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75話 この後めちゃくちゃ菓子食べ放題したのじゃ


「オドレイ様、私はもうすぐシスティーナへ行き、総司教長になる修行を行う事になります」


 そう神妙な顔で言うのはオデッタ。我が友オデッタ・トルトーネ・デ・パッサレッリ=キアラモンテである。


 場所は放課後の雨雲で薄暗い教室の角で、である。


 「なんと……? いや、確かに……システィーナでの混乱ぶりは聞いておったが……まさか」


 まさか、そなたが行かねばならぬとは。と続けた。


 「数日前から枢軸卿陣から連名で、候補に選ばれたのでシスティーナにおいて修行を行うようにとの要請がありまして……」


 「そうであったか……それでは、オデッタは総司教長になるのじゃな?」


 「まだ候補ですのでどうなるかは分かりませんが……なりたいと思います」


 オデッタの声に迷いはないように聞こえる。


 「その意味、どういう事か分かっているのじゃろうな?」


 今オデッタは13歳である。

 私達は学園生2年なので、12歳で入学して一年経過したので13歳になっている。

 まだまだ若いが、僧になる場合ならそもそも寺もとい教会や修道院で修行の日々を送っている筈である。

 だが、そうはなっていない。


 現世においての総司教長は、前世せんごくのよで言う処の天台座主てんだいざすのようなものである。1宗教の長であるからそうであろう。


 現世においての勉学で宗教も学んだが、この現世において今回のように若くして総司教長となった者は、珍しいが存在しなかった訳ではなかった。

 無論、枢軸卿の強力な後ろ盾あっての事であるが……。


 キアラモンテ家は枢軸卿や総司教長を過去に何度か輩出した程の高家である。その格式の高さから今回の選定の1人になったと考えるのは普通であるが……


 ……まぁいわゆる『操り人形』にする為に選ばれた。と考えるのが普通であろうな……




 もし、オデッタがそうは考えずに、己のやさしさや見通しの甘さからくる判断だけで総司教長になる予定だと言えば、まぁ止めてはやるつもりであった。それぐらいの仲である。


 しかしである。


 「はい。連盟の主はガウデン枢軸卿でございました。恐らく、いえ、確実にいい様にされるであろうとは思います」


 オデッタはどこか可笑しげに言ってみせた。


 「それを承知で、なにゆえなのじゃ」


 「宿命。だと思っています」


 オデッタはそう瞳を引き締めて言う。


 

 重ねて言うが、キアラモンテ家は枢軸卿や総司教長を過去に何度か輩出した程の高家である。つまり、その娘であるオデッタは既に覚悟をしていたと言う事である。


 「それに、オドレイ様がいつも言ってるように、私達に拒否権なんか有って無いようなものじゃないですかっ」

 オデッタは窓の灰色の景色に目を移す。


 「そうであったの。所詮私達は、親の道具にすぎぬのじゃ」


 釣られて目線を外に落とす。


 その状態がしばらく続いた。


 「親から手紙が来たんです」

 オデッタの口が開いた。


 「《キアラモンテ家の使命を果たす時が来た》と」


 「……そうであるのかじゃ」


 その言葉で大体察する事ができた。


 私とて歴史の書物くらい読む。キアラモンテ家の者が総司教長となる時は大抵選定にごたついた時であった。


 それがかの家に与えられた使命である。



 「……つかぬことを聞くが、そなた自身は、それでいいと思っているのじゃか?」


 視線をオデッタに戻す。


 「はい。これで良いと思います」


 オデッタも、こちらを向いて答える。


 「そうであるのじゃな」


 オデッタの瞳には、迷いの色はない。悲しみの色もない。決意の色のみがあった。


 ……これならば私としても安心して送り出せるというものである。


 「それに」

 オデッタは口を愉快そうに歪ませる。


 「オドレイ様は祖父様の領地を狙っておいででしょう? 大叔父とその息子達との相続争いをしてまでも。その際に私が総司教長であるなら何かできる事があるかも知れませんよ」

 そう、さらりと笑顔で言ってのけた。


 「バレておったか」

 これには私も笑うしかない。

 確かに前にポロリと「あー私も御爺様の領地つぎたいのじゃー」と生徒会室でこぼした事があった。

 無論冗談である。オレイユも居なかったし、話の流れ的にも真面目にとらえる者はいないと思っていたが……


 「ですので、私の事はどうかお気になさらずに!」

 いつも通りのオデッタの声になる。


 「それより……その……」

 と、思ったら手を開いた状態でこすり合わしている。心なしか頬も赤い。

 いわゆるモジモジとさせている。という言葉が似合う状態であった。

 

 「喫茶店で菓子食べ放題……というものをまたやりたいな。と……」

 オデッタはそう恥ずかしそうに言う。

 

 菓子食べ放題。その名の通り、菓子類が食べ放題の事である。

 主に喫茶店で一定以上の料金を支払うとできるシステムである。

 前は『カフェ 太陽休憩所』で行い、菓子だけで腹を満たす暴挙を行った。


 ううぬ!!さてはこやつ教会に入る前に甘味を食べられるだけ食べてしまおうという腹であるか!!!


 普段の清楚なオデッタとは違い、この場合のオデッタは中々自分に忠実である。


 「やれやれ、そなたも欲が深いのじゃな。とても前に『記憶を網羅された遥か未来で復元された私は私なのか』『そもそも私とはなんぞや』と問いを投げてきた者とは思えないのじゃ」

 若干呆れた様子で答える私。


 「ふふふっ。それについては答えはもう出ましたよ」

 そう嬉し気にオデッタは答える。 


 「『自分とは何か? と考えた時に、既に答えは出ている。 それは自分だと』と、答えておきましょう」

 それは何か? と尋ねたらこれである。


 ちなみに言うと、これに似た台詞が、巷で人気の劇であったりする。つまりパクリである。で、あるが、まぁこの際どうでもいいのである。



 これにより私達は『カフェ 太陽休憩所』で菓子食べ放題を慣行するのであるから!!!!


 


 つづく。


 しかし、この時既に裏でマウテリッツに魔の手が迫っているのに、私は気づかなかったのだ。

遅くなりました。

次回は一週間後です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 二人ともすっごい女の子してるよ! 可愛いヤッター!! >魔の手 マウテリッツー!
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