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この崩壊した砂漠は残酷で美しい  作者: 桔梗ちゃん
崩壊砂漠 第一話 【出会い、別れ】
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その1

はじめての投稿ですが、ゆるく続けていこうと思います。

 荒廃した文明。 数多くの遺跡や神殿。 時代から消えた高度文明の出土により歪ながらも成り立っている世界。

 荒れ果てた大地では作物は愚か、人類や魔物達が生息できなくなっていた。

 砂煙が舞い上がるここは、雨の代わりに降ってくるのは汚染された砂粒。

 そしてその砂漠では、昼間は異常な成長を遂げた巨大なワーム、2mを超えるサソリ、何もかもが異常成長をしている。

 極めつけは夜のみ動き出すと言われている怪物、どこから出てきて、何を目的として動いているのかは誰もわからない。

 ただ。この世界には一つの言葉があった


 ――奴らを見たら逃げろ。 と


「どうやらここも違うか…… さて、困ったものだ。 ここで一番近い街は…… ふむ」

「キヒッ…… なぁ、そこのワームぶっ飛ばしてイイカァ?」

「……ハァーッ。 どうせやめろって言ってもやるんでしょ」

「だったら……」


――私が一番先にいただく!


 夕暮れの砂漠にボロボロの小さなラジオのスピーカ部分だけが飛び出していた。

 ガガ…… ピー……

 スピーカーから雑音が入りだし、静かな砂漠には似合わない陽気な音楽とともに声が流れてくる。


 「ハロー、全世界の皆。 私だ、ジョージ・マクレンドだ」

 「今日は最もホットなニュースを届けようと思う。 え?いつもホットだろって? HAHA」

 「そんな毎日ホットな情報をお届けするラジオ番組。 【砂上の蜃気楼】」

 「一部のキメた連中にはラッキーなニュースだが、それ以外にとってはアンラッキーだ」

 「本日の夜間に、局地的な崩壊液の雨が降ると予測されている、お出かけの主婦の皆さんは傘をおもちになってくれよ?」

 「傘と言ってもビニールじゃないぜ? 超合金で出来た抗菌傘だ。 いやー主婦は大変だねぇ、そりゃ旦那は喧嘩に勝てないわけだ! HAHA」

 「それともうひとつ。 ここ最近地殻変動が頻繁に起こっているという情報もある。 ワーカーの諸君は気をつけてくれたまえ」


 そのラジオの周辺の大地が突如揺れだす。

 ゴゴゴゴゴ……

 砂漠が吸い込まれていくように、どんどんと大きな穴を作っていく。

 その中から、30mを超える巨大な赤茶色のワームが飛び出してくる。

 吸い込まれた砂が、ラジオが今度は逆にあたりの中空に飛び散る。

 ……チーン


 「おぉっと! 私のホットなサンドも焼けたようだね。 え? 砂を食べるのかって? HAHA」

 「そりゃ一部のキメた連中ぐらいさ、私のはとびきり沢山バターを塗ったサンドイッチさ」

 「それじゃ、また会おう。 地下に平和があらんことを」 

 ――――プツン

 その声と同時に巨大なワームの下敷きとなり、ラジオは粉々に砕け散った。

 辺りは一面砂煙で覆われ、ワームは満足したのか再び地中へと潜っていった……。

 ズズズズ……

 黄昏時のどこか幻想的な砂漠の中に、砂煙を真正面から浴びたアンラッキーな一人の影があった。


 「ぶぇっ……! 助かった…… まさか近くにワームが出てくるなんて死ぬかと思ったぞ。 ……ったく、一体いつになったら街に着くんだよ……」


 ゴーグルに付いた砂を拭い、辺りを見渡す、代わり映えのしない砂だけの景色、食料も飲料も底をつきかけていた。


 「……ん? あそこにあるのは……」


 日中の暑さと慣れない旅で、既に体力は限界に近く、朦朧としだした意識をなんとか保ちながら砂に塗れた標識が建っていることに気がつく。


 「なんだ……?」


 重い足に鞭を打ちながら、標識の前まで来ると、看板に付いた砂を手で払い落としていく。

 その看板は日本語で書かれていた。


 「ズーガの街まで…… 10セメル」


 大体20kmぐらいか? 近いような遠いような、何とも微妙な距離だな……。

 だが、近場に街があるのなら物資の補給も期待できそうだ。

 疲れた身体とは相違して心が軽やかになる。


 「日本語は普及してるのか……? いや、それよりも問題は方角だが…… 俺が歩いてきたときは見えなかった」


 つまり、この先に進めば何かしら見えてくるだろ。 既に深く考えながら動いているほど余裕も無いのだ、仕方あるまい。

 やや距離があるが、ここで立ち止まっているよりもずっとマシだった。


 「……まったく 嫌になるよな、もう。 なんで俺にはチートのひとつやふたつ無いのかなぁ」


 嫌味を吐き、神に文句を言いながらも歩きにくい砂の上を進んで行きながら、俺こと、一条真也いちじょうしんやはそもそもどうしてこんな事になったんだっけ…… などと思い返していた。


 なんてことのない人生を俺は歩んでいた。

 やりたいことも別にあるわけでもなく、やっておけばよかったという後悔もなく、周りが同じ様に仕事に就くから自分も仕事に就いていた。

 仕事をして家に帰る日々、それが嫌なわけでもなく、好きでもない。

 ただ漠然と過ごしていた、日々。

 友人や知人が幸せな今を生きる中、俺の心はいつも満たされてはいなかった。

 重い瞼を押し上げながら、今日も仕事へと向かうために、まだ眠い体を起こして支度を始める。


 生活をしていく上で必要な最低限の家電や家具、趣味の書籍やゲーム、マンガ、至って普通の人生だ。

 固くなった身体を伸ばしながら、ぼやく。


 「あ~あ、いっそのこと突然異世界にでも行かないかなぁ」


 いっそ異世界にでも行ければ、漫画やアニメのような刺激的で楽しい毎日を過ごせるんだろうなぁ。

 ついつい現実逃避に、思わず考えていたことを声に出してしまう。

 そう、出してしまったのだ。


 ――その願い、僕が叶えてあげようとも

 

 「……え?」


 なんの前触れもなく、自分以外の声が聞こえた事に驚愕する。

 伸びの姿勢のまま固まる俺に、声がまた聞こえてくる。


 『僕は君たちが言うところの神様さ。 安心するといいよ、最低限の装備は渡してやるからさ』


 あまりにも想定外のことが起きると人間は思考が停止するものなんだなと、そんな場違いな事を考えていた俺を了承と受け取ったのか、声は更に続ける。


『それじゃあ、いってらっしゃい。』


 「ちょ、一体何が起きて」


 声がそう言い切ると同時に、俺の視界はホワイトアウトした。


拙い文章、描写等あると思いますが、まずは読んでいただき、大変ありがとうございます。

以前から趣味で書いてみたいと思いながら過ごしていましたが、いっそ投稿しちゃおう!と見切り発車で始まった小説です。

作品を途中で投げ出すのは嫌いなので、最後までお付き合いしてくださいましたら幸いです!


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