394.退魔の書弐
図書館アルバイトといい、本関係の担当に絶対、ッ絶対! パズル好きがいるー!!!
「あ、あ、あ、あ、……」
「どうしたセツナ」
「大丈夫か? セツナ君」
二人の前で俺は突っ伏した。ここまで結構頑張って目をこらしてミリ単位と戦って、次はクロスワードパズルかよお。まあいいけど、やるけどさ。
「タテの1、始まりの街と言われるのは……アランブレか?」
しかもゲーム知識でした。
「タテの1?」
疑問符を浮かべるソーダ。
「まさか、クロスワードって、今そこに出てるのか」
とは八海山。あ、ちょっと楽しそう。尻尾パタパタしてる。
「図書館バイトしたことある?」
「ない!」
「ないね」
「あれもまた、パズルゲームだった。事前に退魔の書は魔法書で解読をするんだって言われてたんだが、解読が、クロスワードパズルだったとは……」
まあ仕方ないのでひとつずつ解いていくのだが。
「俺、全然知らないんだけどぉぉぉ!!」
「まあ、セツナ普通の道をたどってないというか……アランブレもイェーメールも堪能してるのごく一部だろ?」
「調べることは問題なさそうだし、ほら、ヨコの15はファンルーアだよ」
「うう……全部ぱーっとわかればいいのに」
「予測してマス目を埋めるのも楽しいだろう?」
八海山これ大好きな人だ。
俺はどっちかというと数字とかの方が好きなんだよなあ。アップグレードするたびに問題のレベルが上がっていったら怖いな。
「タテの20が、六文字で二番目が『い』で三番目が『き』、五番目が『だ』。問題文が、どの都市にもあるもの」
「うーん?」
「別のところから解いてみるか」
一時間ぐらいあーでもないこーでもないとやっていた。
二人にこの問題が見えてないのも原因だ。ちょっとずつしか進まないし、結構難しい。
「ぱーっと解けたらいいのになぁ」
ソーダは早々に飽きた。知識だけは貸してくれる。
「まあ、あと少しだろう」
八海山は楽しんでいる。
まあ、新しい武器にもなるし、頑張りましょう。
「ぱーっと【鑑定】で答えが……あ【翻訳】」
ぱーっと退魔の書が光りました。
「セツナ君、それはずるだっ!」
あと少しで解けるパズルゲームの答えを見てしまった感じだ。
「へへっ」
「ああ……」
そして無事に『退魔の書弐』ができあがりましたとさ。めでたしめでたし。
「どうぞお納めください」
「うん、ありがとう」
ちょっと不満そうな八海山でした。
「どんなもんよ!」
新しい武器にワクワクしているソーダ。八海山はペラペラとページをめくる。
「そうだな。壱は退散させたりしていて、消滅、倒す系だったが、弐は霊を縛り付ける、封じる、……縛り付けるのは普通のモンスターにもいけそうだ。闇系だとなお効く感じかな。あとは、精神系の影響を受けている人の影響を解除するもの、らしい。たぶんこれはスキルツリーが出てきそうだ」
「いやあ、ますます、お化け系になっていきますね」
尻尾がぶるりと震えた。
ソーダが笑う。
「まあ、VRでガチもんのホラーやったら苦情くるだろう。血反吐とは違うのですよ。R18だけど、どちらかというと暴力系だからな」
「レイスもそこまでじゃなかったしな……慣れれば」
そんな話をのんびりとしていたら、ボロボロの柚子が現れた。
よろよろとソファに倒れ込む。
「うわ~ん、終わったのじゃー! 納期に厳しいお貴族様に関わるのはもういやじゃあ……狩りしたい狩りしたい狩りしたいのじゃっ!」
それならば、せっかくだしレイス狩りをしようということになった。
案山子と半蔵門線は忙しそうだ。ピロリはなんでもソロで金策中だとか。四人でレイス狩りに行くことにした。つまりそう、風の村だ。
俺も細剣に聖属性を付与して戦った。なかなかのダメージをたたき出せた。その後柚子が好き放題できるマップへ移動して、思う存分【フロストサークル】を出してもらった。
「余は満足じゃ……」
そういってログアウト。
大量のモンスターを氷付けにして俺が【針雨】を降らせると無限氷割りができる。やり過ぎて柚子が途中一度転んだが満足そうだった。
そして、俺は八海山と一緒にオルロの元に来ていた。
「もうすぐウロブルで退魔の書を解読するための本が公開されます」
「ああ、聞いてる。アンジェリーナから道具を揃えてもらったんだろ?」
「そうなんですよ~」
思わず取り出して見せびらかしそうになるがこらえる。今日はその先の話をしに来たのだ。
「それで、たぶん来訪者が魔法書である退魔の書の解読を修復師に手助けしてもらおうとやってくると思うんですけど、オルロさんを紹介してもいいですか?」
「セツナがやるんじゃないのか?」
「うーん、全員を俺だけじゃ捌ききれないので」
プレイヤー全員来たら俺、アンジェリーナさんのところに行く暇なくなっちゃうんだよね。だから、ウロブルの貸本屋とイェーメールの貸本屋、つまりオルロのところに誘導しようと思っているのだ。
「まあ、かまわんが」
「ウロブルの図書館で見つかったから、たぶんウロブルの貸本屋さんに流れることの方が多そうですけど。ユーファさんでしたよね」
「ああ、あいつも腕はいいから上手いことさばくだろう」
他の都市は正直わからない。写本師がそんなにいなさそうなのはわかったが。
「それで、相場ってどのくらいなんでしょう?」
「ん??」
「一律同じくらいにしておいた方がいいかなって」
「ああ! そうだな……解読に必要な素材は依頼人に集めさせて、30万シェルってところかな」
「おお……結構もらうんですね」
「ふっ……それくらいいただかないとこっちも暇じゃないんでね」
「わかりました、俺も同じにしておきます」
「別に少しばかり安くして、たくさん引き受けてもらってもいいんだぞ?」
いやいや、やめておく。お断りです!!
ここら辺の金額確認をしておいた方がいいというのは八海山からの話。
このあと『退魔の書弐』動画を公開するそうだが、きちんとプレイヤーの導線を引いておけと言われました。俺の職業がバレたとしてもこちらに負担が来ないようにしておくべきだと。
「みんな色々考えてる……」
「セツナ君がアンジェリーナさんの情報を秘匿するなら、きちんとしておかないと。各地に貸本屋があると知れれば、自動的にアランブレの貸本屋もバレるからね」
確かにそこには全力を注ぐべきだ。
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「タテの20が、六文字で二番目が『い』で三番目が『き』、五番目が『だ』。問題文が、どの都市にもあるもの」
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ちょこっと自作宣伝。
結構前に書いたものと、最近書き足した分併せて30話くらいの
灰色の煙の中で
https://ncode.syosetu.com/n8002ls/
お役所勤めの能力者のお話です。
気に入りのエピソードが始まったところ、というかこの回を書きたくて書き始めたやつ。
三人称で、視点移動があるタイプですので読みなれないとちょっと難しいかも?
CSI科学捜査班にはまってたころのなんで、まあ、そういった科学的捜査と、その外枠がまざってきている感じです。
更新は半年に1エピソード書けたらいいなぁくらいなので期待できないけど、ある分楽しめる方はぜひー。
いやあ、事件起こすの大変なんだって……




