ep.2 同胞
レイヴと共に休憩所に戻るとイゼルが目を覚ましていた。
イゼルはアシェルたちに気づくと、頭を下げた。
「……アシェル、レイヴ申し訳ありません。私の力不足でこのようなことになってしまって」
「いや……師匠が謝ることはないです!本当は、力不足で師匠の負担を増やしてしまった僕が謝らなければならないのに……!」
「そうだ、イゼルさんが謝ることはねぇ!俺の力不足のせいでもある」
二人は同時に話し、イゼルの頭を上げさせようと、手を伸ばした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「お取り込み中のところ失礼します」
後ろから低い男の声が聞こえ、振り向くとそこには四十代ほどの鎧姿の金髪の男がドアの前に立っていた。
「おや、これは騎士団長殿ようこそおいでくださいました」
椅子に座っていた老婆は立ち上がり、そして騎士団長をアシェルたちのもとへ誘導した。
「お初にお目にかかります。私は騎士団長のノルドと申します。失礼ですが、あなた方のお名前を伺っても?」
アシェルたちはそれぞれ自己紹介をした。
イゼルとレイヴの名前を聞いた瞬間、ノルドの表情が一変した。
「……やはり貴方様はイゼル殿でしたか……申し訳ない、イゼル殿は私のことは覚えていらっしゃらないでしょうが、私は貴方のことを勇者一行の一人として尊敬していて……。ちなみに、あなた方が戦っていた相手は勇者オルフェン殿なのでしょうか?」
「……ええ、そうです。あそこにいたのはオルフェンです」
イゼルの言葉にノルドは息を飲んだ。
「そうですか……やはり魔王側についてしまったことは本当なのですね。……いや、知ってはいたのですが、実際にその姿を見てしまうと疑念が確信に変わってしまって……ありがとうございます」
ノルドは一瞬、眉間に皺を寄せ、その事実を飲み込むように言葉を詰まらせたが、気持ちを切り替えるように頭を振り、そして表情を改め、レイヴを見た。
「そういえば、君の名前はレイヴというのか?」
「おう?そうだぜ」
ノルドはじっと探るようにレイヴを見ていた。
「ちなみに……間違えていたら申し訳ない。君はトルメリア出身だったりするかい?」
「えっ!?な、なんで知ってるんだ?」
「おお、やはり!トルメリアのレイヴということは、君はグランの息子か!……はは、そうか大きくなったな!」
ノルドは嬉しそうにレイヴの頭を撫でた。
「お、おい!やめろよ!なんだよおっちゃん」
ノルドは笑いながらレイヴの頭を離した。
「ああ、すまないな。私もトルメリア出身で、お前の父グランの友人だったんだ。トルメリアの惨劇を知ってすぐに村に戻ったのだが、誰もいなくてな。全員死んでしまったのかと思っていたんだ。……ちなみにだが、グランは……?」
「……父ちゃんは死んじまったよ。俺以外あの村の人は全員生きてはいないと思う」
ノルドはその言葉に目を伏せた。
「そうか……辛い話をさせてしまってすまなかった。だが、お前だけでも生きていてよかった。大樹様のお導きかもしれないな」
ノルドはそう言い、レイヴの肩を叩いた。
そして、明るい表情から一変し、真剣な表情でアシェルたちを見た。
「実は、私は魔族に関しての情報を集めていまして。あなた方が出会った魔族、オルフェン殿も含めて何か弱点などはありませんでしたか?魔族であることを裏付ける証拠でも構いません。教えていただけると助かります」
「……いえ、あの二人の弱点は正直わかりませんでした。しかし、魔族であれば核となる魔障石が体のどこかに埋められているはずです。奴らに共通する弱点はそれのはず……」
ノルドはイゼルの言葉に頷いていた。
「やはり、魔障石ですか……」
「なぜそのようなことを我々に?」
イゼルの質問にノルドは歯切れ悪そうな顔をし、あたりを見回した。
「それは……」
ノルドが言いかけたその時、ドアが突然開き、兵士が颯爽とノルドのもとまでやってくると敬礼をした。
「ノルド騎士団長、女王陛下がお呼びです」
「わかった。すぐに行こう」
ノルドは頷き、そして少し考え込むように下を向いたあとイゼルを見た。
「イゼル殿、今は旅のお急ぎでしょうか?もしよろしければでいいのですが、お時間いただけるようでしたら、私と共に女王陛下のもとに赴いていただいてもよろしいでしょうか?貴方様の知識をお借りしたいのですが」
「……?ええ、私は構いませんが」
イゼルは頷き、アシェルたちもイゼルと共にノクシェルドの女王のもとへ向かうことになった。




