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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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369/411

369.地輪の層

『でも、アナウンスで駆け抜けろってあった』


『いや、確かにそうだけど』


『みょ、で走り出して、ろ、で止まればいけるいける』


 実はだるまさん殺しのせっちゃんと呼ばれていてな……なんてことはないですけど。

 全部で走ろうとするからいかんのですよ。そして、素早さを上げた俺だからできることかもしれない、これ。


『ん? マスターの方駆け抜けろって言われたの?』

 ダインだ。


『おう、言われた。背を向けた瞬間に駆け抜けろって』

『俺たちの方はじっと機会を待てって言われてる』

『俺は、少しずつ進め、千里の道も一歩からと』


 言ってることが全部違う。

 おやー。


『まあ、とりあえず今回のステージも全力尽くすけど……おおえっ!?』


 突然の驚きの声。


 なんてあちらの会話に気を取られてて、こちらの大チャンスを逃す。

 半蔵門線がかなり距離を稼いでいた。


「みょーうーおーうー」

 また長い系、う、で走り出してろ、まで頑張る。

 どうしてもこれは俺と半蔵門線用だ。


 僧侶の姿は振り返ってるのがギリギリ判別つく程度。スキルでなんとかやりくりする。怖いのが、口では言っている最中なのに振り返るやつ。


 部屋の中は少し暗め。前方の僧侶にライトがさんさんと降り注ぎ、駆ける俺たちのあたりは暗いままなのだ。


 なのにチェックが入り脱落者が出る。

 そういえば上から踏みつけられる、と。

 視線を上にやるが、俺たちのいる場所よりさらに闇が濃い。


 何度か繰り返して、俺と半蔵門線は僧侶の元に辿り着いた。

 線が引いてあって、内側に入ると花が降って来ました。


《地輪の層クリア》


 そう言われて、さらに向こうに扉が現れた。

 でもまあ、まだみんなやってるし、半蔵門線と一緒に待ってみることにする。

 だが、段々と僧侶の苛立ちがこちらに伝わって来たのだ。


 ピロリはわりといいところまで来たのだが、どうしても他の4人はゆっくりだ。


 そしてとうとう、僧侶が地団駄を踏み出した。


「おそいおそいおそいっ!!」

 それにびっくりしたみんなが少し動いてしまったのだろう。


 足が、足が……ものすごい大きな足がずどーんって地響きを立ててクランメンバーを踏み潰した。


『ひええええ』

『あんぎゃぁ~なのじゃぁぁああうええん』


 駆け抜けねばならぬ俺たちの扉は、どうやら時間制限付きだったようだ。


 俺と半蔵門線は扉の向こう側へ。そちらは階段だった。ぐるりと円形に進む階段の先は、次の層だ。


《次回地輪の層はスキップすることができます》


「お、1度通った層はパスできるでござるか」

「わかりませんよ。次回、ってあるから1度だけかも」

「その可能性はなきにしもあらずでござるね」


 そう言って階段に座る。


「ここで待ってるでござるかぁ」

 アライアンスチャットで検討会が始まっていた。


 ダインたちは、突然魔法が降り注いだそうだ。石の塊が落ちてくる系。

 そのときに、僧侶が頭を抱えてしゃがみ込んだので、ここぞとばかりに前に進む。ただ、石は平等にこちら側にも降ってくるのでそれで負傷からのダメージでやられた魔法使い系。結局HP高い組が残ってはいたが、動いてしまって仲良く踏み潰された。


 蒼炎たちが入った、扉は千里の道も一歩からコース。

 同じ調子で僧侶が唱えるので、同じペースでただひたすら進むだけ。


 途中で苛ついたメンバーが飛び出したところで僧侶が今までの調子を破って早く終わらせて振り返り、脱落。足にびっくりした他のメンバーも動いてしまって仲良く脱落。


『これは、性格、または性能にあったところに行くべきということだな!』

『素早さ高い斥候系は短期決戦でマスターたちの行けってところか』

『石つぶてが降ってくるだけなら、アリダンジョンの傘を使えばいいのじゃ』

『どうやら距離が1番短いのが蒼炎が入ったところのようだし、俺はそちらへ』

 と八海山。待てる子はそちらの方がいいだろうという話。傘も動かしたらダメだしね。


 各人、自分にもっとも合ったと思われる扉から無事出てきた。


 ダインが最初に話した女の子も拾って来ていた。彼女、同じ扉からばかり入っていたらしい。それは……ダメだね! ソロで気づけなかったようだ。





《蜃気楼の楼閣 第二層 水輪》


『次は水かぁ』

 入った先は一層とは違って開けた場所だった。


『水っていうからには水系モンスターが出てくるんだろうが……』

 と、ゴゴゴゴと音がする。同時にプレイヤーの声が聞こえてきた。


「失敗したあああ」

「うあああ」

 ぎゃああというたくさんの悲鳴と、そう、水が勢いよく流れる音だ。


 そして、入ったばかりの俺たちの前に、水に流されたプレイヤーたちが波に乗って現れたのだ。


「遅れたぁ……くっそ」

「もう、無理。成功できる気が、しない」


 床にへたり込んだ男女がぶつぶつつぶやいている。


『察するに何かしらのギミックがあって、ミスると流され、振り出しに戻るヤツでござるね』

 ギミック系。


『とりあえず死ななそうではあるよな』

 ソーダが言うと、ダインが一歩前に出る。


『それならばっ! 当たって砕けろ作戦だ!』


 ダインが目の前の通路を駆け出す。止める暇もなかった。

 クランメンバーも彼を見送るだけで追いかける気はないようだ。


 猫じゃらしが笑った。


『我らがリーダーが身体を張って状況を見てきてくれますから、しばしお待ちを』

 ハハハと笑ってる。

 猫耳少年の目が不穏だ。


『あれ、うちの斥候でもあるんですよ』

 【気配察知】持ってなさそうな斥候職だ。クランリーダーなんだろうが扱いがなんというか、雑? いや、フレンドリーなクランなのかな。……雑だな。


 待つこと数分。

 うわああという声とともにゴゴゴと水が押し寄せ、ダインが帰還した。


『おかえりー』

『おかえりなさい』

『早く情報寄越せ』

 

 水とともに現れたときはずぶ濡れの体だったが、水が消えて立ち上がるとすっかり乾いていた。


『なんと、……流しそうめんだ』


 まあ、ギミックなんてわけがわからないのが常だ。

 そのうえでさらにわけがわからない。


『進んだ先でプレイヤーは少し高くなった平均台みたいな通路の上を行くんだが、それがかなり不安定だ。その先に長い箸があって、それで、流れてくる鍵を取る。だけど、鍵暴れるわ、箸が長すぎて取ったはいいが手元に寄せるのに苦労するわでもたついていると、水量が増して流された。たぶん鍵を使って次の段に移動しないといけないやつだ』


 長い箸。なんか聞いたことあるやつじゃん?


『これも挑戦回数5回みたいだ』

 それではやってみましょうという流れになりました。

ブックマーク、評価、いいね、感想、ありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


明日も更新するよっ!押し出しところてん!!


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― 新着の感想 ―
自分じゃなくて向かい合ってる人に渡すパターンか
僧侶の口にそうめん突っ込んであげなきゃ…
三尺三寸箸ってやつですな。長い箸で自分が食べるのは難しいという…… セツナさんが本来想定された解法を示してくれるかは別の話!
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