46話 生徒会なのじゃ!
生徒会。
学業上位者が入る事ができる学園の自治組織である。
歳幾ばもない少年少女の集団たる学生の自治組織などと侮ってはいけない。ここは押しも押されもせぬ学園要塞であるからして、その規模と権限は相当な物であり、もはやひとつの国と例えられるものである。
まぁそれは良い。
問題は、何故私がここに入れるか。である。
……実をいうとな。私、数学はちと苦手である。
あ、いや。そろばんや算木と言った計算やらは普通にできるぞ? しかしこの国には算木は存在しないようであるが……。
敢えて言うが、私は武士の子で、仏の道を数十年程歩いた者であるからして、基礎的な計算は普通にできる。
しかしである。面積や測量の計算式とやらを求めるなんて、大工や普請組のやる事である。
幸いな事に、私はこの世で良き師に出会えて、この未知の数学を学ぶことができた。
幾多の涙が流れる事となった。つらかった。
なので、授業はどうにかなっている。なっているのである。
されども、テストなる小試験ではあまり良い結果が出ていないのが現状である。面積は難しいのである。
そんな現状であるが、何故かこの生徒会へ入る事が許されたのである。
この事から、学園側による皇室への何らかの忖度がある事は明らかである。
「あの。オドレイさん? さっきから表情が変化していますが……」
「む? ああ。考え事じゃ。顔に出やすいんじゃ私は」
さて、先ほどからさん付けで話をしている少女がいる。
この少女の名はオデッタ。オデッタ・トルトーネ・デ・パッサレッリ=キアラモンテ。代々司教や枢機卿を輩出しているキアラモンテ家の長女で成績上位者である。
さん付けなのは、よく数学を教えて貰うからと、生徒会の基本方針がそうであるからなのである。
生徒会、もとい学園においては年長者つまり学年が上なのが偉いのである。
皇室側室の子であったとしても年長者が偉いので、私もさん付けで呼ばれるのである。
中々良い風習である。
「あれ、オドレイさんにオデッタさん。一緒だね」
生徒会室への扉の前でバッタリと出会ったドワエルフの少年が声を掛けてくる。
「アードルフさん。ご機嫌よう」
「アードルフ殿か。ご機嫌ようなのじゃ」
オデッタと被ってしまったが、少年の名はアードルフ。アードルフ・クロノール・デ・ゴットルプ=グスタフソン。
フェンラードの大貴族の子であり、何より凄いのはマウテリッツ伯と知り合いという事である。
いわく、昔フェンラードへ伯が傭兵稼業で立ち寄った際に彼の父を通して知り合い、剣の手ほどきを受けたとの事である。
知り合いというか師弟関係である。伯も見込みがあると褒めていた程であり、私の見立てでも小姓にして子飼いにしてしかる後武将にしたいなと思う程である。女の身である事が口惜しい。
顔もドワエルフであるにも関わらず童顔で、信置が好きそうな顔である。あげないが。
「今日は三人同時。か」
と、生徒会室へと入ると、あのフリードルがそう言って出迎える。
うん、まぁ。居るのだ。教室こそ違えど、歳は一緒なのだ。うん。
なお、三人同時とはいえ、クラリエルも居るしオデッタとアードルフの従者が居て計6人同時であるが従者は基本数えないのが基本らしい。
そんな訳で今日も今日とて生徒会の仕事が始まるのであった。
つづく。
また遅くなりました。
オドレイさん。特に面積の求め方が苦手なのに成績優秀者枠に入っているのは以下の理由があります
・学園側の皇室への忖度
・「今回勉強してないから点数悪い」と公言しつつ80点以上取るあの謎の法則が発動して言う程悪い点数ではない。
・他の分野が満点に近い
・好き嫌いと点数は連動していない
等の理由があると思われます。
次回は12月16日を予定しています。




