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この命果てるまで  作者: エビス
2章

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26/58

武器

 会長と別れ病院を出た俺は、まず最初にデパートへと向かった。


 目的は、東京へと向かう準備の為だ。


 何が起きるか分からない以上、役に立ちそうな物は全部持っていきたい。


 それは俺達を襲ったあの男が"能力"で作っていた刃も含まれている。


 最後、あの男に止めを刺す時も使ったが、あれは軽くて切れ味も良く、さらに丁度持ち手になりそうな部分の刃は潰れていて握れるようになっていた。


 ちょっと加工すれば、普通に刀や剣として使える。


 そんな事を考えながら進んで行くとデパートに着いた。


 あの男と戦った立体駐車場へと入り、目当ての物を探す。


 するとそれは結構至る所に刺さっていて簡単に見つける事が出来た。


 その中の一本を手に取り、軽くコンクリートの床へ振ってみる。

 すると驚くほど滑らかに刃が入り、切り傷がついた。


 どうやら放置されてたのに切れ味は落ちてないらしい。


("能力"で作った物って、本人が死んでも消えないのか?それとも"能力によって変わるのか?)


 ふとそんな疑問が頭に浮かんだが、今考える事でもないと思い、頭を振ってかき消した。


 俺は形の良さそうな刃を二本見繕うと立体駐車場を出て、今度はじいちゃんの家に向かった。


 ◆◆◆


 途中で乗り捨てられていた自転車を拾い、それに乗りながらじいちゃんの家に戻ってきた。


 もしかしたらじいちゃんが居るかも、という期待もあったが家の様子から人の気配は伺えない。


 俺は念のため、持ってきた金属刃を構えて、じいちゃんの軽トラと狩猟用の道具が置いてある作業場に入った。


 中は、特に荒らされた様子はない。


 だが、明らかに幾つかの道具が無くなっており、その中には、金庫に入れて閉まっておいたじいちゃんの猟銃と弾も含まれていた。


 やっぱりじいちゃんはここに戻ってきていたらしい。


「まぁ、そうだよな」


 丸腰で東京に向かう筈がない。

 出来るだけの準備をしていったに決まっている。


 だから銃が無いことは薄々察していた。


 それよりもこっちだ。


 多分、こっちは持って行けなかった筈だ。


 俺は猟銃が入れてあった金庫の隣にあるロッカーの方に手を伸ばす。


 ダイヤル式の錠をじいちゃんに教えて貰った方法で開け、中に入っていたクロスボウと矢を取り出した。


 このクロスボウは、じいちゃんがちょっと前に狩猟で使うかもしれないからと買ったらしいのだが、弦を引くのに苦労するのと、近年の規制強化のせいでほったらかしになっていた品物だ。


 一応、撃ち方と簡単な手入れの方法はじいちゃんから教わっている。


 俺はクロスボウと矢を持って外に出ると、家の裏に来た。

 裏側は山に面していて試射には最適だった。


 弦が傷んでないか確認して矢をセットし、近くの木に狙いを定めて引き金を引いた。


 バシュッと空気を切る音がして、矢が狙った木に命中する。


 その後、何度か試射してちゃんと撃てる事を確かめると作業場に戻り、今度は持ってきた刃を加工した。


 持ち手となる部分にゴムテープを巻いて滑らないようにし、刀身を薄い木材で挟みそれもゴムテープで止めた。


 簡易的な鞘と柄の完成だ。


 俺はクロスボウと矢を専用のバッグに入れ、作った刃もバッグの中に一緒に押し込んだ。


 そして今度は狩猟用のベストとポーチを用意する。


 ポーチの中には水と携帯食糧、ナイフ等といった物に加え、会長から貰った薬をコンテナケースから移してしまいこんだ。


「ふぅ・・・こんなもんか?」


 準備を終えて一息吐く。


 どこまで行くか分からないから出来るだけ重量を押さえて用意したつもりだ。


 俺は一旦作業場から離れ家に入ると動きやすい服に着替えた。


 水を飲み、置いてあった乾パンを食べて体調を整える。


 そして作業場に戻ると準備したベストを着込みポーチをつけ、クロスボウを入れたバッグを担ぐ。


 身につけた感じは悪くない。

 両手は自由だし、歩けなくなるほど重くもない。


 これならいける。


 俺は最後にもう一度作業場を見回し、忘れ物がないか探した後、乗ってきた自転車に跨がり東京へと向かって行った。



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