第021話『手加減は全力より難しい』
よろしくお願いします
そんなこんなで町の近くにある草原に来た訳だが、今回のクエストの確認といきましょう。
今回の依頼は『ゴブリン5匹の討伐』という冒険者ギルドからの依頼だ。因みに今回のは言えばただの間引きであり、別に助けて欲しい訳ではない。まぁ繁殖能力が高いから、「猫の手を借りたい」という意味では正しいのかもしれない。
「よし、狩りに行くぞよ!」
「了解しました」
こうして『気配感知』を頼りに依頼を達成しに行くことにした。
閑話休題。
「何故じゃ……………」
「誰にでも、得意不得意がありますし……………」
今、レナとレティシアの二人は、レナが狩ったゴブリンの死体達の前に居る。ただその死体は爆散していて討伐証明部位すらも粉々になったり、焼け焦げていて討伐証明部位として機能していなかったり、果てはその死体ごとこの世から消えたりといった具合に千差万別である。
まぁこれらの事を簡潔にまとめると「レナは手加減が苦手だった」という事だ。
VR時代では、全力で爆散させる勢いで殴っても素材を手に入れる事が出来た。だが、此処は現実だ。相手によってはしっかりと手加減をしないと、このようにスプラッタになる訳だ。もしも先ほどの模擬試験がレティシアと同じような相手だったら、ユーリスでも修復不可能な状況になっていたのかもしれない。
因みにレティシアも何匹か倒しており、今現在は狩人のゾンビに解体させてたりする。
「むぅ、どうすればよいのか……………」
普通に殴るのも駄目で、雷魔術も駄目で、時空間魔術も駄目で……………これはどうすれば良いのだろう。
まぁ剥ぎ取りナイフや作業用のナイフなどで切ったりすれば万事解決だが、後で研ぐのが面倒になったりするのでそれはなしだ。
「う~む……………」
レナは悩みつつ、手にしていた葉っぱを宙に放り投げ、雷魔術で焼き切る。
(雷魔術で切断したとしても、このように焼けるだけだしのぅ)
ついさっき焼き切った葉っぱは切断した時の熱で黒く焦げ、風に乗って空へと飛んでいく。
ゴブリンの時は体内にある脂肪などに着火して、……………燃えたという事だ。この時、ゴブリンは雷で着火するんだと、レナは軽く現実逃避したものだ。
だがレナは、ある事に気付く。
(焼き切る……………切る……………切断……………!)
「それじゃ!」
レナは、気付いたならば善は急げといわんばかりに行動しようとする。
効果不幸か、レナのその声に気付いたのか、一匹のゴブリンが現れた。多分だが、先ほどレナかレティシアが倒したゴブリンのはぐれた生き残りだろう。
ゴブリンは仲間が先に倒された事を知らず、こちらを襲おうとする。だが、もう彼は自分の命はレナが握っている事を知らない。
そしてレナは準備と云わんばかりに『神獣の環』を起動させる。
「……………終いじゃ」
その言葉が終わった瞬間に、ゴブリンの首が飛んだ。何故ならばレナの手刀が相手の目で追えない程の速度で迫り、結果ゴブリンの首が飛んだ訳だ。
レナはその結果にニヤリと笑い、満足をする。
今までできなかった事が出来て成長した事が、レナにとって嬉しいことだった。
そしてレナは自分が倒したゴブリンを解体し、討伐証明部位と魔石を取り出す。レナとしてはめんどくさい作業だが、自分が成長した証として何かを得るのは素晴らしい事だろう。
レナが解体し終わったぐらいに、如何やらレティシアの方の解体が終わったらしい。これで合計で5匹に届いているので、何も問題はないだろう。
こうしてレナ達は冒険者ギルドへと帰ることにした。
♦ ♦ ♦ ♦
「それで、しっかりと解体出来たのかなレナちゃん?」
「童を舐めるでない。しっかり出来たわい」
「あら、綺麗じゃない。幾つか不良品が混じっているかと思ったけど、もしかして置いてきた?」
「……………ノーコメントじゃ」
「あぁ、爆散したのね」
レナ達はあの後冒険者ギルドに来た訳だが、周りの冒険者達に注目されながら二人は討伐証明部位を提出した。
そしてレナは、前から気になっていた事をユーリスに聞くことにした。
「そういえばじゃが、此処のギルドの広さからして人の数が少ないと思うのじゃが」
「あぁそれね。今の時期は冒険者用の『合宿』があってね、Ⅾランクになる為には一度は受けないといけないのよ」
「それは全員行かないのかの?」
「まぁ、Eランク以下は強制かな」
そんな会話を二人がしていると、不意に冒険者だろう格好をした男が急いでこの冒険者ギルドに入ってきた。如何やらユーリスに話があるらしい。
「お話中すみません、ユーリスさん」
「一体、何があったの?」
そんな二人の会話に気付いたのか、レナ達が会った受付嬢がコップに水を入れて此方に運んできた。男はその心遣いに感謝し、運んできた水を飲み干した。
「あぁそれがな、この町の近くに『魔物の領域』が在ったんだ」
「……………それはおかしいですね」
「嘘じゃねー! それで仲間が襲われて……………」
そう言い終えた男は余程悔しかったのだろうか、床を強く叩いた。
因みに『魔物の領域』とは、数種類の魔物が団結して
町を襲う為の拠点だ。
男が取り出して暴れる事がないのを確認したユーリスは、指示を出しつつ奥へと入っていく。
「貴方はまずその場所へと斥候を出して下さい。そして貴方は今居る冒険者を集めて事情を話して下さい。それと貴女は……………」
こうしてレナとレティシアの二人はその光景に驚きつつ、冒険者が集まっている所に向かった。
レナ達は冒険者が集まっている所に来た訳だが、かなり周囲の視線を集める事になった。レナは勝手に外見がそもそも場違いかな?と思ったりした。
だがここでレナに一つの問題が発生する。
レナ自身の身長が低すぎる事だ。レナが普通に立って前を見ようとすると前の人の巨体が邪魔する訳だ。
そんな時、レナは無駄な背伸びをしたりした時に、二つの腕によって宙に持ち上げられる。
「……………!? 何じゃ!? 何じゃ!?」
「落ち着いて下さい、レティシアです」
如何やら先ほどの腕はレティシアのものだったらしい。背伸びする主が可愛かったが、このままだと二人共話を聞けないので、レティシアは渋々と主を持ち上げた訳だ。
因みに今回レティシアはレナに対して、9割5分ほどの嘘をついているので、実際は違う事を話したらしい。
そんな話をしていると、一人の痩せた男が冒険者達の前に現れた。冒険者ギルドの職員の制服を着ているので、十中八九冒険者ギルドの職員だろう。ただ、まだ日が浅いどころか一日も経っていないレナ達は誰かなど知らなかったりする。
「俺の名前は知っての通りだが、あえて言う。俺の名前はテールだ」
冒険者ギルドの職員改めてテールは、自己紹介を終えて後に集まった冒険者を見渡しながら、改めて話始める。
「今回は『魔物の領域』が発見された。なので状況が確認されしだい、再度冒険者を集めるとする。それまでは鍛冶屋にメンテナンスに行ったり、仮眠を取ったり準備しておけ。それでは解散!」
その言葉を最後に、テールと集まった冒険者達はそれぞれ解散していく。そしてその場に起こったのは、レナ達だけとなった。
「どうしますか? 主」
睡眠に関しては、まずレティシアは『吸血鬼族』なので実際に夜の方が色々と強化を得る事が出来るため問題はない。レナに関しては一徹ぐらいは何度かあるので、体が慣れている。
「まぁ、町に繰り出してみるかの」
こうしてレナ達は、英気を養うために町を回ってみる事にした。
ありがとうございます。
因みに今回は得しそうだなといった感じで参加しているので、特に問題ないです。




