その1「北の国へ」
ーまもなく着陸致しますー
そのアナウンスを聞くと、機体は徐々に下降していった。雲の下へ行くとそこは雪景色。窓から見える風景は白一色であった。九州地方に暮らす私は、このような白銀の土地を見たことがない。私にとって、北海道はまるで北欧にでも行ったかのような感覚であった。
高校2年生の冬、修学旅行で私は初めて北海道を訪れた。クラスの中でも人一倍静かであった私はこのイベントが非常に苦手であった。1人でいることがとにかく好きだったのだ。周りからどのように見られているのか気になって、心を閉ざしてしまう。その結果、私の心はすっかり北の国と化した。
北の国、降りるとそこは雪景色。私は雪に触れた。初めての感覚だ。白い雪は私の手の中で優しく溶けた。
私は空港からバスで宿泊施設へ移動することとなっていた。バスガイドは30歳前後であろう。地元の人なのだろうが、話し方に初々しさが残る。話の内容に多くの同級生が興味を示していたが、高校で成績の良かった私からすれば、その内容に物足りなさも感じた。目的地までバスで過ごすしかなかった私は、その話を聞きながら外を眺めた。空を飛んでいるのはシマエナガか。北の国へ来た私を歓迎しているのか。鳥類にそんな思考があるわけないとわかっていながらもそう考えるしかなかったのだ。
目的地についた頃には太陽が沈んでいた。部屋はきれいに整っており、生活しやすかった。夕食には、地元の特産品が並んでいた。中にはエキゾチックなものもあったが、どれも日本人の口に良く合う。夕食が終わると、就寝の準備にをした。今日は朝早くから移動続きだった。1日の疲れをとるために私は静かに眠りについた。屋外ではまだ雪が降っていた。




