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今川転生伝 〜41歳のおっさんだけど異界に転生したので、れっつ☆えんじょい。なのじゃ〜  作者: テト式
第1章 え!?この状態からでも入れる保険があるんですか!?から始まる異世界転生★
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13話 最近、腹違いの妹がおかしい件

エルヴァール目線です。

 最近、腹違いの妹のオドレイがおかしい。


 私、エルヴァール・ヴァノーネ・デ・サヴァチエ=エルディバはそう思う。

 いや、妹がおかしいのは前からである。


 馬を去勢する事に泣いてみせたり、あんな粗暴な男に料理を作って媚びたり、色々おかしい。


 最近はますますおかしい。あの変態のヨハンとかいう錬金学者の所に行ってウナギを使って何やら変な事をしているらしいし、かと思えば今度は鍛錬場で引きもできないのに毎日ロングボウを引こうとしてるし、メイド達の話ではアグラをかいて何時間もじっとしてるかと思えば調度品や梁を使って鍛錬してると聞くし……。


 当の母親は知ってて好き勝手させているというし、やはりドラコーヴァの田舎貴族のやる事は解らないし解りたくもない。


 しかし姉様のアデライト姉様も元気があって良いと言われている。


 姉様は12歳の時から学校へ通い、住まいもここではなく城下の屋敷に移ってしまい、中々会いに来てくださらない。


 兄様に至っては大学部になられますます会えず、父様は以前としてお仕事が大変との事。


 私がしっかりしなくては!第三皇女の子供に負けたり侮られてはいけないの!



 「エルヴァール姉上!魔法というのを一度拝見させてほしいのじゃ!!」


 なんだけど、今日はこんな感じに言い詰め寄られている……。


 ここはいつもの野外の鍛錬場。今日は魔法の訓練の為に出てきたら、問題のオドレイが来てしまったのだ。


 「オドレイ? 魔法というのは神聖なもので、見世物ではないのよ?」


 「それは重々承知ですが、最近練習していると聞きまして、遠目でもいいから見たいのじゃ」


 そういう腹違いの妹。すぐ後ろにはいつもの二人が両サイドにくっついている。


 ふと視線を鍛錬場の壁際に向けると、妹の婚約者もいる。視線に気づくと姿勢を正して一礼する。粗暴な人物と聞いたが、礼儀はできている。


 視線を戻すと腹違いの妹は目を輝かせている。


 ……ここで一蹴するのは簡単である。しかしアデライト姉さまに「第三皇女一族連中と、無駄に事を荒立てない事」を約束している。


 むしろここで派手な魔法をビシッと決めて第一皇女一族の威厳を示した方がいいだろう。


 と、私は即座に考えた。


 「わかったわ。それで、魔法については習ってるかしら?」


 「うむ、先生から基礎的な基礎は習っておるのじゃ」


 そう言ったので試しに言わせてみる。


 「魔法というモノは、本来、世界神とエルフにのみ伝わる奇跡であった。だが魔王の出現により、神は人間に魔法の力を授けた。で、あるからして魔法はそれ以上の魔法でよってのみしか征服できず、魔法とは知性の象徴である」


 魔法の知識を得る者がまず最初に覚えさせられる言葉である。よく私も暗記させられた。


 「魔力というものは、生きとし生ける者全てにあり、魔法はそれを外に出す事ができるすべである。 なんじゃけど、なんかこう……魔力が地面に入る事により、石化したのが魔法石……別名マナストーンなんじゃっけ?」


 「うん、まぁ合格点はあげましょう」


 急にオドレイ特有の喋りになったけれど、魔法石までわかるのなら話が早い。


 「この世では魔法石を杖に嵌めて媒体して魔法を使うのが常で、魔法杖の所持自体が免許制で、免許を取る試験だけで家が建つほどの金が必要で、その免許を取る為の勉強をする学校に入るだけで家が建つほどの金が必要で、杖自体も家が建つほどの金が必要じゃと習ったのじゃが、それは本当ですか姉上!」


 「誰からそんな金銭的な詳細を教えてもらったの!?」


 「伯からじゃ!」


 満面な笑みを浮かべて答える妹。


 あの粗暴貴族があああああああああ!!?と妹の婚約者がいる壁際を睨みつけるが、そこには既に誰もいなかった。


 ちい逃げたか。と悪態をつく。


 「……ま、まあ。そうね。下賤な考え方だけど、そうね。その通りではあるわ」


 「何故なのじゃ姉上。何故そのように高価なのじゃ?」


 「何故って……そりゃ危ないからに決まってるからよ」


 突然の何故に、私はそう答えるしかなかった。


 このオドレイという腹違いの妹は、こうやってよく何故を繰り返して話を遮ったりする。

 いつぞやの天体観測会の際にもそうやって係の者を困らせていた。私達は折角の『煌めきの尾』を観ていたかったのに、少しうるさかったからよく覚えている。


 「まぁ。やってあげるわ。何がどう危ないか見てなさい」


 そう言って私は係の者に確認をとってから杖をかざす。


 「魔法使い心得1。まず周りを確認し、標的を確認する。 オドレイ、危ないからちょっと離れてて」


 そう言ってオドレイとその他二人をどかす。飛び出さないように係の者が押さえている。


 「的の準備はできているわね?」


 そう言って既に用意されている的を見つつも、係の下僕に確認をとる。


 魔法とは非常に強力であり、例え訓練用であっても人を殺めるのに苦労はいらないのである。


 「はい、できております!!」


 訓練の際はこうやって確認を取るのが決まりである。確認ができない者は魔法を扱うべきではない。と先生に何度も聞かされた。


 「魔法使い心得2。念じて杖と石を起動させる」


 私はそう息を整えて目を瞑り、雑念を捨てて集中する。


 訓練用の杖を伝って、魔法石の魔法陣が展開するイメージを行い、そして目を開ける。するとそこにはイメージした通りに石は輝き、先端に小さな魔法陣が<投影>されていた。


 これが<起動>である。


 「魔法使い心得3。魔法の詠唱……」


 ふう。と息を整えて一気に唱える。


 「 たける火よ 」


 杖の先端部の魔法陣に熱がこもる感覚が伝わる。


 「 集いて赤き炎となれ 」


 熱が塊になり、重みも生じてくる。


 「 そして敵を焦がさん事を 」


 これにより詠唱は終わる。眼前にはこぶし大の炎の塊が杖の上を浮いている。


 「ファイアー……ボォォォぉぉぉル!!!」


 そう叫ぶと炎ははじかれて、的に向かってまっすぐ飛ぶ。


 爆ぜる的。


 うん、我ながらいい感じである。そう思った矢先である。


 「実は詠唱は<敵を焦がさん事を>までで終わっていて魔法名を名乗らずとも飛び出す仕組みですぞぉ!」


 「なんじゃとぉぉ!?」


 すべてをぶち壊す馬鹿が現れたのは。


 つづく。

安全確認は当然回でした。


次回は一週間後の2月11日です。

あと、申し訳ないですが、まだオドレイの幼少期は続きそうです(

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