57話 青い空 白い雲 緑の海
さて、そんな訳で目的地の砂浜へやってきたのである。
少し説明すると、砂浜海岸へ至る手前にはちょっとした林がある。なんでも砂が畑に入らない為だとか、海の風を軽減する為だとかの理由である。
ちなみに木は松である。今までずっと言ってなかったが、松がこの現世に生えているのである。
相も変わらず痛そうな針のような葉をしているが、やはり異世界なので形状が少し違うが、松は松である。
私達はそんな林の所に馬車を止めている。しっかり馬車を止める場所というか小屋まで用意されている。
砂浜は白く、漂着物の木や海藻などは全くない。貴族用の砂浜なので前日に掃除がなされているようである。大変良い。
使用人もといメイド達は下りて傘や陣幕(?)等を張っている。
さて、そんな訳で潮浴の為に着替えるのである。
現世もといこの国では潮浴の服装が存在している。つまり水着である。
読んで字の如く、水着とは水に入る際に着る着物……着物? 否、紐と布である。
主に胸と秘部を隠す女性の潮浴用の下着のような物。と説明しておこう。
準備段階の際に試着してみたが、やはりここは異世界なのだな。と改めて思い知らされる。
前世では潮浴用の下着はなく、裸か精々晒し木綿を巻く程度しかなかったので、潮浴用の服装があると聞いた時は驚いた。
それだけ、この世においては潮浴もとい海水浴は普遍的、もとい娯楽として成立している事が分かる。
前世の日ノ本においては潮浴は湯治と同じ医療行為であるからして、魚でも取る訳でないならわざわざ海には入らないのである。
等と、色々と前世について語っているが、これ、予想以上に恥ずかしい。
私はこれでも12を迎え、6日と7晩に渡る月経を経験する事となってる為、男のような胸であった私の胸も若干の膨らみを帯びてきている。
つまり、女として成長しているのである。背も成長して欲しいが種族的に難しい。
女としても成長している為、恥じらいというものがある。これでも7年は女をやっている。それくらい学ぶ。
そう、御託が多いが、とにかく恥ずかしいのである!!
以前、マウテリッツ伯の為に桃色のフリフリの服を着たが、これはそれ以上に恥ずかしい。
あれはまだ服の体裁をしていたが、これはヒモと布しかない。いや、一応フリフリのスカート的な布がついているが、それでもヒモと布の域を出ていない。
しかし、まぁ。準備段階の際にマウテリッツ伯に見てもらったが、好評であった。
マウテリッツ伯が喜んでくれるのならそれで良い。
彼が喜んでくれるのなら……私はそれでいい。それほどまでに私はマウテリッツ殿の事を好いている……のだと思う。
……まぁ男がサシャ以外にマウテリッツ殿以外居ないというのも大きいがの。
つづく。
次回は1週間後を予定しています(未定