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今川転生伝 〜41歳のおっさんだけど異界に転生したので、れっつ☆えんじょい。なのじゃ〜  作者: テト式
第1章 え!?この状態からでも入れる保険があるんですか!?から始まる異世界転生★
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2話 ここはどこで私はだれじゃ…でもご飯おいしい…くやしいのじゃ…もぐもぐ


 我、今川義元は桶狭間の地で死んだ。


 その筈であった。


 挿絵(By みてみん)



 だが、私は気が付いたら幼子の女子おなごになっており、寝床である木綿布団に入っていた。


しかも何故か語尾に~のじゃとか付く。これはどう頑張っても治りそうもない。何故なのじゃ。


 辺りを見回すとそこはどうやら噂に聞く南蛮の国のような部屋で、何がなんだか分からなく混乱していたが、白黒の奇妙な衣服を来た下女らしき女性達が入って来て起床の時間と着替えを手伝うと言われ、相応の地位の子である事がわかった。


その下女と幾らか会話を行い、私がオドレイ・ドラーコヴァ=エルディバという名前と苗字である事が分かった。眠気が強いという事で片付けたが、名前を唐突に聞いたので下女の不思議そうな顔は終始続いていた。


 今川義元改め、オドレイ・ドラコーヴァ=エルディバ。


 正直どれが名前なのかが分からなかったが、どうやらオドレイが名前でドラーコヴァとエルディバが苗字だという事が分かった。ドラコーヴァが母親の苗字でエルディバが父親らしい。


 どうやらこの世では母親の苗字と父親の苗字を表記するらしいが、継ぐ(可能性のある)苗字が=の後に付き、継がない苗字を=の前にして略文字にするそうである。つまり私の名はオドレイ・D=エルディバとなる。


 なのだが、エルディバという名にはこの世においては絶大な意味を持っているとの事である。


 いわくエルディバ皇国はこの世界の大半を形成する大大陸であるミイソス大陸の大半を統治下にいれる大皇国である。との事である。


 この皇都ディバタールには大陸中の人や物が集まり、その数なんと100万を超す人口だという。我が駿河の城下でも1万が精々で、京の都で10万人程度なので、中華に匹敵する程の大国である事が伺える。


 朝食前後に聞いた話だが、私はそんな大国の皇帝の三番目の妻の子。らしい。数的には5番目の子で、側室の子である。


 なんたる事か。女ではもはや立志すらできぬではないか……と嘆くも杞憂であった。どうやら女が君主や武将が珍しくない国らしいが、それでも側室の子であるので家督的には遠い。


 が、本当にそれでいいのだろうか?


 何故私は輪廻で生まれ変わった? 何故私は前世の記憶を引き継いだ状態で生まれてきたのか。


 おそらく罰であろう。無理もない。私は本来僧になるべき存在であったのに殺生を得意とする悪党足軽の大将たる大名となったのだから、力もなくただ翻弄される欲深き女子おなごとなるのは当然ともいえる。


 ……だが、本当にそうだろうか? 何か意味があるのだろうか。ただ無意味に前世の罰を報いる為に尼をさせるために生まれ変わったのだろうか。


 等と考えてはみたが、ごはんおいしい。


 麦のようなものを粥のようにした得体の知れない物や、卵を割って焼いたものや半熟状態になったもの、得体の知れない肉や、見た事も聞いた事もないような得体の知れない食べ物がかなりあったし、量的にも前世の食事では在り得ない程の量と種類だったが、匂い的に食べられそうだったので食べてみたら大変美味であった。

 

 夢中で食べて、気が付くと料理がなくなっていた。無我夢中で食べていたらしい。

 なんと恐ろしい……心まで五歳の童になってしまったのかと恐れたが、とにかくご飯おいしい。


 食後、ややあって自室へ戻り、さてどうしたものかと思案する次第であったが、窓からベランダと言われる場所に出られたので、試しに出てみると、そこで私は言葉を失った。



 先ほどの100万都市という言葉。実はあまり信用していなかったからである。否、正確には『中華と同等なのであろう』と思っていた。

 だが眼前に映る都市は、中華の北京や寧波、長安や洛陽を遥かに凌ぐ大都市であった。見た事ないけど。

 まさしくそれはこの世の光景とは思えぬ程の光景……『異界』と呼ぶに相応しい光景であった。


 まず景色が高い。現在地が山あるいは丘の上であり、しかも建物自体が高い。下手な櫓より高い。どうなってんだこの建物。だがそれ故に遠くの景色まで遥かに街が続いている。


 少し視線を落とすと、ここが兵舎や水堀、防壁などで固められた屋敷区画である事が分かる。そしてまた視線を街に戻すと高い石造りの街並みであると判った。


 驚く事に目に映る光景の殆どの建造物が石造りだったのだ。最初に北京という言葉が出たのはその為であるし、それを遥かに凌ぐというのもそこにあった。


 一通り景色を眺めた後、私は想う。


 『このような街を造る程の大国の娘に、私は生まれ変わったのか』と。


 そう思いながら、防壁の上で はためく赤地に黄金色の月桂樹の蔦が描かれた皇国旗を見ていた。


———————————————————————————


 使用人休憩所にて、数人の使用人達が集まり、なにやら話し込んでいる。


 「なんか今日のオドレイ様、様子が変じゃない?」

 「うむ……。朝食時何か様子がおかしかった……」

 「なんか匂い嗅いでましたよね……」

 「私、朝起こしに入ったらオドレイ様が、私の名前はなんだった? と聞かれました……」

 「ううむ。朝食後もお礼を言っていたし、何が起こったのだろうか……」

 「そうだよな……昨日はあんなに騒がしかったのに……」

 「その言い方は不敬だぞ……いや、まぁそうなんだがな」

 「そうだよなぁ…」

そして使用人達は口をそろえて言う。


 『オドレイ様が、あんな物静かになられるだなんて……』 と……。


 「オドレイ様から騒がしさを取り除くとあんなにも可愛いというのが今日分かってよかった」

 「わかる。だがその言い方は不敬だな」


 つづく。

タイトルロゴは もにゃゐずみ様(@Monyaizumi)より描いて頂きました。

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