦いは続く。世界がそれを望む限り、永遠に。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました!

励みになるので、評価ポイント、ブックマーク、ご感想を頂ければ幸いです。よろしくお願いします。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ