ep.6 ネリーの成長
女王とシリウスは一直線に走り出し、剣を大きく振りかぶった。
イゼルとネリーが咄嗟に防御壁を張り、攻撃は防ぐことができたものの、その衝撃にネリーの防御壁にヒビが入った。
「くっ!」
「ネリー、すぐに次の攻撃がきます」
弾かれた女王とシリウスは後ろに後退しながらも、再び剣を構え、何度も攻撃を重ねてきた。
「くっ!すごい力……」
「人の底力を引き出しているのでしょう。自分たちの体が壊れていくことを知らず、彼らは動き続ける」
イゼルは前に出ると、風を纏った一閃で二人を弾き飛ばした。
体勢を崩した二人は、すぐに構え直しこちらを睨みつけていた。
「アシェルはエルディ様をお願いします。……ネリー、結界は張れますか?」
ネリーはイゼルの言葉にピクリと反応したが、下を向いた。
「ネリー?」
「前の戦いで私の力が全く魔族に通用してなかったの、イゼル師匠は見てないでしょ?私のこの力じゃ相手の動きを止めることができないのよ……」
ネリーは悔しそうに唇を噛んだ。
イゼルは考えるように沈黙したあと、ネリーを見た。
「ネリー、あなたの力は誰にでも通用する力ですよ。私が教えた結界なのですから、私が責任を持ってそう言います」
ネリーはそれでも不安そうにステッキを握りしめた。
「あなたはここまで、努力を積み重ねてきたでしょう。魔族に通用しなかったのは、悔しいですが、その時は力の差があまりにもあったから……けれど、あなたはここにきてからもその努力を惜しまなかった。大丈夫です。自信を持ってください」
ネリーは迷いを残しながらも、頷くとステッキを構えた。
「まずは、女王陛下とシリウス王子の周りに結界を展開するのです」
ネリーは言われた通りに女王とシリウスの周りに結界を展開した。
すると、行き場を失った二人は結界を破ろうと激しく暴れ始めた。
「っ……!」
結界が大きく歪んだ。
ピシッ――という音とともにヒビが走り、それは瞬く間に広がっていく。
押し潰されそうな圧力に、ネリーの手が震えた。
「あっ……!イゼル師匠、このあとは……どうすれば」
「落ち着いてください。押さえ込もうとしなくていいです」
イゼルの声は落ち着いていた。
「相手の動きに合わせるのです。流れに逆らうと弾かれます」
「流れに……」
「目を閉じて相手の気と魔力の流れを感じるんです。あなたならできます」
ネリーは息を飲み、ゆっくりと目を閉じた。
気持ちを落ち着けようにも、二人は荒れ狂う波のように結界を叩きつけてくる。
(押さえ込むんじゃない……合わせるのよ……!)
「んっ……!」
結界が大きく歪み、形を変えていく。
女王とシリウスの体を包み込んで、絡みつくように。
そして――
一瞬、全ての音が消えたようだった。
ネリーがゆっくりと目を開くと、二人の動きが、ぴたりと止まっていた。
「……止まった……」
ネリーは荒い息を吐いた。
震える手を見つめ、そしてゆっくりと握りしめる。
「……やった……」




