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果てなき航路を進む為に  作者: 高災禍=1
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第019話『郷に入っては郷に従え』

よろしくお願いします

 レナ達は宿に入って、夕食を食べ、部屋の備え付けの湯浴みに入り、寝て、朝を迎えた。

 この部屋は、二つのベットがあり、片方がレナが使っている。

 レナは、久しぶりのベットの抗えない魔力によって、布団から出たくなくなった。最近は野宿続きだったので、余計に出たくなくなる。

 ふと、レナはレティシアの方を見る。如何やらレティシアはまだ寝ているようだ。種族が吸血鬼だからしょうがないと、レナは勝手に結論付ける。

 だが、レナは不意に思い出す。


 「あっ、もうそろそろ、朝御飯の時間じゃな……………」


 今のレナは、過去のような金が有り余っている訳ではない。どちらかというより、実際に金がない。

 寝たいから朝食は要らないなど、今の貧乏人なこの一行は口が裂けても言えない。

 だがそこに布団の誘惑が寄ってくる。『また寝てしまえ』と悪魔のささやきが聞こえてくる。


 だがレナは諦めない。

 朝食を食べたら、この町にある冒険者ギルドに二人で行くつもりだ。そこで冒険者になっておくんだ。

 

 だからレナは思い切り自分で自分の布団を剥ぐ。

 誘惑を振り切ったレナに寝言が聞こえてくる。


 「えへへぇ、主~駄目ですよ~。そんな抱きついちゃ駄目ですよ♪」


 昨日行った演技は失敗だったかと後悔しつつ、幸せに寝ているレティシアを不満をぶつける感じでレナは叩き起こした。


 「朝じゃーー!」

 「きゃぁぁ~~……………」




 「うぅ、酷いですよ~主。もう少し優しく起こして下さいよ」

 「何、幸せに寝ているのが酷く腹が立っただけじゃ」


 「理不尽だー」といった声が聞こえたが、レナは気にしない。

 そんな中、下りて行ったのは、この宿の食堂だ。

 この食堂は朝と夜には指定の時間で割引をしてくれるらしく、前日レナ達もこのサービス利用したという訳だ。

 

 「あら、おはようさんね」


 そう声を掛けてきたのは、この宿の食堂の人だ。年配で少し太っている姿がたまらなく、食堂のおばちゃんに見える。


 「朝の日替わり定食を一つでお願いします」

 「あっ、待つのじゃ。童も日替わり定食にするのじゃ!」


 そんなこんなで朝食を受け取りつつ金を払い、丁度開いていた二人組の席に座った。夕食の時に座った場所が団体用レベルで広い所だったので、集まってくる人達にうんざりしたものだ。

 

 朝食を二人で食べていると、先ほどの食堂のおばちゃんが此方へとやってきた。

 ふとレナは、サボりかなと思ったりした。


 「アンタ達、女の子二人でこの町に何しに来たんだい?」

 「ん~、知り合いらしき人がこの町に居ると聞いたじゃ。あとはのぅ、金を稼ぐ為に冒険者になりに来たのじゃ」


 その言葉におばちゃんのは、心配そうな表情をした。

 無理もない。端から見ればレナ達は、10代前半の少女と20代前半の女性だ。どう見ても、荒事が得意に見えない。


 「……………気お付けなさいよ」

 「ご忠告どうもじゃ。それで冒険者ギルドは何処じゃ?」


 今度は、心配そうな表情に加えて、少しため息をした。



 あれから宿を出て、おばちゃんに教えて貰った通りに冒険者ギルドへと向かった。目印としては、騒がしい冒険者ギルドのマークがある所だそうだ。

 

 そしてレナ達は冒険者ギルドのマークがある所に来た訳だが、とても騒がしいので此処で間違いないだろう。


 (ふむ。確か、こういうのは第一印象が大事じゃったのぅ。ならば、少し『威圧』しておくかの)


 こうしてレナ達は冒険者ギルドへと入った訳だが、レナ達が入った瞬間に、その騒がしさが無くなった。否、誰も口を開けないのだろう。加えて、目も逸らしている。圧倒的な存在を前に人々は、ただ過ぎるのを待つしかない。

 レナ達は、一つ空いているカウンターへと足を進めた。

 そこの受付嬢は外見年齢がレティシアと同じぐらいの、20代の女性だった。その女性は額に汗を流しながら、仮面の笑顔を被っていた。


 「あの、このギルドに何の御用で来られましたか?」

 「……………」

 「あの~」

 「そうじゃった。冒険者ギルドへと登録しに来たのじゃ。」

 「私もお願いします」


 その言葉を聞いた時、皆の心の声が一つになった。


 ———えっ、冒険者じゃないの?


 圧倒的な雰囲気を纏い、堂々とした足取りはこの冒険者ギルドに居る人達でさえも、歴戦の強者と思えるほどだった。

 因みに、今此処に居る人達はB~Cランクの人達であり、一般人から見れば十分強者達だろう。

 そんな人達でさえも圧倒されるその存在は、数少ないSランクと当たりを付けたのだったが、如何やら違うようだった。


 「あら、何かしら?」

 「先輩~」


 そんな時、騒ぎを聞きつけたのか、一人の女性が現れた。

 髪は金髪にしていて、泉のような水色の瞳を持つ、耳が長いのが特徴なエルフが現れた。しかし内包する魔力を断片的に見ても、只のエルフだとは思えなかった。

 というよりも、レナ達にとっては何度か会った事のある人だった。


 「ユーリスではないかの」

 「その声と言葉遣いは、レナちゃん!? それにレティシアちゃんも居るし」


 ユーリスとは、回復魔術が得意なハイエルフで、レナ達のVR時代の仲間だ。VR時代のメンバー内では、『聖女』と呼ばれたりしていた。

 

 「こんなところでどうしたぞよ?」

 「こちらのセリフですよ」

 「知り合いを探しに来たのじゃ」

 「やはりですか……………」

 

 そんな中で、先ほどの受付嬢がおずおずと話に加わわってきた。


 「……………先輩。此方の方達と知り合いですか?」

 「知り合いも何も、昔に一緒に旅をした仲間よ」

 「えっ」

 「もう、20年も経つんじゃないかしら」

 

 その言葉に、受付嬢が驚いた様子で話を続ける。


 「20年!?」

 「懐かしいねぇ」

 「懐かしいのぅ」

 

 無駄話は止めたのか、今度はレナが話をふる。


 「そういえばじゃが、登録はまだかの?」

 「「あっ」」


 如何やら、二人ともこの事を完全に忘れていたらしい。加えてレナも忘れていたので、実質は三人である。

 こんな言葉を投げ掛けたせいか、二人の間に争いが勃発した。


 「先輩が……………」

 「……………」

 「いえ、私が行きます」


 如何やら、二人の勝負はユーリスの勝利で終わった。最もレナは知らないが、ユーリスはこのギルドの中でかなりの権力を持っているので、どう転んでも受付嬢が行く破目になるのだ。

 そしてこの後は如何なるか聞いておきたいので、レナはレティシアを加えて、話を続ける事にした。


 「それで何かする事はあるかの?」

 「う~ん。一応模擬戦があるのだけれど、下手に誰かと戦わせると再起不能になるかもしれないし……………」

 「童は、そこまで酷くないぞよ!」

 「私もです!」

 「どう考えても、失敗する雰囲気しかないじゃない……………」


 少しの間ユーリスは悩んでいたが、諦めたような表情をした後に、此方に答えを出した。


 「まずレナちゃんは、私と戦って貰うわ」

 「了解したのじゃ」

 「レティシアちゃんは、……………そこの方に来て貰おうかしら」


 ユーリスが指した人の周りから人々が離れ、指された人は完全に絶望しきった表情をしていた。

 その人が、そのまま此方に来てくれたところで、先ほどの受付嬢が戻ってきた。


 「先輩~、準備が出来ました」

 「それじゃ、行こっか」


 こうしてレナ達は、冒険者ギルドの入会試験をする事になった。


ありがとうございます。

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