表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ほくろのなんか言ってるわぁな色々。

芽が出て膨らんで、花が咲く前の大きさで

 ばぁちゃんは言った。


 あんさんが持てるのはここまでやって。


 ばぁちゃんは手を添えた。


 ほんまはここまで開くけど、普段はもう少し窄めておくんやでって。


 わたしにはわからない。

 なぜ限界まで手を広げておかないのか。


 わたしは聞いた。


 もっといっぱい持てる。なんでこんなけしか無理とか言うん?


 ばぁちゃんは、微笑んだ。


 ──無理とは言うとらん。けどな……。


 あの時、ばぁちゃんは何を教えてくれたんだっけ。

 ばぁちゃんはどうやって、泣いてるわたしを笑顔にしてくれたんだっけ。


 考えても考えても思い出せない。

 あの言葉の意味も、あの強さの源も。

 ただ漠然と、ばぁちゃんはすごい人だなって思う。


 八十ちかくまで生きたらわたしもそうなるのかな。

 いいや、想像できないな。

 途中で座り込んで、干からびてそう。


 だから時々、抱きしめてほしくなる。

 まったく優しくない。

 強すぎるその手で、胸に埋まりたい。


 泣き止めば、強くなりって背中を叩かれる。

 そうしたら、ばぁちゃんはもう何も言わなくなる。

 わたしはお礼を言って、また走り出す。

 案内板のない、分岐点ばかりの人生を。


 ──手を窄めておけば限界を超えることはない。

 ──ほんの少しだけ、溢れるより前で抑えておく。


 あんさんのお腹と一緒や。

 窄めた手の意味はなんとなくしか思い出せないけれど。いつも食べ過ぎる自分の腹をぷにりと掴んで、最後に笑いを運んでくれる。可愛いばぁちゃんだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ