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74話 システィーナの変


 さて、あれからしばらく経つ。


 年が明け、雪が降り、聖菓子の日が来て、陰鬱な冬が終わり、寒さと三年生が出て行き、暖かな春がきて、新一年生もきて、日々の勉学に追われる日を送り、いよいよ夏になろうかという時期に差し掛かる。

 と、折しもの雨を見てそう思わざるを得ない。



 うんうん、中々良い日々であったと思う。


 しかし世間は中々大変な時期になっているようである。


 エルディバの神勇教の総司教長様が春の終わりに御逝去なされたのである。


 総司教長とは神勇教の一番偉い階級の人間である。その割にはしょぼいような名前ではあるが、そんな事はないと思う。多分。


 ただ、問題はその御逝去が春の終わり辺りであったこと。


 亡くなられたのなら後任が決まるのだが、この後任とやらが中々決まらない。


 総司教長様は去年から体調を崩されはじめ、どうにか年末年始は回復されたが、また体調を崩されて亡くなられた。という話であるからして、大体後任は決まってると思われたが、そうは行かなかった。


 

 マウテリッツのいう話ではガウデン・ファビアーニ=ゴルディジャーニという男が絡んでいるとの事らしい。

 ガウデンという輩は伝統派と呼ばれる派閥であり、超保守的な考えの連中との事である。要するにあれもこれも禁止にしてしまえと言いだすような頭の固い連中らしい。

 最も主流派はくそったれの放任主義者のクソどもだというのがマウテリッツの言う所である。


 マウテリッツは何故か教会の話になると口が悪くなる。何かあったのだろう。無理もない。

 前世せんごくのよの宗教も、まぁ色々とやらかしている。古くはかの強力な権力を持った白河法皇ですら「賀茂河の水、双六の目、山法師が私の思いのままにならない……」と項垂れて南都北嶺の状態であったり、その状態に腹を立てた時の幕府や権力者に過去2回程比叡山延暦寺は焼かれている。

 1回目は永享七年の足利義教が、2回目は明応八年の管領・細川政元が焼いている。


 まぁ比叡山延暦寺、あれはもう、いわゆる傭兵と言っていい勢力である。

 かくゆう私も、上洛を成し遂げた後、延暦寺側の出方次第では三人目にならねばならないかな。と朧げに思っていたが、杞憂であった。そのずっと前の段階で失敗してしまい現在に至る。

 そういえば夢の中で信長を名乗る夢が「わし、比叡山燃やした。三人目じゃぞ」とほざいておった気がする。

 

 さて、夢の話は捨てておいて、ガウデン・ファビアーニ=ゴルディジャーニについて話さねばなるまい。

 エルディバの神勇教の派閥の1つである伝統派を統括する枢軸卿の一人である。


 伝統派というのは、太古の昔から続く神勇教の教えを守り、人々に教えを説く。をモットーにしている。

 故に伝統である。故に超保守と言われている。


 宗教と言うのはどこも一緒らしく、この勇神教も禁欲・高潔を美徳としている教えがある。

 なので、その教えを守っているのが伝統派であるからして、過去にこの派閥の者や息の掛かった者が総司教長になった時は禁欲・高潔を全面的に徹底するような政策を打ち出している。


 今は錬金学や民草の勉学の普及により、教会そのものの影響力は低下しているものの、皇帝より総司教長が偉いかもしれない時期は確かにあった。


 その頃の逸話は沢山あるが、中でもシスティーナのクレメナス礼拝堂の天井に飾られている『最後の判決』というタイトルの天井画の逸話である。


 この『最後の判決』とは、神話の話で、エルフの一人が魔王になり、反旗を翻った事により世界神は怒り、エルフから不老不死を取り上げる為の裁判を開き、その判決が下される瞬間を描いた作品である。


 なので絵には不老不死を取り上げられるエルフや12柱の世界神や、他の勇神教の神々(副神として登場している)やらが描かれているのだが、『ほとんど女』なのだ。


 意外に思うかもしれないが、世界神は男でも女でもない存在であるが、男でも女にもなれる存在であるからして、好きに描いていいそうである。

 だから女として描かれているのが多い。


 ちなみにだが如来様は元は女性だが、修行により男女の性別を超えた存在である。


 


 まぁ如来様の件は置いておくとする。


 問題は『最初はそれが全員下着をしていない状態』だった事である。


 女が胸を隠す胸当ての下着のブラジャー的な布や秘部を隠すパンツも何もない状態。

 つまり丸出しである。


 それが当時の伝統派の怒りに触れてしまい、描いた絵師の死後、弟子が全ての世界神にブラジャーを追加で描かせられたという話である。流石に折角描いてもらったのに隠せというのは酷だと思ったのだろう、死後である。


 余談だがその下着を描かせられた弟子は、あらゆる下着の始祖として今も崇められているそうである。かくいう私のしているブラも元は彼が描いたブラの形だそうな。

 


 という話をヴァレリー氏がしていたのを覚えている。


 「もし伝統派が再び勢力を取り戻すようなことがあれば世の芸術家たちはまた肩身の狭い思いをしなければならない」

 ヴァレリー氏はそう分析している。


 しかしそうは言っても私と教会には接点はない。残念ながらどうする事もできない。


 そう思っていた。



 「オドレイ。いえ、オドレイ様、私はもうすぐシスティーナへ行き、総司教長になる修行を行う事になります」


 そう神妙な顔でオデッタ・トルトーネ・デ・パッサレッリ=キアラモンテは私に打ち明けたのであった。

 

1月中に更新できずに大変申し訳ありませんでした。

新章の方針が決まらなかったのですが決まったのでまた1週間に1回更新します。

次回は2月16日を予定しています

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