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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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430/430

430.ちょっと捕まってみる作戦

 土蜘蛛は前に戦ったジョロウグモのように巣を張ってはいなかった。でも、糸は吐き出すようだ。普通お尻からだろうと思っていたら、口から出すので正面にいると食らう。


『盾持ってかれたら俺のフィジカル勝負になる!!』

『八海山の回復勝負よ~』

 とはいえ何もしないでいても何も打開策が得られず、俺と半蔵門線が交互に石を投げているところだ。

 投げるとヘイトが向いて糸を吐き出す。

 今のところ攻撃手段としてはそれくらいしかしてこない。

 お互い出方を見ているといった感じだ。


『俺と半蔵門線さんは逃げ切れるけど、案山子さんと柚子さんは無理だと思うよ』

『うーん、ちょっと私捕まってみようかしら? 糸切れるように火魔法準備お願いね!』


 と言ってピロリが走り出す。石を投げる! 当たらない!!


『真面目にやれ』

『命中率お粗末なのよおお』

 いつもはスキルでカバーしているそうだ。それでも、石は当たらずともやってやるという意思は受け取ってもらえたらしく、口元をがぱっと開いて糸を吐き出した。


 ピロリはその糸をむんずと掴む。


 そして完全に腰を落とすと引っ張り始めたのだ。


『ピロリ……マジか』

『筋肉全振りお化けが……』

『失礼ね! ある程度バランス考えて振ってるわよっ!!』


『ここで殴ったらどうなるかだね。いっきまーす』

 俺特攻。

 だけどすぐ側に寄る自信はなかったので、側面に回り込んだ。


「【天光】」

 真っ直ぐ細剣(レイピア)を振り下ろすと、光が落ちた。


 だが糸を押さえられていて俺に攻撃を加えられず、土蜘蛛は足をバタバタと動かしている。

『きゃーっ』

 突然ぶちんと、糸が切れてひっくり返るピロリ。俺の方に向き直り糸を吐く準備をする土蜘蛛。


『足を一本寄越すでござる』

 と、反対側の足へ攻撃を加える半蔵門線。ヘイトがそちらへ移る。またぐるりと向きを変えようとするので俺も再度攻撃をすることにした。


「【瑞光】」

 聖なる剣強化バージョン!

 えいやっと一番後ろの足に攻撃を加えると、根元は無理だったが足の半分ぐらいがとれた。

 ギイイと鳴き声をあげる。


「今度はこっちでござるよ~」

 俺と半蔵門線が交互に攻撃を加えると、どうもすぐにヘイトを向けるという特性と、平べったい蜘蛛のフォルムのせいでどうにもこうにもいかなくなるらしい。


「【アイスアロー】【ダークストライク】なのじゃ」

「【ファイアーボール】【ダークストライク】だよッ」

 魔術師二人がピロリの後ろから呪文を唱える。

 すかさず糸を吐く、が待ち構えたピロリがまたもや掴んだ。


『糸に特に小細工がないのが助かるわ~綱引き二回戦ね』


 だが、敵もすぐさま糸を切る。

 さすがにこの状況が嵌められていると気づいたようだ。

 大きなくせに似合わぬ俊敏さで後ろにジャンプすると、正面、全方向に広がるような糸を吐いた。


「【メテオレイン】」

 案山子が範囲火魔法の一番レベルが低いものを目の前に展開する。

 ピロリたち三人の方へ伸びてきた糸はそれで焼き切れた。


 俺と半蔵門線はもちろん逃げているが、間に合わないのがソーダと八海山だ。

 ソーダは思わず反射的に構えた盾を。

 八海山は身体ごと巻き上げられる。


「【ファイアボール】」

「【ファイアボール】」

 とっさに糸を焼き切るよう、魔術師が火の玉を飛ばすが、二人とも八海山を連れ去ろうとする糸へ向けた。


『すまん、重なったのじゃ』

『人命救助優先しちゃったッ!』

 かくしてソーダの盾は蜘蛛の口に飲み込まれたのであった。


 と思ったら。

 ぺってしたよぺって!

 まずいんだろな。糸まみれのそれが高い木のてっぺんに張り付いた。


『あれまーなのじゃぁ』

『火魔法で落とすのはちょっとあとでかなッ』

 結構高くてあれを回収するのは目の前に土蜘蛛がいたんじゃ落ち着いて狙えなさそうだ。


 結論これだけ頑張って足二本。


『うんんー、倒せる目処がたたん!!』

『糸が自分の意思で切れるからね。綱引きならいい勝負になってたんだけど』

 いい勝負になるのがすごい。


『あ、拙者いいこと思いついたでござる。ちょっとやってみていいでござるか?』

 半蔵門線がそういって土蜘蛛に向かっていった。


「【投擲】」

 すぐさま飛ぶ糸。

 そして何かを置いて走り去る半蔵門線。その何かを巻き取り回収する土蜘蛛。


 もぐもぐぺって……あ。


 口の端から泡が吹き出てきた。


『今でござるよ。それぞれ足を始末するでござる!!』


 何が今かわからんが、よしきたと俺も突撃。今は剣がそのものが強い聖属性武器みたいなものだ。こうなってるとき、スキル発動できないんだよねー。つおい聖剣をただ振り回すのみ。付与剣で聖属性になってるところにさらに付与した感じ。


 ピロリは思い切り振りかぶって足を……二本飛ばしていた。

 半蔵門線も足を一本。


 魔術師組も足の付け根を狙っている。


 結局合計八本の足が二本にまで減っていた。しかも右側二本残り。大変バランスが悪いです。その辺りでやっと土蜘蛛が動き出し、みんな一度離れた。


『糸で引き寄せて喰う習性を利用したのか! 何を喰わせたんだよ?』

『拙者これでも結構ビエナ殿と仲良しでござってな』

『毒盛り少女ッ!』

 なんでも猛毒の素とやらを食べさせたそうだ。


『二本じゃ動けないし、側面から攻撃するわよー!』

 一応安定の【フロストダイス】からの、攻撃を何度も食らわせる。聖属性強かったね。


「我が牡牛神(タウルス)よ、聖なるその気で悪しきものを退けよ! 【悪鬼退散】」


 最後は闇に対抗せし退魔師、八海山の決め台詞で倒すことができた。


 《フィールドダンジョンボス『堕落した土蜘蛛』をソーダと愉快な仲間たちが初討伐しました》

 と、ワールドアナウンスが流れる。


『よっし。初討伐だな』

『倒し方わかったら小豆あらいより楽だったわね』

『ボスに辿り着くまでが結構大変だからな。しかも数を倒さなきゃ出てこなさそうだし』


 闇のモンスターが集まっているところに強い個体がいるって話だったからね。


『さて、あれをどうするか……』

 俺たちは高い高い木のてっぺんを眺める。


『木燃やしちゃうッ!?』

『周りの木も燃えちゃうわよ』

『登ってみる?』


 生活魔法木登り発動! 盾の近くは本当に足場が柔くて怖かったよー。登ったはいいけど今度は盾が剥がれなくて、再び生活魔法でちょっとずつ燃やして回収しました。燃やしてすぐ鎮火してやらなくちゃいけなくて、かなり時間がかかった。

ブックマーク、評価、いいね、感想、ありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


ゲームだから最悪死んでもなんとかなるぜの精神ですね。

ハイファンタジーならやれない綱引き作戦でした。



ということで宣伝です。

『転生魔女と魔法のランタン』

https://ncode.syosetu.com/n2298mc/

ハイファンタジーで、今度は勢い系じゃないのでかなりゆっくりお話が進みます。

章ごとに書けたら毎日更新する予定。一章分書き終わったので39話分連載します。

もしよかったら読んでください。

それでもって評価とブクマいただけると嬉しいです。

感想はまだまだ序盤だから……一章終わったらもらえると嬉しいw

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― 新着の感想 ―
なるべくゆっくり楽しんで読んできましたが、最新話まで追いついちゃったなあ。今後も大切に読ませて貰いますね。 生活魔法便利だなあw 季節の変わり目ですが、お身体に気をつけて。
獲物がかかると自動的に巻き取っちゃう生態が仇となったか こういう攻略法がわかると楽勝になるの、とてもゲームって感じがして好き
更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 ソーダも木のてっぺんに連れて行かれたのかな?
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