プロローグみたいなもの
投稿するの遅いですがよろしくお願いしますm(_ _)m
―――――――現代から約2500年ほど前、世界は一度崩壊した。
世界中に突如として現れた《古代遺跡》と呼ばれるものから、見たこともない魑魅魍魎達、通称――――魔物が大量発生した。
魔物の中には、架空の概念だとされているドラゴンや吸血鬼なども目撃され、幾つもの大陸が焦土と化した。
魔物達は世界中に蔓延り、全人類の半分という多大な犠牲者を出した。そして各国は未曾有の危機に陥った。後に《終焉の大災厄》と呼ばれるこの現象は、かろうじて人類の勝利で幕を閉じた。
では何故、人類は勝利することが出来たのか――――それは魔力という概念を人類が発見することが出来たに他ならない。長い時を経て、人々は魔力について研究と実験を繰り返し、魔術という新たな力を手に入れた。
実弾兵器では効果が薄かった魔物も、魔術による攻撃で容易く倒す事を可能にした。それにより、我々人類は世界中に蔓延る魔物と《古代遺跡》の9割を駆除し、あるべき姿の世界を限りなく近い形で、取り戻す事に成功したのだ。
だがそれは一時的なものに過ぎず、時を経て、《古代遺跡》は再び姿を現した。今度は人類側の対処も早く、急速に《古代遺跡》は駆除されたが、今後また同じ事が起こるだろうと考えた人々は、《古代遺跡》について研究を進めた。
そして、研究している内に判明した事実が2つ―――――1つは、限られた人間の体内に存在する魔力が高い人の近くに《古代遺跡》は姿を現すということ。2つ目は、《古代遺跡》の中にこの世界には存在しない物質―――――《聖遺物》と呼ばれるものが存在するということ。
この《聖遺物》は自然では成し得ない特性を持つ物や、不思議な力を秘めた魔導具など、その多種多様な能力により我々人類に莫大な利益と富をもたらした。
まだ謎が多いものの、長い時の中で人々は《古代遺跡》を肯定的に捉える者が増え始めた。魔物は魔術さえあれば簡単に駆除出来る――――――その人間の傲慢さが二度目の悲劇を生んだのは言うまでもない。
《古代遺跡》―――――それは数千年に一度、魔物達を統べ、その頂点に君臨すると言われる魔王を産み出したのだ。それにより人類は二度目の《終焉の大災厄》を迎える事となった。
《古代遺跡》が産み出したのは7体の魔王。
【闇夜の姫君】――――《吸血姫》のミリア・エルヴァドール
【災禍の魔王】――――《魔女》のグローリア・キャンベール
【破壊の竜王】――――《邪竜》のバルガロス・ペンドラゴン
【獣の魔王】――――《人狼》のクロル・アーサー
【反逆の使徒】――――《天使》のランスロッド・ラファエル
【悪徳の魔王】――――《悪魔》のクルーエル・ディザイアー
そして最後の魔王―――――――
【執行する死神】――――《無心》のレイ・ギルディアーノ
これら七体の最凶の魔王達は再び人類を絶滅の危機に陥れ、混沌と絶望が世界を支配した。
しかし、その数年後に人類の希望と言われる存在――――勇者が生まれた。
勇者は、賢者、聖女、巫女、聖騎士の四人の仲間を連れて、その圧倒的な力と連携で次々と魔物と《古代遺跡》を駆除していった。
そして勇者達は、魔王をも打ち倒したと伝えられているが真相は不明だ。その後、魔王達はその姿を現す事はなかった。人々はこの勝利に歓喜し、世界中で勇者とその仲間達を称えた。
これにより、魔物と人類の戦争は幕を降ろした。後にこの戦争を、《魔王大戦》などと名称がつけられるのは、また別の話である。
この戦争を経て、人類は《古代遺跡》の特性をもう一つ発見した。それは数千年に一度、魔王を生み出すということだ。この事実を重く見た各国の上層部は、《古代遺跡》の特性を逆に利用し、五つの学園都市を建造した。
人工島に建造された学園都市には、魔力のある者達を集めて教育し、《古代遺跡》が出現したらその調査や駆除に赴いてもらうというものだ。
《古代遺跡》は、魔力の高い者の近くに出現する特性があるので、この学園都市に魔力の高い者達を集めれば対処しやすくなるという算段だ。
現在、その学園都市には自国の利益――――つまりは、《古代遺跡》に存在する《聖遺物》を目的とした各国のお偉いさん方の子供達がこの学園都市に通っている。もちろん、魔力のある一般人も通っているためトラブルはちょくちょく起きていたりもする。
そして注目すべき点は、高い魔力を持った人から特にずば抜けた魔力量のある人を選び、勇者候補として育てている事だ。他にも、大昔に活躍した賢者、聖女、巫女、聖騎士なども、候補として何人か育てている。
こうして各国の代表達が和平を締結させて作り上げた五つの学園都市に、何千もの生徒が集まって、もう《終焉の大災厄》や《魔王大戦》を繰り返さないよう日々、魔術の研究や鍛練をおこなっている。
そしてこの現代社会において必要とされるのは高い魔力と高度な魔術。それらを持つ者達が優遇され、持たない者達は不遇な扱いを受ける。まさに完全な魔力至上主義社会だ。
魔力は生まれつきのものだから変わることはない。魔力のある人達は一週間、強制的に学園都市に配属される。そして一週間後、このまま入学するかしないかを決めてもらうといった方法を取っている。かなり強引な手段だが、世界がまたいつ崩壊するのか分からない以上、世間からの非難はかなり少ない。
この学園都市は、基本学生寮で暮らす様になっている。家賃無料、学食も無料、しかも学園都市の施設の半分以上が娯楽施設なのだ。その情報に躍らされ、魔力至上主義という現実を見た生徒達が何人も自主退学しているという記録もある。
しかし、そんな中で唯一の落ちこぼれが存在した。彼の名は黒月 蓮。魔力ランクFの落ちこぼれ魔術師だ。
そんな彼は今、学生寮にある自室でぐだぐだとベットの上で寝転がっていた。
中性的な顔立ちに、黒目黒髪。身長は少し低いが、どこにでもいるような普通の一般人だ。……魔力があることを除いて。
部屋の隅にあるテーブルの上にはテレビが設置されており、ニュースキャスターが世間の情勢を報道している。
『次のニュースです。現在、五大学園都市に海外のテロリスト集団が紛れ込んだ可能性があると―――』
「最近、物騒なニュースばかりだな……。全く、魔物による脅威が去れば、今度は《古代遺跡》にある《聖遺物》の所有権の取り合いですか……。どうしてこうも人間は争うのか理解出来んな…」
なんて事を言いながら、蓮は醜い争いを続ける各国の上層部に呆れた。
「はぁ……そろそろ時間だし学校へ行く準備でもしますか…」
蓮はテレビの電源を消し、溜め息混じりに呟くと手早く準備を終わらせて学生寮を出た。
今日もまた、いつもと同じ日常が繰り返される……その時の俺は少なくともそう思っていた。
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