その3「白の世界」
スキー体験を終えた私はスキー場を後にした。また移動だ。バスガイドの話は退屈だ。また外の景色を眺める。今日は晴れ、太陽の光が雪に反射することで世界が輝いて見える。気がつくと中心地に着いたようだ。
バスから降りて、私は街を歩いた。もちろん1人であるが、私は白い世界に夢中になった。こんな世界は見たことない。まさに“イコク”だった。その光景に心を動かされているとまたあいつが現れた。田中だった。
「お前、また1人か。一緒に観光しようや。」
1人にしてくれ。そう思ったが言えるわけもない。仕方がないから一緒に観光することにした。
最初は無言であるいていたが、向こうは一方的に話しかけてくるから、少しずつ話すようにした。そこで新しい発見をした。田中は北海道に詳しかったのだ。親戚の家が北海道にあるらしく、田中自身も何度か訪れたことがあるようだった。話続けていると仲良くなっているようにも感じた。新しい感覚だ。
雪の道を歩くことは非常に困難であった。少し気を抜くと転けそうになる。最初は気をつけていたが、話に夢中になっている内にその意識は失われていった。そして転けた。痛かった。私にはわからなかった。私の視界にはまだ白い雪が残っているはずだった。
「大丈夫か。」
その声は田中だった。優しい声だった。怪我はしていなかったが、雪は非常に固かった。多くの人が通った後なのだろう。足跡が区別できないほどついている。
私たちは指定された時間にホテルに帰った。夕食は同じようなものであったが、田中と一緒に食べるとなぜか飽きなかった。なぜか今日1日は新鮮だった。今まで感じたことのない感覚。歩いてばかりの1日だったが心は豊かであった。北の国での生活はまもなく終わる。どこか寂しい。そんな意識もつかの間、あっという間に寝てしまった。




