はじまり
♦︎♦︎♦︎聖域♦︎♦︎♦︎
それは世界の根幹をなす大樹を祀る神聖な場所である。
世界が闇に覆われるとき、大樹は勇者を生みだす。
聖域の長、聖導師の導きにより、勇者は魔王を討ち倒し、そして勇者が大地に還る時、世界には安寧がもたらされる。
大樹に祈りを捧げ、大樹の力と四地方の神々の力を結ぶは聖導師。
聖導師を支え、時には聖導師を導き、護るは守人。
聖域を守り、緑絶やさず大地をつくるは森の精。
聖域はこれらの役目を持った者達によって支えられ、そして世界の中心として、この世界を見守っている。
そしてこの世界を栄えさせるは六大国
六国の王を中心に人々は生活を営んでいた。
しかし、安全な生活は永遠には続かない。
予言された魔王の誕生は突然である。
しかし、人々は勇者の誕生を信じていた。
そうして人々の期待のもと生まれた勇者は、生まれながらにして魔王を倒すと言う大きな使命を負った。
勇者が魔王を倒して帰ってくるという期待を胸に、人々はいつもと変わらず日々の生活を営んでいた。
しかし、人々の未来と希望は突如として討ち砕かれた。
勇者の突然の裏切り。
勇者が魔王の手を取ったことで、力をつけた魔王の手先たちはすぐさま世界の破壊をはじめた。
勇者を堕とした魔王が次に取った行動は聖導師の存在を消すこと。
魔王は魔族を従え、聖導師を魔界へ連れ去った。
その後を知るものは誰も存在しない。
人々は勇者の裏切りに憤り、悲しみそして絶望した。
しかし、人々は魔の手に堕ちることなく抗い続けた。
六国の王が立ち上がり人々を鼓舞し、そして魔族たちを退けたのだ。
人々は抗い続ける強い決意を胸にしながらも、自分たちができる限界を悟っていた。
人々は新たな勇者の誕生を大樹に祈るしかなかった。
そして誕生して間もない小さな聖導師に不安を抱きながらも、縋ることしか自分たちの未来への希望はないと感じ始めていた。