オドレイ・ノート2 ヨハン・ベットリヒについて
設定集の筈が、ヨハン・ベットリヒについて書き殴ってあります
『共同体についてと望ましくない影響を食い止めるために』について 著 ヨハン・ベットリヒ
いわく、共同体なる組織には2種類の階級があり
農民・職人・商人の『生産階級』
と
官僚・軍人・聖職者・知識人・医師・理髪師・浴場主の『非生産階級』
から成り立っており
非生産階級は公共の者であり、共同体からなんらかの報酬をもらわなければならず、必然的に非生産階級は生産階級の人口と比例して少なくてはいけないとされている。
また、全階級を結び付けているのは消費であり、消費こそが共同体であると自覚させる唯一の紐帯であるとされている。
↓つまりこういう事らしい↓
これらの生産階級と非生産階級によって形成される共同体の名を、ヨハン・ベットリヒは『国家』と呼称した。
また、この論以外にも様々な主張がある。
共同体(国家)の生活を破壊するものとして、外国からの安い輸入品を挙げている。
例えるなら、アルマナ王国から送られてくる米や、ネルデール諸侯連合の工芸品や南方植民地から送られてくる砂糖やコーヒー等の様々な品物等がその例に挙げられている。
最も、アルマナ王国の米や南方植民地からの品物は、殆どがエルディバ皇国内で育たない・育ちにくい物であり、つまり育てている農家が少ないか、存在しないのである。それはヨハンも承知していてしっかり注訳がなされている。
該当するなら煙草である。
煙草はキセルや厚紙を巻いて吸う、一種の『薬のようなもの』である。煙い。
いつぞやのヴィヴィアーヌが襲撃されて、エドワードフ商会に兵を借りに行った際(※28話)に、オレイユがマウテリッツ伯の葉巻に火を付けたが、つまりそれである。
煙草はエルディバ本土でも各地で栽培がなされており、名産となってる処もある程である。
この煙草が、もし仮に『ネルデールや南方植民地から』『エルディバ本土で栽培している煙草』よりも『格安で送られてきたら』エルディバ本土中の煙草農家が路頭に迷う事となるのだ。
路頭に迷う。つまり失業者という訳である。
なるほど、それは確かにそれは『生活を破壊するもの』である。
そうならないように、税をかけて失業者がでないように心がけねばならない。とヨハンのこの書には書いてある。その通りである。
また、書のタイトルにもなっている『望ましくない影響』についても書かれており
『望ましくない影響』つまりそれは
『高利』『独占』『産業的混乱状態』の3つであるとされる。
高利……金貸しからの利子が高い状態。借金が返済されないと売る側と買う側の関係を悪化させる。とある。
独占……字の如く、一人の商人や商会、会社が過剰な利益を得ている状態。他人のものを奪い取っていて生計がたてられない状態とも。
産業的混乱状態……皆同じ分野の商売をしだす店が多すぎて混乱としている。自由過ぎてるか、分裂状態となっていて人々の生計の維持を妨げていて貧困化する。
このような望ましくない影響を食い止めるために、ヨハンは
政府(つまり行政)が監督と規制をするか、または政府が後援する……息の掛かった商事会社をつくるべき。と提唱している。
また、他にも『最低価格』を保障・設定する為に政府は農産物を貯蔵する貯蔵庫を造るべきと提唱しているし
政府の役人や、商人、製造業者(職人)、農民の代表者を集めて『団体評議会』を作り、この評議会により経済に対する政策……つまり法度や決まり事を指揮させろ、任せろと提唱している。
↓つまりこういう事らしい↓
正直に言おう。
何故これ程の妙案を持っていながら、宮廷医などやっておったのか!
何故これ程の知恵を持っていながら、錬金学者などという胡散臭いものをやっておったのか!!
これ程の知恵者なら、全てを全て呑むわけではないが、経済や商業の知恵者として相応の位に就けたものを……!!!
……思わず、本人の前で叫んでしまった。
するとヨハンは痩せこけた顔を、いつもの口調でこう言いおった。
「ンンっふふふふ。それがしは大臣等の重役なぞ望みませぬぞぉ。ンンンッ。それがしは一介の錬金学者。大臣になれと言われたら死を選びますぞぉ」
なんともヨハンらしい言葉である事か。
死期が近いからと言って、大臣になれと言われたら死を選ぶ等と傾奇いた真似をしおってからに……。
「ンンンッッ。一応言っておきますと、このエルディバにおいて実はこのような『~すべき』だの『~を提唱する』等といった政治に口を出すような真似は禁止されておりますぞ。だからソレガシは一介の錬金学者として今の今までこのような文章を書く事をしなかったのですぞぉ」
そう、ヨハンは『死期が近いから』このような『皇国、つまり皇帝のやる事成す事に対してケチをつけるような事』を書いたのだと言う。
なる程、確かに安い品物はどんどん仕入れようという皇国の思惑と反した意見なので、下手をすれば死罪すらされるであろう。
なら、何故私に……?という事になるが、それはやはり前回言ったように、『私』に希望を見出しての事らしい。
一介の側室の子に、この皇国の抱える問題を解決する糸口や希望を見出しての事である。
……なんともまぁ。見る目があると言うかなんというか。である。
今まで胡散臭い奴だがまぁ学者や医者としては筋をまぁ通してる奴である。という評価で、真価を見出す事ができなかった、私に希望を見出してくれたのである。
私は、いや『我』は、自慢にならないが見る目はあると自負しておった。
あの武田晴信の才と危うさを、親の信虎よりも熟知していたと自負しておったし、三河の子倅の松平元康の才能も熟知していると自負している。
尾張の価値だって把握しておった。故に信長が率いる織田家を危険視しておった。だから我はあの戦を起こしたのだ。
驕ったような事をいうが、我が師の雪斎の才能だって、我は見抜いた。だから師と仰いだのだ。
しかし、ヨハンの才能を。ヨハン・ベットリヒの才能を。
我は見抜けなかったのだ。
異界に来て、もうかれこれ7年になる。
これ程の挫折は初めてである。
あ、ちなみに言うが、見抜けなかったのはヨハンの政治家としての素質であり、学者としての才は見抜いていると思う。
喋り方が癪に障るが、学者としては正直な男であり、何事も実験や実証が大事と言っておる。
かの太陽は石炭と魔法石の複合体と言っておったが
「まぁ実際は太陽に降りて採集しない限り分かったものではありませんがね。でゅふふふ。そう言ったら一生分かりませんがねぇ。ンンンンッッ。オウフフッフッフッッ」
と述べている。
さて、ひと通り書き殴ったので満足した。これにて筆を一旦おくとする。
つづく。
満足しました。
しかし書いてあるヨハンの主張は、史実のヨハン・ベッヒャーの官房学者としての業績欄の内容とほぼ同じです。ご注意下さい。
今川転生伝を書き始めていたころはヨハン・ベッヒャーの官房学者としての業績欄は存在せず、単に胡散臭い科学者もとい詐欺師でした。
死期も作中で触れましたが、15話辺りに「なんか死んでた」と軽く触れる程度にしようとしていましたが、再度確認したら官房学者としての業績欄ができていて、慌てて延命処置を取りました。
ヨハン・ベットリヒ。間違いなく好きなキャラです。
これからも事ある毎に作中で顔を空にうっすらと思い描く事になるでしょう。
次回は1週間後になります。




